「それじゃあ乾杯!」
 ティナの乾杯の音頭で宴が始まった。

「グラン様!本当にティナのことを助けていただきありがとうございました!それにベルセリア家の皆さまもこれからの対策まで立てていただいて」

「私からももう一度お礼を言わせてください!グラン様のお陰で私達家族はバラバラにならずにすんだのですから!」

「どういたしまして。とは言ってもあそこで出会えたのは本当に偶然なので運命みたいですね」

「それでも助けていただいたことに変わりはないですから」
 シェリルが作った料理に舌鼓を打ちながら交流をしているといきなり話の内容が変わった。

「ところでグラン様は婚約者やお付き合いされている方はいますかな?」

「いませんが……」

「それならティナをもらってやってくれませんか?先程カール様とニーナ様とで相談したのです」

「その時に私が提案したのだよ。このままここをうちの領地にすれば周りの貴族達は減るだろう。だが今回のような盗賊は誰の領地であろうと関係ないからな」

「それだったらグランとティナさんが婚約を結んじゃえば襲ってくる人は減らせるんじゃないかって」

「で、でも僕らはまだ出会って二日しか経っていないので、正直なところまだまだ知らないところはたくさんあると思うんです。それにティナの気持ちもありますから」

「そんな御託は置いといてお前の気持ちはどうなんだ?」

「僕は……ティナのような素敵な女性と結婚できたら嬉しいです」

「ですってティナ?」
 するとティナは顔を真っ赤にしながら

「わ、私はグランとけ、結婚してもいいよ……?グランはいい人だし…それにこれからももっと一緒にいたい!」

「ほ、本当か?」

「本当ですか!!私もまだまだティナお姉様と一緒にいたいです♪お兄様?ここまで想ってもらってるんですから…」

「……わかりました。ではレイさん、シェリルさん。喜んでお受けいたします!」

「っ!!本当!?夢みたい!グランと結婚できるなんて!」

「私たちも君なら安心して送り出すことができます。本当にありがとうございます!」

「レイさん、シェリルさん、これからもよろしくお願いします!それとこれからは義理とはいえ父と母になるわけですから敬語ではなく普通に話してください。僕のこともグランと」

「そうだなグランよ。私たちももう家族だ。敬語はいらないぞ」

「わかりまし……っと。わかったよ。これからもよろしくねグラン君」

「はいっ!」

「よし!今日は呑むぞ!付き合え!レイよ」

「ええ!呑み倒れましょうか。カール様!」

「なぜ私にはまだ敬語なんだ……?」

「い、いやぁ……流石にいきなりというのは……」

「まあよいか。おいおい慣れていってくれ」
 こうしてこれから一生を添い遂げていく人との出会いは果たされたのであった。

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 大人たちは飲みに飲みまくったため皆酔い潰れてしまいグランとカノンとティナで寝室まで運ぶことになった。

「今日はありがとうね♪ここに連れてきてくれたこともそうだけど…そ、その私と婚約してくれたのも…」

「こちらこそありがとう。はじめに会った時から気にはなっていたんだけど……でもまだ出会ってからの日も浅いし、何よりここまで送り届けたらまたしばらく会えなくなるだろうから半ば諦めかけていたんだ」

「じゃあ私たち両想いだったってことだね!嬉しい♪」

「僕も嬉しいよ。じゃあ改めてこれからよろしくお願いします」

「こちらこそ不束者ですが末永くよろしくお願いします」
 二人は互いにそう言い合うと笑い合った。
 空はそんな二人を祝福するように輝いていた。

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 翌日朝食を食べ終えるとグランたちが帰る時間がやってきた。

「本当にお世話になりました。グラン君もう少ししたらティナもそちらに向かわせるから待っててね」

「ありがとうグラン君。そしてこれからもティナのことをよろしくね」

「はい!ティナもまたすぐに会おう!」

「うん!カノンもまたね!」

「お待ちしております!ティナお姉様!」

「では後はこちらに任せてくれ。上の説得もなんとかしておくから」

「はい!よろしくお願いします」

「じゃあ僕に捕まって!それじゃあまた!“転移”」

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「本当にすぐにいなくなってしまうんだな。本当にすごいお方だ。そんな彼が息子になって誇らしいよ」

「ティナも好きになった人と婚約できてよかったわね。あなた初恋だったんじゃない?」

「そうかも……本当に助けてくれたのがグランでよかった!神様。グランと巡り逢わせてくださりありがとうございました」
 その後村ではティナの帰還と婚約を祝うパーティーが夜遅くまで行われた。