「……なるほどこれを耐えるか」
(今までこの技の前では例え騎士団長であろうと耐えれたことはなかった。つまりグラン殿はかなりのやり手だろう)

「危ないところだった」
(見たところアレグサンダーさんはパワーファイターというよりスピード型みたいだ。厄介だな……)

「だが見たところ衝撃は伝わってるようだ。次で決めさせてもらう!」

「そうは行かせないさ」

「はっ言ってろ。聖剣術奥義繋界(コネクト)

「ッ!?転移っ!」

「ふっ!何をしようと無駄だよグラン殿」

「なっ!!!」
 グランはアレグサンダーが放った技を避けた……はずだった。

(なんでっ……!?完璧に避けたはず……まるで斬撃が転移してきたような)

「少しグラン殿のことを買いかぶりすぎていたようだ。これで終わりだ!」
 そういうとアレグサンダーは今までで一番強力と思われる技を発動した。

「世界最強と謳われた剣術の真髄、その身に刻むがいい!聖剣術秘奥義時時雨(ときしぐれ)

「ははは……これは無理だ……」
 アレグサンダーが技を発動した直後グランの視界が白に染まった。
 まるで光の中にいるような明るさに目をやられながらもグランは必死で魔力の流れを読んでいた。

(今まで強力だった聖剣術だ……この技だってそんなしょうもない代物な訳がない!何かがあるはずだ)

「残念だが君はもう負けたんだグラン君。時時雨は切り離された世界で対象の時間を繰り返す技、つまり今軽く一撃加えるだけでも……まあ今は聞こえてないだろうけどね」

「!?こ、これは……ただの斬撃か?はっ!」
 グランはどこからか放たれた斬撃を打ち消した。
 すると()()同じように斬撃が現れた。

「なっ!!」

「まさかこの中は時間が操られている?」
 グランはたどり着いた答えを証明するために魔法を発動した。

「時間操作!」
 その瞬間パリンと乾いた音が鳴り響き世界に色が戻ってきた。

「な!なんで出てこれたんだ!?」

「かなり手間取ったけどなんとか出てこれたよ。今のが最強の技だったとすると……」

「ふ、はははっ!正直君を見くびっていた。さあ最終ラウンドといこうじゃないか」

「こっちこそこの大会にここまでの強者がいるとは思わなかったよ。今までの借りはきっちり返させてもらうよ!」