前世の記憶で異世界を発展させます!~のんびり開発で世界最強~

「じゃあ出発~!」

「まずはショッピングセンターでいいか?」

「いいよ~のんびりしよ!」

「公園は夕方で大丈夫だからね~。夕日がきれいだし」

「確かにあそこの公園から見える夕日はきれいだったな。地元でも隠れスポットだもんな」

「そうそう。せっかく帰って来たんだからいかなきゃ!」
 そうこう言っているうちにショッピングセンターに着いた。
 やはり3人揃っていると時間が早く感じるな。
 ちなみにこのショッピングセンターは2~3年前にできた割りと新しい施設だ。

「このショッピングセンターは割と新しめだから恵梨香は行ったことないな」

「そうなるね~初めて行くところだからめっちゃ楽しみ!!」

「私はもう何回かいっているから案内してあげよう!」

「ありがとーなみちゃん♪」
 ウィンドショッピングを楽しんだあとはカフェに行ったりゲームコーナーに行ったりとかなり満喫することができた。

「いやー遊んだ遊んだ♪」

「楽しかったね!」

「また機会があったらいきたいな」

「じゃあ次はおまちかねの公園ってことで!」

「今日は晴れてるからきれいな夕日が見れるといいな」

「そうだね~」

「なんかこうやって3人で歩くの懐かしいな」

「確かに」

「そうだ!これから学校一緒にいかない?昔みたいにさ!」

「いいね!楽しみ~♪」

「お、着いた着いた」

「ジャストタイミングだね!」

「それな!ほんとにきれいだね~」
 それからしばらく思い出話にはなを咲かせながら夕焼けを見ていた。気づくと辺りは暗くなっていた。

「じゃあ帰ろうか」

「そうだね!あまり遅くなってもいけないし」

「そう言えば恵梨香はどこにすんでるんだ?前と同じアパート?」

「そうだよ」

「じゃあ送っていくよ」

「ありがとー!」

「いいって。どうせ近くだしな」

「またまた~そんなこと言って!」
 そんな話をしつつ、俺たちは帰路に着いた。
 それは突然のことだった。
 恵梨香が転校してきて遊びにいき帰っている途中のことだった。

「今日はありがとう!楽しかったよ!」

「こちらこそ♪」

「久々に二人と遊びにいけて楽しかったよ」

「じゃあまた明日ね!」
 そういって恵梨香が家に入っていこうとしたとき突然目の前に雷のようなものが降ってきて真っ白になった。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 そうか!
 そんなことがあったからいまここにいるんだ。
 浪華と恵梨香は大丈夫だっただろうか?
 俺に直撃した感じだったからな。
 死んでいないにしても大火傷ぐらいは負っているかもしれない。
 いきなり俺がいなくなって困惑してないだろうか。
 先ほど鏡で姿を確認したときに前世と瓜二つだった。
 たぶん転生というより転移に近いだろう。
 何よりあれが雷だったとしたらたぶん跡形も残らないだろう。
 まあ見たことないのでわからないが。
 とりあえず現状の確認もできたことだし、とりあえずこの家の中から情報を集めていこう。

「って言うかここが異世界だとしたら魔法とか使えたりするのかな?」

 陽翔は前世で浪華とラノベにはまり二人でいろいろな作品を読んだ。
 そのためスキルや魔法に人一倍興味があるのだ。
(そう言えばマリネはどこにいったんだろう?呼べば来るのかな?とりあえず探しにいってみよう)

「マリネっている?」

「マリネ様ならたぶん図書室にいるかと」

「ありがとう!」
 図書室の場所を聞いていってみるとマリネがいた。

「マリネ!」

「どうかしましたか?グラン様。まだ病み上がりなんですから寝ていなくちゃだめですよ!」

「ごめん……。でももう大丈夫だから」

「そうは言っても・・・。まあいいです。それでなにかご用ですか?」

「ああ。そうだった。マリネって魔法とか使える?」

「使えますよ?」

「本当に!?見せてもらえたりできるかな?それと魔法に関する本とかこの世界の歴史の本とかあったら見せて欲しいな!」

「魔法を見せることはいまはできませんが本は両方あるのでお部屋にお持ちいたしますね!」

「ありがとう!マリネ!」

「では先にお部屋に戻っていてください♪私もここを片付けたら向かいます」

「はーい」
 魔法とかがあるって言うことは神様か精霊でも存在するのだろうか?
 なんにせよこれから新しく学ぶ魔法に思いを寄せるグランなのであった。
 あのあとマリネに魔法書と歴史書を持ってきてもらい読んでいた。

