~アーサーside~ 

 わしはアーサー。

 この国の国王じゃ。

 国王といってもよく想像されるようなただ椅子に座って命令を出している人ではない。

 我が国、というかこの世界のだいたいの国が王も普通に事務作業をしたり、会議に出席したりしているのじゃ。

 それをしないのは帝国と魔族国ぐらいかの。

 そんなわけで今日も今日とて働いているとわしの妻であるヒメナが訪ねてきた。



「珍しいのわざわざここに来るなんて」



「いきなりごめんなさいね~ちょっと家族みんなで話したいことがあって~」



「会議も用事も今日は特にないから全然大丈夫じゃ。ところで家族で話したいこととはどんなことなのか?」

 するとヒメナは珍しく歯切れの悪い態度を取ったんじゃ。



「あ~これに関しては二人のプライバシーのこともあるの~。違ってたら大変だし二人が来てから話すわね~」



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「私から話があったのよ~。というか聞きたいこと?」



「それでどんな内容なのお母様」



「もしかしてあなたたち二人ともグラン君のことが好きなんじゃない?」



「「「!?」」」

 二人が部屋についてヒメナが口に出した言葉はだれも予想できないものじゃった。

 二人がグランのことを好き?

 それはちょっとさすがのヒメナでも違うんじゃないかの……



「え、えっ!?なななななななんで!?」



「どうしてわかったのですか!?」

 本当のことだったわい。

 ヒメナはすごいの。

 ってこんな悠長なこと言ってる場合じゃないわい!

 二人がグランのことを好き!?

 グランがいいやつなことも知っておるしヒメナが何も反論をしていないところを見ると大丈夫ではあるんじゃろう。

 しかしいくら人柄がわかっているとはいえ結婚するのはまださすがに早いじゃろう!?



「しかし二人とも同じ人を好きになるとはね~しかもグラン君は婚約者がいるでしょう?」



「なので婚約者のティナさんに話をしたら私は別に構わないと言ってくれました」



「ただ王家となによりグランの許可がないとだめなのよね」



「ですって~あなた」

 えっ?ここでわしにふるの?



「そうじゃの……。わしとしては反対じゃ」



「「!?」」



「そ、それって……」



「うむ。結婚はまだ早いしの。それにわしが寂しい!」



「そんな……」



「しかし王としては賛成せざるをえまい。あれほどの強者を放っておくことはできぬからの」



「……お父様。もしグランと結婚させてくれないのだったら私は今この場でこの命を絶ちます。それぐらいに私たちは本気なのです!」



「……二人ともそれぐらいに本気という事か?」



「「はい!」」

 はぁ……誰に似たんじゃかのこの頑固さは。



「そこまで言うのならしょうがない。グランは悪い奴じゃないことはこの前の宴会の時に確認はしてるしの」



「ということは……」



「うむ許可しよう。二人とグランの結婚を」



「「やった!」」



「ただしグランがYESと言ったらじゃぞ?」



「「もちろんです!」」

 本当は寂しくなるから意地でも反対したかったんだけどの、あんなふうに思いを見せつけられたらだれも反対できまいて。

 これも娘を持つ者の宿命なのかもしれないの。

 

「あとはグランの爵位が上がるようにお手伝いして仲を深めていくだけですね!お姉様」



「ええ改めて頑張りましょう!」

 二人とも燃えておるの~

 まあグランとは婚約が決まったらちょっと話をする必要がありそうじゃがの。