魔法学の教室である大講義室にやってきたグラン達は席に着くと開始を待っていた。

「どんな事をやるのかな?」

「魔法に関する理論とか論文とかを紐解くって書いてあったわよ。しっかり呼んだ?ナミちゃん」

「読んだよ〜。でも具体的に書いてなかったじゃん」

「どうかしら?読んでなかったんじゃないの〜?」

「そんな事ないもん!」
そんな会話の後授業が始まった。

「魔法学担当のアートス・レア・レゼルボーだ。ここでは魔法の研究を主にすることになる。じゃあさっそく始めるぞ」

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「結構面白かったな!まだまだ魔法は奥が深いぜ!」

「原理がわかるともっと魔法が使えそうな気がしてくるよね!」

「面白かったわねグラン」

「…………」

「グラン?どうしたの?大丈夫?」

「っああ、大丈夫だ。って悪い聞いてなかった」

「も〜しっかりしてよね!私の旦那さんなんだから」

「「む〜!」」

「?ごめんごめん少し気になることがあってさ」
(昨日から学園にいる間中ずっと視線を感じるんだよな……。気のせいだといいけど)

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〜シャミアside 〜
それはグランたちが部屋でお茶会をしていたころ…

「どうして!私が首席じゃないの?せめてサリーネが首席なら分かるのに」

「でも次席じゃないですかお姉様。まあ私も三席には納得いきませんが」

「そうよね!二人でずっと頑張ってたのにベルセリアの長男にその座を奪われるなんて……。そうだわ!入学したら本当に首席に相応しいかどうか見極めましょう」

「でも学園の厳しい審査を通っているんですからふさわしいとは思いますよ。何せあの学園が…ですから」

「だけどやっぱり私たちでも見極めたいじゃない?」

「それもそうですね。ちょっと観察してみましょう」
 それから何日か経ち入学式の日になった。

「今日は入学式ですね!お姉様」

「そうね。どれほど今日という日を待ち望んだことか。今日のあいさつできっと化けの皮が剝がれるわ」

「楽しみですね!不正をして得た地位でふさわしくない行動をとることがいかに恥ずかしいか。よく見てきましたものね」

「ええ。もし本当に首席なら必ず感動するようなスピーチをしてくれるはず!」


「すごかったですわ…。本当に私たちと同じ年齢?」

「しかも辺境の騎士爵家の出なのにあの人数に注目されていても堂々としていました…。私でさえかなり緊張してしまうのに」
 二人の目論見は外れグランのすごさを思い知らされた二人は軽いめまいを覚えながらも自室へと戻った。

「で、でも今日は式典だったけど明日からは普通の授業日だからきっと気を抜くはず!」

「それもそうですね!明日が楽しみです」
 二人は今日のことはまぐれだと信じ明日にかける事にした。

「シャミア・フォン・ダイナースですわ。王族ですが気軽に話しかけてくださいまし。これからよろしくお願いしますわ」

「サリーネ・フォン・ダイナースです。シャミアお姉様の妹になります。お姉さまと同様に気軽に話しかけてください。よろしくお願いします」
 二人が自己紹介をするとクラス中がざわめきだした。

(みんな私たちの噂をしていますね!)

(ええ。私たちのほうが注目度が高いしそのうち忘れられるでしょう)

 その日の授業はオリエンテーションで終わった。
 本格的な授業は明日からだ。
 二人は今日の自己紹介でグランより注目を集められた事で満足していた。

「これで彼はもう何もできないでしょう」

「私たちの完全勝利ね!明日からが楽しみね」
 まだ何も始まっていないうえにそもそも一方的な嫉妬であることに気づくこともない。
 そんな二人は思い知る事になる。
 グランが不正をして首席になったわけでなく実力のみで首席だということを。
 そしてそんな二人とかなり差があるということを……