「この本に使われている言葉も日本語じゃないのになぜか理解できるんだよな。前世でも英語とかこのレベルで理解したかった……」

 話しているときはもちろん本を読むのだってなんの苦労もなく理解できる。
 やはりなにかスキルがあるんだろうか。
 今からとても楽しみだ。

「えーっと、まずは魔法書からかな?」

 グランが魔法書を開くと"魔法使いの素質が~"とか難しいことが書いてあった。

「なんか素質がない人には使えないみたいだけど大丈夫かな?」

 素質があるかを調べるにはありきたりだが、魔力を感じるところから初めるみたいだ。

「えっと、"魔力はへその下の丹田に魔力袋があり血液のように全身に巡らすことができる。魔力を感じられたら指先に集めて呪文を唱えてみよう。"ってなってるけど丹田を意識するってかなり難易度高いな・・。まあ頑張ってみるか」

「失礼します。お茶をお持ちしました」

「ありがとう。マリネ。マリネって初めて魔力を感じるときどうやった?」

「そうですね・・・歌うときみたいにお腹に力を入れるとやりやすいんじゃないんでしょうか。私はそれで流れをつかみました」

「なるほどね。わかった!ありがとう!」

「頑張って下さい♪お夕飯ができたらお呼びします」

「わかったよ」
 失礼しますといってマリネが出ていったあと歌うときのように腹に力を入れて魔力を感じてみた。

「う~んほわほわしていて温かいやつが魔力かな?とりあえず流してみよう。お!できたみたいだ。じゃあ指先に集めて呪文を唱えてみようかな?」

 そして「灯火(ファイヤ)」と呪文を唱えると火が出た。
 ただ予想していた火のサイズより大きいものが出た。

「うわっ!大きくない?なんかもっとこうろうそくみたいなサイズを予想してたのに。これは魔力が多かったのかな?それとも制御できてないとか。まあいずれにせよ鍛練していかないとね」

 また魔法書に目を落とし次のページを開くとそこには『毎日魔力を体内で循環させると魔力量が上がる。
 ただし素質がない人には循環させても魔法が使えるようにはならない。』と書いてありとりあえずこれを毎日やろうと思ったのであった。
 ちなみにグランの大声を聞き付けて何事かと心配したマリネが焦って部屋に飛び込んできたのはまた別の話だ。
 魔法書を読んで満足したグランは今度は歴史書を読みはじめた。
 歴史書を開くとまず10柱の神々の絵が載っていた。

「やっぱりこの世界には神様がいるんだな。この絵だと10柱いるな。えーっと左から順に創造神タパス・技能神アラミラ・生命神バイアス・大地神バレシア・商業神ナザレ・機械神ソニカ・遊戯神アーバン・魔法神サノヤス・剣神ヤマト・竜神バハマって言うのか」
 歴史書には思った通りいろいろなことが書いてあった。
 まとめると、

・この世界の魔法は魔法神が作ったものを人間が借りていること。

・魔法とは別にスキルもあり固有技能(ユニークスキル)は一人1~3個与えられ才能によって数は決まる。
 また固有技能(ユニークスキル)とは別に基本技能(ノーマルスキル)中堅技能(レアスキル)上級技能(レジェンドスキル)神級技能(ゴッドスキル)などがある。
 ちなみにごく稀にEX技能(特殊スキル)と呼ばれるスキルをもつものもいるらしいが今までに3人しかいないそうだ。
 スキルの順番は基本技能<中堅技能<上級技能<神級技能<EX技能<固有技能の順だ。
 固有技能は例を出すと"剣聖"や"魔法王"などのスキルで、一人持ち主が現れるとその人が生きている間は出てこないとされている。

 それゆえに固有技能なのだ。
 それ以外のスキルは後天的に取得可能とされており努力と才能次第で獲得できる。
 スキルや、ステータスは10歳の神々の洗礼の時に知ることができる。
 しかしなぜかそれまでは知ることができないのだそうだ。

