~アーサーside~
 ダイナース王国国王にとある情報が伝えられた。

「な、なんじゃとっ!スタンピードが発生した!?すぐに騎士団を派遣するのじゃ!」

「はい。しかしスタンピードはすでに冒険者の手によって解決したみたいで……」

「なんと!その解決した冒険者の名は何という!?」

「冒険者の名前は伝えられていませんがSSSランクの冒険者だと……」

「そうか……はてこの国に今SSSランク冒険者なぞいたじゃろうか」

「SSランクなら先日男爵に叙されたグラン様がいらっしゃいますがSSSランクとなると……」

「そうかグランか!謎が解けたわい……。ところで報告はそれだけかの?」

「……!そうです!それだけでなく王女殿下の居場所がわからないのです……」

「寮の部屋にいなかったのか?」

「先ほど訪ねた時にはいらっしゃらなかったです」

「……まあ大丈夫じゃろう」

「なぜですか?真っ先に確認に行くべきでしたのに私たちも混乱していて……」

「まあグランがいるからな。あの子の近くのほうがあの二人も安全じゃ。それに何よりあの負けず嫌いの二人が認めたやつじゃ。きっとここに避難してくるよりも早くグランに連絡を取るじゃろうな」

「はあ……」
 その後アーサーはまるで何事もなかったかのように業務を再開するのであった。
 
~グランside~

 森の再生も終わり一通りスタンピードの後始末が終わったグランたちはギルドへと戻った。
 ギルドでは手に入れた素材の換金を行ったりクエストの斡旋をしたりなどの通常業務が始まっていた。
 そんな中ギルド長室へと通されたグランたちは疑問を感じていた。

「どうしてギルド長室になんて呼ばれたのかな?」

「まあ何か話があるんでしょうね。いい機会だし私も冒険者登録しちゃおうかしら」

「シャミアは国王様に止められそうね」

「確かに!でもみんなで登録して卒業旅行みたいに冒険者として旅したいね!」
 そうこう話しているうちにギルド長室前へと到着した。
 グランがドアをたたくと向こうから「入ってくれ」と声がした。
 全員で部屋にはいるとそこにはギルド長のほかに副ギルド長、ハルカさんがいた。

「皆さんこちらまでいらしてくださりありがとうございます。まずは改めてスタンピードの壊滅おめでとうございます!」

「流石ですな。グラン卿!まさか魔法であれだけの数を一掃されてしまうとは……」

「まあグランだからな……。あ!それと国王様にはもう報告をしておいたから安心してくれ」

「ありがとうございます!後でこちらからも連絡しておきます。それで僕らに話というのは?」
 グランがそう尋ねるとハルカが待っていましたと言わんばかりに金貨の入っているであろう袋と何枚かのカードを取り出した。
 
「今日皆様をお呼びしたのは報奨金と皆様のことについてお話ししたかったからです。とりあえず報奨金のほうから説明しますね?」
 どうやら今回のスタンピードは騎士団が発見したり予測され、注意喚起がされていたものでなくバーンズさんが発見しそれをグランたちが討伐したため国からのお礼金や迷惑料も含まれているらしい。
 そのため報奨金として白金貨90枚が与えられた。

 この白金貨は討伐したグランたちと発見したバーンズさんとで山分けになるらしい。
 つまり一人当たり白金貨10枚である。
 グランが叙爵された時と同じ額が支払われている点から考えると相当な問題を解決したということを改めて感じた。
 
「次は皆さんのことについてです。ここにいる皆さん全員が冒険者登録をされているわけではありませんよね?」

「そうですね。僕とティナとフレッドリックは登録してます」

「でしたらほかの皆様も冒険者登録していただくのはいかがかと」

「何かメリットがあるんですか?」

「はい。今回のスタンピードはグラン様の魔法のみで終わりましたが、ここまで戻ってくる間や話を聞いている限りだと皆さんも冒険者登録をしておいたほうが狩りをした時や町に入るときなどいろいろな場面で有利に働くと思うんです」

「それに今登録してくれるんならスタンピードの報酬も支払えるしな」

「報酬はもうすでにもらっているじゃないですか?」

「それは国からの報酬だ。今言っているのはギルドからでる報酬だ。こっちは討伐に参加している冒険者ならみんなもらえるからな」

「つまりこのままだと国からの報酬しか出ないからこの機会に登録した方がいいってことですね」

「そういうことだ。ってことでどうする?もし登録するのなら必要ないとは思うが試験が必要になってくるが」

「「「「「作ります!」」」」」