〜side???〜
 これから私はどうなっちゃうのかな……。
 住み慣れた街で突然誘拐され自分がこれからどうなるかも何もわからない。
 怖いよ……。
 優しい父と母にもう一度会える日は来るのかな……?
 妹や弟たちも心配しているに違いない!
 今すぐにでも帰って安心させてあげたい……また一緒に遊びたい!
 一緒にいた友達はどうなったのかな?
 無事逃げられたかな?
 私のことをちゃんと伝えてくれたかな?
 またみんなに会いたいよ……。

 私が一人でそんなことを考えているうちに外が騒がしくなってきた。

 また魔物かな?

 いっその事ここで私を誘拐した奴等もろとも死んでしまえればどれほど楽になれるかな……。
 でも私は死ねない!
 生きて帰ってもう一度みんなに会うまでは……私は死ねない!

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 騒がしかった外が嘘のように静まり一人の足音だけが聞こえてきた。

 今すぐ逃げなきゃっ!
 私もあいつらみたいに殺されちゃう。

 しかし少女は逃げることができなかった。
 恐怖からくる硬直もあるだろうが何よりも縄で拘束されていて動けなかったのだ。

 いやだ……いやだっ!
 こんなとこで死ぬわけには!
 ああ神様どうか私を救ってください……。
 その直後突如轟音が辺りに響き渡った。

「っ!」

「怖かったね。もう大丈夫。僕は君の味方だよ」
 私の目の前に現れたのは神様でなく一人の少年だった。

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「よしっ!地竜(アースドラゴン)も倒したことだしさっきの男達の方へ行きますか」
 地竜(アースドラゴン)を倒したグランが駆け出すと探査(サーチ)に戦闘反応が表示された。

「あれっ?また戦ってる……。いくら何でも襲われすぎじゃね?とりあえず様子見かな?盗賊だし」
 危なくなったらまた介入するつもりで様子を見ることにした。

「早すぎない?かなり押されてるな。しょうがない……。行きますか!」
 グランが馬車のほうに行くと既に数人が事切れていた。

「大丈夫ですか!?」

「っ!なんで君が!?」

「あなた達と別れてから後ろにまた魔力反応があったんです!なにかと思っていってみたら地竜(アースドラゴン)がいたので討伐してきました!」

「!?なんと!そんな魔物まで……とにかく再度の助太刀感謝する」

「またあなた達は馬車の護衛を!魔物は僕が!」

(さっき創造したブレードを使って討伐するか。そういえば装備の強化とかもできるのかな?)

「武具神っ!」
 グランが再度武具神を発動すると選択肢が増えていた。

(武器を創造しますか?強化をしますか?)

(できるんだ)

「強化で!」

(強化のタイプを選んでください)
 提示された方法は3つあった。
・エンチャント系強化
・素材系強化
・武装改造
 エンチャントは文字通り切れ味UPなどの効果を一時的に付与するもの、
 素材は鉄を魔法銀(ミスリル)に組み替えるなどの素材を変えるもの、
 武装改造はブレードを短剣に変えるなどのシンプルなものやライフルなどの特殊武器に変えることもできる。
 グランは迷った結果一番分かりやすいエンチャントから使うことにした。

(分かりにくいのは訓練とかにしといた方が安全だからね)

「ってことで武具神!エンチャント鋭利化、斬鉄!」

 斬鉄は文字通り鉄を切るためのエンチャントだ。
 そんな危険な剣を前にして生き残れるような魔物はこの場には居なかった。

「討伐完了っと!大丈夫でしたか?」

「ああ。また助けられてしまったな……」

「馬車に乗っている人は無事ですか?」

「ああ。今回も大丈夫だったみたいだ。また悪いのだが、会わせることはできない」

「ああ、その事なのですが……」

「???」

「あなた達ってそのその馬車に乗っている人の本当の護衛じゃないですよね?」

「な、なんのことだ?私たちはこの馬車に乗っているお嬢の護衛だぞ?」

「さっき魔物の気配がして戻ったときに聞いちゃったんですよねぇ。この仕事が終ればどうのこうのって。あなた達って盗賊ですよね?」

「私たちはそんな会話などしていない!聞き間違いではないかな?」

「あのですね。この際言っときますけど……。本当の良家の御令嬢が乗っている護衛は冒険者を雇う家もたまにありますがほとんどがお抱えの傭兵団だったり国から派遣された騎士だったりします」

「何が言いたい?」

「まだわかんないんですか?装備もバラバラで連携もあまり上手くない。そんな集団が傭兵団とかな訳ないですよね?」

「くっ!…………流石だな。腕が立つだけあると見た。その通りだ」

「と言うと?」

「俺らは盗賊だ。しかも物だけでなく人攫いまでやるな!」

「いいんですか?そんなこと僕に教えちゃって?」

「良いわけないだろう?だからお前にはここで死んでもらうことにした。俺らのことがバレちゃまずいのでね。って事で野郎どもやっちまえ!」

「僕に勝てるとでも?」

「無理だろうなっ!だから正攻法では行かねー。喰らえ!技能封印(スキルシール)っ!」

「!!?」

(何だ?力が封じられていくような……)
 突如グランはものすごい勢いで何かが抜けていくのを感じた。
 それは魔力がゼロになる時と同じ感覚だった。

「お前っ!何をしたっ?」

「何をって俺の固有技能(ユニークスキル)であんたの技能(スキル)を封じただけさ」

「くっ!」

(どうする?技能(スキル)を封じられていては転移も使えない!防御でさえ!)

「さあ!死ねッッッ!」

(万事休す!)
 その時グランにはひどくゆっくり光景が流れた。
 その視界で突然何かが輝き出したっ!