 グランもステータスやステータスオープンなどのラノベで蓄えた知識をもとに色々唱えてみたがダメだった。
 グランは今7歳なのであと3年で洗礼を受け自分のステータスを知ることができる。

「やっぱり創作品(ラノベ)の知識じゃ異世界(本物)には通用しないか……」

 神々のこと以外も色々と書いてあった。
 今グランが住んでいるアリストタパスにはいくつかの国がある。
 今グランが住んでいるダイナース王国、隣に位置するワラント帝国、バナー共和国、ドメイン皇国、そして聖セレナーデ神聖国が主要国で五大国と言われている。
 他にも色々な国があるがとりあえず今はいいだろう。
 主要国は一般的に総合のダイナース、武力のワラント、経済のバナー、知力のドメイン、神聖のセレナーデと言われていてダイナースは文字通り、ワラントは周辺国に攻め込んでいるため、バナーは商業が発展してるため、ドメインは賢者が多いため、セレナーデはセレナーデ教の総本山のためなのが所以だ。
 お金は共通で銅貨などの貨幣だ。
 銅貨<大銅貨<銀貨<大銀貨<金貨<大金貨<白金貨の順になっており、銅貨1枚が日本円で100円になる。
 また銅貨10枚で大銅貨になり、10枚ごとに上がっていく。
 基本的に10進法だ。
 他にも法律など色々書いてあったがとりあえず今は必要ないので、グランは必要な情報だけ集めてまた魔法書を読みはじめた。
「グラン様。お夕飯が出来上がりました。皆さんお待ちです」

「わかったよ。ありがとうマリネ。今行く」
 グランが部屋を出るとそとにいたマリネが訊ねてきた。

「グラン様。魔法はお使いになれましたか?」

「うん!神様に素晴らしい才能を頂けたみたいだね。あとマリネのお陰だね。マリネのアドバイスのお陰でうまく行ったからね!」

「!?そ、そうでしたか。お役に立てて何よりです」
(何でまだ洗礼を受けていないのに魔法を使えるようになっているのかしら!?やはりグラン様はすごい才能の持ち主としか思えません!!これは旦那様と奥様にご報告しなくては!)
 二人が食堂に着くとグランの父であるカール・レア・ベルセリアと母であるニーナ・レア・ベルセリア、そしてグランの妹のカノン・レア・ベルセリアが席に着いていた。

「遅くなってしまいすみません」

「もー遅いよお兄ちゃん」

「ごめんね。カノン」
 カノンは今年で6歳になる僕の実の妹だ。

「まあそんなに待っていないから大丈夫よ。グラン」

「ありがとうございます。お母様」

「さあ夕飯にしましょう!」
 ベルセリア家の食卓はメイドや執事も一緒に食べることが習わしとなっている。
 何でも父が言うには「私たちは新興貴族だし名誉貴族だからね。あまり気にしないでいいのだよ。皆で食べた方が楽しいしね。あっ、ただしお客様がいるときは別だけどね。」とのこと。
 グランは素敵な考えだと思うがあまり一般的ではないらしく少し残念に思った。

「グランは魔法の本を読んでいたみたいだが魔法はどうだった?使えそうか?」

「無事に使うことができました!今のところは火と水だけですけど」

「そ、そうか……。ならよかった」
(火と水だと?普通は8属性である火・水・風・土・光・闇・氷・植物のうち1属性を使うために5年は修行を積まないと使えるようにならないのにもう2属性も使えるだと?)

「グランは魔法が何属性あるか知っているか?」

「えーっと、確か火・水・風・土・光・闇・氷・植物の8属性ですよね」

「ああ。それに幻と言われている神聖・機械2属性を足して合計10属性だな」

「そうなんですか!その2属性も使ってみたいです。特に機械とか見てみたいです!」

「グランは才能があるから頑張れば使えるかもしれんぞ?」

「本当ですか!?頑張ります!」

「とりあえず神々の洗礼まで頑張ってくれ」

「はい!」
 他にも色々な話をしながら夜は更けて行った。
 あれから3年がたちグランは10歳になった。

 今日は神々の洗礼の日だ。

 初めて魔法書を読んだあの日から毎日一生懸命魔法や歴史の勉強を続けてきた。
 数学や言語などもやったが一応前世では高校2年生まで通ってたので計算などは朝飯前だった。
 言語もスキル?のようなもので楽々クリアできた。
 ただいつ使えなくなるか分からなかったため一応覚えはしたが。

