「今度は山口に夢の中で会って好きになった、って迫るつもり? 気が多すぎるんじゃねーの? ていうか、山口に彼女いるの知ってるよな」

 カバンから出したスマホを山口のほうに向けている大内優芽を睨むと、彼女が俺を見上げてきょとんと首を傾げる。

「何怒ってるんですか? リュウガ先輩」

「別に、怒ってはない」

「じゃあ、ヤキモチだ。私がリュウガ先輩を差し置いて山口先輩の連絡先を聞こうとしてるから」

 大内優芽がニヒッと口角をあげる。俺を揶揄うみたいな彼女の笑い方が癇に障った。

「そんなわけねーだろ。ふざけんな」

 マジな低い声を出すと、大内優芽と山口がちょっとびっくりしたように瞬きする。そんなふたりの反応を見て、俺は急に大きな声を出してしまった自分が恥ずかしくなった。

 なんで俺は、大内優芽にちょっとからかわれたくらいでマジになってるんだ……。