入寮手続きが終わり荷物も運び終えたところでグランはカノンに連絡を入れた。

<片付け終わったよ〜。こっち来る?>
 家を出る前にカノンが「ある程度片付いたら呼んでください!」と言っていたのである。
 幸い寮はどの部屋も一人部屋のようでしかもかなり広いときた。

(これならカノンをたまに呼んでも大丈夫そうだな)
 その後ティナ達とも連絡を取っていると早速

(カノンから返事が来たな)

<お兄様の転移で迎えに来てもらえますか?>

<了解!>

「転移」

「お兄様!どんな感じでしたか?」

「ものすごい広かったよ!あれは見た方が早いから行こうか」

「少し待っていてください。準備してきます」

 待っている間にティナにカノンが行くことを伝えるとすぐに返事が来た。

<私もグランの部屋行きたい!ナミちゃんとエリーも誘って私たちも行ってもいいかな?>

<いいよ!カノンにも伝えておくね。部屋は空いてるから勝手に入っていいから>

<は〜い♪>

「お待たせしました!行きましょう!」

「随分と大荷物になったね」

「せっかくですしティナお姉様も呼んでお茶にしようと思って!」

「それはいいんだけど寮にもあると思うよ?」

「なかったら困りますし一応持っていきます」

「オッケー。じゃあ行こうか?ティナももう来てると思うし」

「はい!」

「転移」

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

「あっ!お帰りグラン!」

「ただいまティナ。ナミアとエリザベートもいらっしゃい。二人とも来てくれて嬉しいよ」

「呼んでくれてありがとね!」

「ちょうど暇だったからよかったわ。それにみんなで一回集まりたいって思ってたし」

「ずいぶん大荷物だね~カノン」

「はい!みんなでお茶しようと思って……ところでそちらの方々は?」

「二人はナミア・レア・カザール様とエリザベート・レア・セレクトイン様だよ。二人とは昔パーティーで知り合って以来の仲なんだ」

「そうだったんですね!グランお兄様の妹のカノン・レア・ベルセリアです!これからもよろしくお願いします!」

「ナミア・レア・カザールで~す!こちらこそよろしくね~♪……カノンちゃんでいいかな?」

「私はエリザベート・レア・セレクトインよ。よろしくお願いね!カノンさん」

「はい!よろしくお願いします!ナミア様、エリザベート様!」

「年齢1歳しか違わないし呼び捨てでいいよ?」

「私もそんなに気にしないしむしろ呼び捨ての方が仲良くなれた感じがあっていいかな」

「わかりました。ナミア、エリザベート。私のこともカノンで」

「「わかったよカノン。」」

「じゃあお茶にしましょう!」

「なんかティナはすっかりグランの奥さんみたいだね……」

「冬の間はずっと一緒にいたからな」

「いーなー……。今度またみんなでどっか出掛けようよ!この5人で!」

「私もいいのですか?」

「当然じゃない!みんなで遊びにいきましょ!」

「っ!はい!」

「どこか行きたいところとかある?」

「私はまたお兄様の転移でどこかに日帰り旅行にいきたいです!」

「「なにそれ羨ましい!」」

「私また行きたいなー」

「「「「グラン(お兄様)はどう?」」」」

「僕はなんでもいいよ?日帰り旅行も楽しかったし」

「じゃあ決まりね!」

(よかったね!カノンにも新しい友達が出来て)

(そうだね。二人も呼んでくれてありがとう)

(どういたしまして~♪)

「むぅ~……。また二人だけの空間作ってる……」

「なんか疎外感がすごいわね……」

「冬の間もだいたいこんな感じでした……」

「それは大変だったわね……っとそうだ!カノンもスマホを持ってるんでしょう?」

「はい!この前お兄様にいただきました!でもどうしてそれを…?」

「グランに教えてもらったのよ」

「じゃあ私達とも連絡先交換しよー!」

「いいんですか?お願いします!」

「なんかお姉様がまた出来たみたいでうれしいです!」

「「カノン……」」

(なにこのかわいい生き物!?)

(これは……やばいわね……!)

「何かあったらなんでも言ってね!」

「じゃんじゃん頼ってちょうだい!」

「ありがとうございます!」

「仲良くなれたようでよかったよ」

「ちょうどお茶も入ったから」

その後グランの部屋でお茶を楽しみ、会話を楽しんだ5人は暗くなる前に帰っていった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

入寮から2週間がたった。
今日はいよいよ入学式だ。

「いよいよだね!」

「今日ばかりはさすがに緊張するよ……」

「お兄様は首席代表挨拶がありますからね。でもお兄様なら大丈夫です!」

「期待に応えられるように頑張るよ」

「それにしてもすごいな……グランが首席だったとは」

「でもグランならあり得るわよ」

「確かにグランだからな」

「グランだもの」
両親に謎めいた納得をされつつグランとティナは会場へと向かった。