「今日はいよいよ洗礼の日ですね!グラン様!」

「ありがとう!マリネは洗礼の時に緊張した?」

「それはもちろんしますよ。ですが人生に一度のことなので楽しんで来て下さい」

「そうだね。楽しんでくるよ!」
 馬車の前には父と母、そしてカノンがいた。

「お兄様!早く早く~!行きますよ!」

「今日は洗礼の日だ。緊張しないで気楽にな?」

「大丈夫よ。グランならきっと色々なスキルをいただけるわ。では行きましょう!」

「ありがとうございます。父様、母様、カノン」
 そして馬車は動き出した。

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「あやつらは今日神殿に来るのか?」

「神官の報告だと今日になっております」

「では手筈通りによろしく頼むぞ」

「わかりました」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 神殿に着くと前世で言う祭服を着た人がこちらに来た。

「ベルセリア家の馬車と見受けられる。本日の洗礼を担当させていただきます。ライカ司祭です」

「よろしくお願いします。司祭様。グランです」

「グラン様ですね。ではグラン様はこちらにお願いします」
 ライカ司祭のあとをついていくとそこには10柱の神々の像が立っていた。

「ここは礼拝堂と言い神々の洗礼の時や、礼拝の時に使用します」

「そうなんですね。部屋に入ったら神々が御見えになられたので驚きました。本に描かれていた神々よりさらに神々しい」

「なんと。グラン様はもう歴史書をお読みになられていらしたのですね」

「本は家にたくさんありましたから」

「羨ましいです。では早速始めましょうか。グラン様は両手を組んで祈る格好になっていてください」

「はい!」
 ライカ司祭が呪文を唱え始めると神々の像が輝き出した。
 あまりの眩しさに目をつぶるとそこには先ほど礼拝堂で見たような顔がならんでいた。

「ここ……どこ?」

「よく来たな!グランよ。もしくは朝比奈陽翔か」

「!!!」

「まあ驚くのも無理はないだろう。席に座りたまえ」

「え?えーーーーーーーーーーーー!」

「まずは自己紹介といこうかの。儂はタパス。あとは右から順にアラミラ、バイアス、バレシア、ナザレ、ソニカ、アーバン、サノヤス、ヤマト、バハマじゃ。これからよろしくの」

「ええと神様達ですか?」

「そうじゃ。まあ色々聞きたいことはあると思うがとりあえず二人を待とう」

「二人って・・・」

「どうやら来たようじゃ」

「「「え!?」」」
 ここに来た二人はポカンとしていた。
 グランはその顔を知っていた。

「浪華!恵梨香!だよな!?」

「何でここにはるが?なみちゃんも・・・」

「えりーこそなんで?」

「とりあえず落ち着け。話したいこともあるでのう」

「「「わ・・わかりました」」」

「まずは三人ともすまなかった。あの時三人は雷に打たれて地球で死んでしまったんじゃ。あの雷は儂らのミスでそちら側に行ってしまったものでの、地球の転生軌道には乗せられないらしいのでこちらで引き取ったのじゃ。本当にすまんな。お詫びと行ってはなんじゃが三人には記憶を残し、環境にも恵まれるように操作させてもらった。またスキルも普通より強いものになっておるから楽しんで生活してくれ」

「なるほど……。これまでの疑問が全てなくなったわけではありませんが納得はできました」

「私も大丈夫です」

「私もです」

「本当にすまんのう。まあこれからよろしく頼むわい」
 こうして神々との出会いと幼なじみとの再会を果たした。
「では改めて説明させてもらうぞ」

「「「はい!」」」

「まずお主らは儂らのミスによって地球上で死んでしまった。そこでこちらの世界の転生軌道に乗せ陽翔にはグラン・レア・ベルセリアとして、浪華はナミア・レア・カザールとして、恵梨香はエリザベート・レア・セレクトインとして生まれ変わってもらった。記憶を持ってな。ここまで大丈夫か?」

