授業が空いていた三限目に、山口と一緒にカフェテリアで昼ごはんを食べていると、入り口から大内優芽が入ってくるのが見えた。
「ヤバい……」
彼女に見つかる前に食べ終えて、ここから出なければ。まだ三分の一ほどしか食べ終えていない日替わり定食の唐揚げとごはんを急いで掻き込んでいると、コンビニで買ったパンを食べていた山口が「あ」とつぶやく。
「悪い。俺、今、大内さんと目が合った」
「お前の顔目立つんだから、しっかり気配消しとけよ……」
どこにいても目付きと人相の悪さが目立つ山口にぶつくさと文句を言っていると、「リュウガ先輩!」と横から声をかけられた。
「お昼、ご一緒してもいいですか?」
いつのまにか近付いてきていた大内優芽が、にこっと笑いかけてくる。
「いや、俺ら、もう食べ終わるし」
素っ気なく断ったつもりなのに、大内優芽が俺の隣の席に座る。
「じゃあ、リュウガ先輩が食べ終わるまでの少しの間だけでもご一緒させてください」
俺の言葉を笑顔でスルーした彼女が、カバンの中から弁当箱を取り出す。
「他にも席空いてるけど」
「知ってますけど、私はここがいいので」
空いている他の席を指差して追い払おうとする俺に、大内優芽が笑顔で主張する。