グランが森を再生させる情報は瞬く間に広がり森には多くの人が集まった。
　そこで人々が目にしたのはクレーターだらけの荒野だった。

「な、なあここって元々めっちゃ木が生えてたよな……？」

「あ、ああ……ここらで一番大きい森のはずだけど」

　やはり人から聞く話と自分で見るのは違うのか目の前の光景にかなり驚いているようだった。
　そんな中グランは着々と魔法の準備を進めていた。
　今回グランが使うのは植物を再生させて森を元に戻す魔法であった。

　時空魔法で戻すことも考えたが魔物も一緒に復活してしまう恐れがあったためそれはやめた。
　森のサイズがかなり大規模だったため魔法陣を描き効率よく発動できるようにしていた。
　
「よしこれで大丈夫だな。そろそろ発動するので一応周りの人に離れるように伝えてください」

「すごいですねグラン様は……まさかこんなに早く新しい魔法を完成させてしまうなんて」

　確認のため同行したハルカとゴルダンはグランの非常識さを目の当たりにして唖然としていた。
　他のみんなは遠くで待機中だ。

「じゃあいきますよ。森林創造(クリエイトフォレスト)」

　グランが魔法を発動するとグランたちを中心に森が見る見る元に戻って行った。
　近くにいた二人はその様子を見て何かを諦めたようにグランを見つめていた。
　森が元どおりになるとグランはまるでなんでもなかったかのように「じゃあギルドに戻りましょうか」といい歩いて行ったのだった。

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　その頃、王城はパニック状態に陥っていた。

「一体何が起こってるんだ！？」

「急いでギルドに確認を入れろ！」

「王女殿下は無事だったのか？」

　本来スタンピードは国を揺るがす問題だ。
　都市がなくなるだけに限らず規模によっては小さい国なら魔物に蹂躙されることもあるのだ。
　そんな未曾有の大災害が起ころうとしていたにもかかわらず国に報告がいっていなかった。

　その理由はグランが解決したからだ。
　発見からスタンピード鎮圧までの時間はギルドが国に報告をするより早かった。
　国からしてみれば拍子抜けもいいところである。

　とりあえずギルドはスタンピードが起こったこと、それをSSSランク冒険者が解決したこと、そして被害はゼロであることをまとめて報告した。
　しかしそれは国に混乱をもたらすだけであった。

「とりあえず国王陛下に報告を入れよう。他のものは国内の確認と王女殿下の安否確認を急げ！」

「了解！」