「「「大丈夫です」」」

「そして10歳の洗礼になったのでここに来てもらったと言うわけだ」
 他にも色々な説明を受けた今の世界の状況や今後についてなどだ。

「儂らとしては3人で一緒にいてもらえると助かるのだが……」

「浪華と恵梨香はどこら辺に住んでいるんだ?」

「私はカザール領にいるからベルセリア領の隣だよ~!」

「私もセレクトイン領に住んでるからベルセリア領の隣ね!」

「じゃあ位置的には三角になってる感じだな?」

「そうね♪」

「そう言えば二人は王都にある学園に行くのよね?」

「私はそうだよ」

「俺もそうなると思うよ」

「そしたら学園でよくないかしら?」

「「確かに!」」

「という事でいいですか?」

「うむ。了解した。来年に入学になるのであろう?それまでにスキルとかを試しておいてのう。わからなくなったらいつでも神殿に来るがよいまたこの場に連れてきてやるからのう」

「「「わかりました」」」

「ではそろそろ時間じゃの。また会おうぞ!」
 タパス様がそう言うと視界が白に染められた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「ただいま戻りました」

「どうでした?お兄様!どんな感じだったか後でお話をお聞かせください!」

「わかったよ」

「グラン遅かったな。大丈夫か?」
(まさか浪華と恵梨香もこの世界に転生しているとは思わなかったな。二人いる妹のことは浪華と恵梨香がいるから大丈夫だと思っていたがこれは本格的に不味いかもな・・・)

「グラン?」

「大丈夫です。ですが少し緊張して疲れました」

「お疲れ様グラン。今日はゆっくり休みなさい」

「ありがうございます」

「じゃあ帰るか」
 帰りの馬車では疲れてしまったのかカノンは寝ていた。
 それを微笑ましそうに見ていた両親に聞いてみることにした。

「あの父様、母様。王立学園ってどんなところか知っていますか?」

「「!!!」」

「それをどこで?」

「教会で司祭様に聞きました」

「学園は来年入学になる予定だったからようすをみてはなそうとおもっていたんだがな・・・。まあいいか。学園は主に貴族や商人などのいわゆる金持ちが子弟を通わせる場所なんだ。うちは貴族と行っても名ばかりの名誉貴族だからな。グランが行きたいと言うなら行かせようと思ってたんだ」
 それを聞いたグランは少し遠慮しそうになったがすぐに二人との約束を思いだし思いとどまった。

「僕は学園に行ってみたいです!」

「そうか。やはりグランならそう言うと思ったよ。じゃあ明日からさらに勉強に励みなさい」

「はい!」

「着いたみたいだ。ではまた夕食後に話そう。あとステータスもその時見せてくれ」

「あ、あのステータスってどうやって見るんでしょう?」

「あれ?教わらなかったのか?」

「はい……」

「わかった。ステータスを見るには状態確認(ステータス)そしてそれを人に見せるときは状態開示(ステータスオープン)だ。これは魔力が少ない人でも発動できる。基本中の基本だ」
 生物はどんな人でも必ず魔力を持っている。
 魔力は生きるために必要となっており血などと同じような感じだ。
 魔力が本当になくなるときは死ぬときだ。
 ちなみに魔法を使いすぎると魔力枯渇という状態異常になり、半日ほど気絶する。
 しかし基本魔力量を増やすのにはとても効果的らしい。
 死ぬことはないのでなおさらだ。
 魔法の才能はそれの量の問題だ。

「わかりました。部屋に戻ったら確認してみます」

「ああ。では夕食の時にな」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 部屋に戻ったグランは早速ステータスを確認した……。

状態確認(ステータス)

 グランがそう唱えると目の前に半透明な板が出てきた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前:グラン・レア・ベルセリア
年齢:10歳
レベル:15
~称号~
ベルセリア家長男、転生者、秀才者、神々より愛されし者、神々の意思を伝えるもの、時空を司りし者、精霊より愛されし者、武具を司りし者

~基礎ステータス~
体力(HP):200
魔力(MP):130
攻撃(STR):40
防御(VIT):55
速さ(AGI):35
器用(DEX):30
知力(INT):100
物理耐性:50
魔法耐性:60
状態異常耐性:75

技能(スキル)
創造魔法(固有(ユニーク)
武具神(固有(ユニーク)
時空魔法(固有(ユニーク)
無属性魔法(EX(特殊)
全属性魔法(EX(特殊)
物理耐性(中級(レア)
魔法耐性(中級(レア)
状態異常耐性(中級(レア)

