グランはフレッドリックが登録をしている間に一緒に受けるのにちょうどいい依頼を探していた。
　初めての依頼ということや明日に旅行に行くということもあり簡単なものを探していた。
　とは言ってもフレッドリックにはBランクほどの実力はあるためあまり簡単でも面白くないと思った。

「一緒にやるとしたらやっぱりFかEランクの依頼じゃないとダメなのかな?」
　
　基本的にギルドの依頼は自分と同じランクか一個上までしか受けることが出来ない。
　これはFランクなどのレベルが低い冒険者を死なせないための措置である。
　必ずどこにでも自分の力を過信したものはいるものだ。

　受付嬢の話では大昔に調子に乗った冒険者が大量に依頼を失敗しギルドの信頼は落ち、多くの人が死んだ。
　そのような過ちを繰り返さないで欲しいと登録時に釘を刺されるのだ。
　今頃フレッドリックも言われている頃だろうとグランが考えているとフレッドリックが戻ってきた。

「待たせたなグラン！」

「登録できた?」

「おう！問題なくFランクからスタートだぜ！そっちは依頼見つかったか?」

「それがゴブリン退治とかの簡単なものしかないんだよね」

「俺はそれでも大丈夫だぜ?」

「あまり修行にはならないと思うよ?フレッドリックもランクで言ったらBぐらいはあるんだから」

　そんな話をしているとハルカが近寄ってきた。

「なんだ?何かあったのか?」

「グラン様まだいてくれて良かったですっ！実は……」

　ハルカの話だとどうやら王都の近くにある森で魔物が大量に発生したみたいだ。
　俗にいうスタンピードで色々な種類の魔物がまるで何かから逃げるように王都へ向かって来てるみたいだ。
　また発見した冒険者は重症で今すぐにでも治療が必要とされていた。

「ハルカさんその人のところに案内してください！」

「わかりました！」

「ごめんフレッドリック。今日は一緒に依頼受けられそうにないや……」

「いいって事よ！グランは最高ランクのSSSだもんな。それよりグランって回復魔法使えたっけ?」

「使えるよ！まあとりあえず行こうか」

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　その人がいる部屋につくとグランたちはすぐに治療の準備を始めた。
　とは言っても魔法でちゃちゃっと済ませるつもりで入るので何か異常がないかの確認だけにはなるが。
　グランは確認を終えるとすぐに回復魔法を発動した。

「完全治癒(パーフェクトヒール)、状態異常回復(デバフクリア)！」

「……こ、ここは？って魔物の大群はどうなった！？」

「落ち着いて下さいバーンさん。ここはギルドです。」

　ハルカが事情を説明するとバーンは落ち着いた。
　
「グランって言ったか？助けてくれてありがとうな！」

「グラン様はSSSランク冒険者様ですよ……言葉遣いには気をつけて下さいバーンさん」

「そうだったのか！？じゃあグランが……いやグラン様が最年少でSSSにあがったって伝説の……？」

「はいしかも貴族様です。当主の」

「「！？」」

「グラン様が貴族！？」

「ハルカさん知ってたの？」

「グラン様が貴族だということはわりと有名ですよ。あと王女様と……いやこれはいいですね」

「「？？」」