〜アレグサンダーside〜



 私はアレグサンダー・レア・ギガスト。

 騎士になることを志し、日々精進している身だ。

 ギガスト家は代々王族に仕える騎士の名家だ。

 しかしそんな私にも悩みがあった。

 自分ではわからないがよく影が薄いと言われる。

 今だって魔法を展開していなくてもわかる距離にいるのに全く気づかれる気配がない……。

 それゆえ王女殿下に顔や名前すら覚えられていないっ!

 先程試合をした時だって初対面のように……だがそれはそれでいいのかもしれない。

 自らの存在に気づかれないのは隠密の時に大いに役立つ。

 その時まで自らの腕を磨いておこう。



 そんなことを考えながらもアレグサンダーはグランたちの会話に耳を傾けていた。



 どうやら決勝にまで駒を進めただけあってグラン殿はかなりのやり手のようだな。

 これは楽しめそうだが果たして私の存在に気づくことができるかな!?



〜グランside〜



「ついに決勝か……アレグサンダーさんはどんな人なんだろう?」 

 久々に強そうで未知の相手と戦えることにグランは気分を良くしていた。



「なんか楽しそうだね〜グラン♪」



「どんな人だろうって考えててね」



「仲良くなれそうな人だといいなぁ……でもでもとにかくがんばってね!」



「ああ!ありがとう!」

 ティナはそういうと観客席の方へと戻っていった。



「じゃあそろそろ向かいますか!」



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「それでは両選手入場してください!」

 流石に決勝戦ということもあって会場のボルテージは最高潮だった。



「グラーン!負けるな〜」



「二人とも頑張れ〜」



「アレグサンダー!若干ハーレムができているグランのことをボコボコにしてくれ!」



「なんか邪念が混ざった声援が聞こえるような……」



「アレグサンダーだ。よろしく頼むグラン殿」



「グランです。よろしくお願いします。アレグサンダーさん」

  

「それでは試合開始っ!」

 グランは試合開始の合図と共に防御魔法を発動した。



「魔力障壁プロテクトウォール」



「陽炎!」

 それと同時にアレグサンダーが詠唱を終え魔法を発動した。



(さてアレグサンダーさんはどう出る?とりあえず姿を消す魔法を使ったみたいだけど……っ!?)

 グランが異変を感じたのと同時にパリンっと甲高い音が会場に鳴り響いた。



「障壁が破られた!?っまずい神速!」



「っくこれを躱すか……厄介だな。だが問題ない身体強化:風嵐ブースト:ストーム」



「なっ!?」

(上級身体強化!?しかも神速に食らいついてくるだと!?)



「悪いがここで決めさせてもらう!聖剣術聖光剣ホーリーフレア」



「かは……っ!?」



「「「「「「グラン!?」」」」」」



「なんとここで今まで無傷で勝ち進んできたグラン選手が攻撃をくらったっ!これは面白くなってきましたね」

 こうして試合は第二ラウンドへと移り変わっていくのであった。