―――――――――――――――――――――――――――――――
 このステータスを見たグランは言葉を失った。
 普通のステータスは知らないがラノベの知識でこれが異常ということはすぐにわかった。
 そもそもレベル15で三桁の数字があること自体おかしい。
 高くても75ぐらいだろう。
 それに加えてスキルも色々とおかしい。

「ちょ待てよ。これを家族に見せるわけだよな・・・。絶対大変なことになる!!!」

 焦ったグランは必死にステータスをいじっているとダブルタップで詳細を見れることを発見した。

「このスキルを見た感じ今使えそうなものは創造魔法で魔法を作ることぐらいだな」

『創造魔法』

 ステータスを閉じ、グランが唱えると目の前にステータスの時と同じように半透明の板が出てきた。
 そこは検索エンジンのトップ画面のような作りになっていた。
 厳密に言うと枠がたくさんあったが。
 それの使い方はグランの頭の中に自然と入ってきた。

「この枠に自分が作りたい魔法の内容を具体的に書き込んで最後の枠に名前をいれればいいのか。しかしこの技能(スキル)日本語で書かれているな。打ち込みの言語も日本語、英語とか色々選べるようになってるし。情報漏洩防止なのかたまたまなのかはわからないけど」

 グランはステータスを隠蔽する旨を書き込み名前を隠蔽魔法と名付けた。
 そして確認ボタンを押すと《受け付けました。詳細はステータスから確認できます》という画面が出てきた。
 なので早速使ってみることにした。

『隠蔽魔法』

 《どのカテゴリーを隠蔽または改変しますか?》というアナウンスが聞こえてきた。

「うお!いきなり声が聞こえてきたな。びびった。とりあえず改変で」

《どのステータスを改変しますか?》
 いろいろ改変したり隠蔽したりして結局、

名前:グラン・レア・ベルセリア
年齢:10歳
レベル:15

~称号~
ベルセリア家長男、秀才者、時空を司りし者、精霊より愛されし者、武具を司りし者

~基礎ステータス~
体力(HP):85
魔力(MP):130
攻撃(STR):40
防御(VIT):55
速さ(AGI):35
器用(DEX):30
知力(INT):90
物理耐性:50
魔法耐性:60
状態異常耐性:75

技能(スキル)
武具神(固有(ユニーク)
時空魔法(固有(ユニーク)
全属性魔法(EX(特殊)
物理耐性(中級(レア)
魔法耐性(中級(レア)
状態異常耐性(中級(レア)

 といった感じになった。

「まあこれなら問題ないだろ!でもこの感じを見ると他の二人もステータスが大変なことになっていそうだな。後で通信魔法でも作るか」

「グラン様~!昼食が出来上がりました」

「っともうそんな時間か。すぐ行くよー」
 そう言ってグランは食堂へと向かった。
 食堂に向かうとメイド達とカノンのみで両親はいなかった。

「お兄様!一緒にお昼を食べましょう!」

「いいよ!父様と母様は?」

「旦那さまと奥さまはお仕事で席を外しておられます。いつ終わるかわからないから先にお昼を済ませてくれとのことです」

「ありがとう。じゃあみんなで食べようか?」

「そうしましょう!お兄様。みんなもいいですよね?」

「もちろんでございます」
 こうしてカノンやメイドたちと楽しく昼食をすませたあとまたステータスをいじっていた。

「二人と連絡を取るにはスマホでもあるといいんだけど作り方もわからないし作れたとしても渡すときがな~。となるとやっぱり魔法で何とかするしかないかな?」
 グランは早速創造魔法を使い通信魔法を作った。

「あ!!……作ったはいいけどいきなり声がしたらホラーだよな……。なにかいい方法はないものか」
 グランが作った通信魔法は言葉を届けるためだけのものなので着信音などの便利なものはついていなかった。

「やっぱり魔法で連絡とるのは無理だったのかな?」
 どうしたものかとずっと考えていたものの結局何も思いつかなかったのでステータスをもう一回開いてみることにした。

「えーっと状態確認(ステータス)

名前:グラン・レア・ベルセリア
年齢:10歳
レベル:15
~称号~
ベルセリア家長男、転生者、秀才者、神々より愛されし者、神々の意思を伝えるもの、時空を司りし者、精霊より愛されし者、武具を司りし者

