四時間目の授業のあとアウトドアサークルの部室に立ち寄った俺は、ドアを開けた瞬間に青褪めた。

 入学式が終わってからそろそろ二週間。俺の所属するアウトドアサークルにも、新入生たちが毎日のように見学に来ている。

 そんな新入生の輪の中に、今日は大内優芽の姿があったのだ。

 どうしてあの子がここに……。

 部室の入り口で立ち止まっていると、あとからやってきた同じサークルの浦部に肩を叩かれた。

「入んないの?」

「あー、うん。急用思い出したから今日は帰るわ」

 作り笑いを浮かべて部室のドアから一歩二歩とあとずさる俺を、浦部が不思議そうに見てくる。

「琉駕?」

「悪い、今あんまり大きな声で俺の名前呼ばないで」

「何言ってんの、琉駕」

「だから、呼ぶなって」

 顔を顰めながら小声でそう言ったとき、大内優芽がこっちを振り向いた。

「リュウガ先輩……!」

 俺に気付いた大内優芽がキラリと目を輝かせる。