~基礎ステータス~
体力(HP):200
魔力(MP):130
攻撃(STR):40
防御(VIT):55
速さ(AGI):35
器用(DEX):30
知力(INT):100
物理耐性:50
魔法耐性:60
状態異常耐性:75

~技能スキル~
創造魔法(固有ユニーク)
武具神(固有ユニーク)
時空魔法(固有ユニーク)
無属性魔法(EX)
全属性魔法(EX)
物理耐性(中級)
魔法耐性(中級)
状態異常耐性(中級)

「この時空魔法はなんだろう?」
 ステータスをダブルタップしてみると詳細がでできた。

~時空魔法~
 このスキルには現時点で6つのスキルが内包されている。
・転移:一度言った場所に一瞬で移動できる。
・転送:指定した魔力反応に物を送ることができる。
・未来予知:最大3日後までの未来を知ることができる。
・過去視:過去を知ることができる。制限はない。
・時間操作:時間を操作することができる。
時空移動(タイムスリップ):時間の旅に出掛けることができる。
 このスキルは使用者の技量によって成長していく。
 また過去を改編するとそれにともなった未来になるため気を付けることをおすすめする。

「これだ!」
 グランが注目したのは転送だった。
 指定した魔力反応に物を送ることができるため、二人に手紙を送ることができる。

「でも魔力反応ってどんなのだろう。今まで読んだ本にそんなことかいてなかったからな……。このスキルって神様のとこにも行けるのかな?」

 グランは先ほど神々と会ったあの場所をイメージして転移した。
 その結果グランが転移したのは神殿だった。

「…………あれ?どうして神殿に出たんだろう?まあまたお祈りすればいいか」

「誰かいらしてるのですか?グラン様!?」

「あ、司祭様」

「どうされたのですか?誰もお付きの人がいらっしゃらないようですが」

「それがですね……。本日神々に頂いたスキルを確認していたところ気が付いたらここにいたみたいです。これも神々の思し召しだろうと思い、御礼を言うために今から司祭様を探しに行こうと考えていました」

(まあ本当は転移が巧くいかなかっただけなんだけどね。それにスキルとかはあまり人に教えない方がいいと思うし)

「そうでしたか・・・。不思議なこともあるもんですね。では先ほどの礼拝堂に向かいましょう」

(あれ?なんかあまり信じられてなさそうだぞ?まあいいか)

 礼拝堂についたグランはライカ司祭と別れ神々の像の前で祈りの構えをとった。
 するとやはりグランの周囲は一面白に包まれ神々が現れた。

「さっきぶりじゃの。グランよ」

「さっきぶりですね。タパス様」

「今回はなんのようじゃ?まあ見ておったから大体は解っておるが」

「見ていらしたんですね。では単刀直入に言わせてもらいます。二人と連絡をとりたいのですが二人の魔力反応か居場所を教えてください」

「まあできなくはないんじゃが……。お主がやろうとしてることとそんなに変わらんぞ?」

「そうなのですか?」

「ああ。あと転移で直接これないことを気づいているとは思うが儂らと会うためには神殿に来て祈るしかないからの」

「わかりました。通話だけでも無理ですかね?」

「まあおいおい考えてみるわい。」
 ほかにもいろいろ情報を交換したあとグランは神殿に戻ってきた。

「司祭様。今日はありがとうございました」

「こちらこそ本日はお世話になりました。お屋敷までお送りいたしましょう」

「歩いて帰れますよ?」

「そういわれましても……。グラン様を馬車でお送りしないなどもってのほか。とにかくお送りします」

「わかりました。じゃあお願いしますね!」
 こうして馬車に乗せてもらい自宅に着くと妹であるカノンが頬を膨らませて待っていた。

「お兄様!どこに行っていらしたのですか?いっしょにお茶を飲もうと思ってお部屋にいったら誰もいなく屋敷中探しても見当たらなかったのでお父様とお母様と一緒に心配してたんですよ!」

「ごめんごめん。僕も気が付いたら神殿にいたからビックリしたんだ。でも何もなかったから大丈夫だよ」

「本当ですか?ならよかったです。でもこれからはいきなりいなくなるのはやめてください」

「うん。約束するよ」

「ではお二人とも夕食ができています。食堂へ行きましょう」
 マリネにそういわれ俺は妹と二人で食堂へと向かった。