前回のあらすじ
ウールソの怪しい質問攻め再び。
元気いっぱいに応えるリリオだったが。
薪が足りなくなりそうだからと柴刈りに出かけたら、何故だかウルウもついてきた。ぼんやりしていることが多いから何時間でもそうしてられるって勘違いしやすいけど、なんだかんだこいつ暇潰しにうろちょろしてるのよね。
いまだってあたしの柴刈りを手伝っているわけじゃなくて、山の中の変わった動植物を観察に来ましたって風情で、あっちにフラフラ、こっちにフラフラ、気づいたらすぐそばに戻ってきているっていうのを繰り返してる。
あたしにはいったい何が楽しいのか全く分からないけど、まるで生まれたての赤ん坊みたいに、こいつは何にでも興味を示す。なんでも口に入れたりしないだけましだけど、危険なものでも気にせず手を出すから怖い。
「トルンペート」
「なによ」
「これ何」
「危ないからポイしなさい」
「はーい」
冗談じゃなく、こういう会話が結構頻繁にある。
つい今しがたも爆裂団栗を拾って持ってきて、危うく胆が潰れるかと思ったわ。幸いすぐに放り捨ててくれたから、遠くで炸裂してくれたけど。握りしめたままだったら指が吹っ飛んでたかもしれない……って自分で言っておきながら、こいつがそういう怪我を負うところがちょっと想像できない。
こういのは、あれよね、あたしだけ黒焦げになって、こいつはしれっとして「危ない危ない」とか言ってそう。
しばらくしてくればウルウも危険というものをある程度認識してくれたようで、何か見つけた時は触らずにあたしに聞いてくれるようになった。
あたしからすればどうしてこんなものを珍しがるんだろうというくらいあり触れたものから、山に慣れたあたしでも珍しく思うような貴重なものまで、ウルウは分け隔てなく見つけては聞きに来る。
そして一度聞いたものはしっかり覚えて、二度と聞きに来るということがない。
ちょっと面白くなって、よく似た外見の団栗を何種類か並べて当てさせてみたら、リリオでも苦労しそうなところを平気で即答して見せた。
一度見たものは忘れないって以前言っているのを聞き流したことがあったけど、もしかしたら本当なのかもしれなかった。
……となると、以前トランプ遊びで勝負した時にやたらと勝率が高かったのも、場に出た札を全部覚えてたからじゃないでしょうね。帝都から最近流れてきた遊びだから、やり方を熟知してるあたし以外は公平だって思ってたけど、ウルウに関しては別みたいね。
あー、というか、リリオだけ勝率が低かったのも、うなずけるわね。
神経衰弱はもう二度と賭けありではやらない方がいいわ、これは。秘蔵の一本取られちゃったし。
それにしても、それだけ記憶力がいいウルウがあれこれ気になって歩き回るというのは、これって不思議だ。
だってそうだろう。
山の中のものは、まあ、ウルウが箱入り娘で外に出たことがなかったと言うことなら、物珍しがって仕方がない。
でもウルウが小首を傾げるものは、むしろ街中の方が多いくらいだ。店先に並ぶ品々で首を傾げないものの方が少ないし、最近あたしにも隠す気がなくなったのか、あれこれ尋ねる内容はごくごく当たり前の事ばかりだ。
街にも降りたことのない余程のお嬢様っていうには、ウルウはどうも洗練されていない。良くてもお金持ちの市民、町民だ。そうしてそういう層にしては、ウルウの能力はずば抜けて優れ過ぎている。
「あんたってさ」
「なに」
「何者なの?」
何となく投げかけた問いかけに、ウルウはしばらく咀嚼するようにじっと考え込んでいた。
「何者なんだろう」
「あたしが聞いてんのよ」
「人間、ではないのかも」
「意外でもないかも」
「えっ」
「えっ」
別に今更ウルウが人間じゃなかったところで、意外でも何でもない。
辺境にはそれこそ人間やめてるのがごろごろいるし、近場でいえばメザーガを始めとして《一の盾》の面子は大概人間やめてる。
でもそういうことじゃなくて、種族として、人族でもなければ、あたしの知ってる隣人種でもないんじゃないかって言うのは、別に意外でも何でもない。
「じゃあなんだと思ってたのさ」
「そういう生き物だと思ってた」
「そういう生き物」
「種族:ウルウ、みたいな」
「あー」
本人も納得するところらしい。
「まあ、なんでも、亡霊らしいよ、私は」
「亡霊?」
「一度死んでるんだって。それでまあ、今の私は亡霊みたいなものなのさ」
「よくわかんない」
「私も」
でも神様がそう言っていたからと言うのには少し驚いたが、でもまあ、ウルウはちょっと神がかったところがあるというか、浮世離れしたところがあるというか、神様に愛されていそうなちょっと儚いところがある。
「早死にしないでよね」
「詩人は早死にするっていうよ」
「あんた詩人じゃないでしょ」
「でもよく笑われてる」
「……あー。あれは詩なの?」
「地元じゃポエットって扱いだったよ」
「ポエット」
「ポエット」
それはなんだか笑える響きだった。
心地よく空気もほぐれて、程よく薪も集まって、私は折角なのでいろいろと、聞いてみたかったことを尋ねてみることにした。こいつと二人きりと言うのは、なんだかんだ珍しいし。
「あのさ」
「なあに」
「なんでリリオなの?」
「なんでって……なんで?」
「なんでっていうか……正直リリオってついていきたいって思える感じじゃないと思うんだけど」
「あー」
あたしみたいに面倒を見るのが幸せみたいなそういう風に調教された生き物でもないと、あっこいつ面倒くせえ、ってなるんじゃないかと思う。
リリオ自身面倒は見る方だし、ウルウもなんだかんだ面倒見はいい方ではあるかもしれないけど、あんまり人付き合い好きそうじゃない、と言うよりはっきり苦手そうだから、べたべたしがちなリリオの相手は辛いと思うのだけれど。
「リリオと会った時の話ってしたっけ」
「えっと……熊木菟相手に矢避けの加護使わないでぼっこぼこにされたって話だっけ」
「それそれ」
あの時は単に阿呆かと思ったくらいだけど、普通に考えてリリオが熊木菟の空爪くらい避けられない訳ないのよね。余程老獪な個体ならともかく、あれって予備動作もあるし、辺境の剣士で避けられないのって恥って言うくらいだし。
「あれさ、私のこと助けてくれたんだよね」
「はあ?」
「わたしぼんやりしてて熊木菟に気付かなくってさ、そしたら、リリオに突き飛ばされて、助けてもらったんだ」
「余計なお世話じゃない?」
「私のこと知ってたらそうかもしれない」
まあ、そうか。
いまでこそ、こいつ背後から酒瓶で殴りつけても平気で避けるってことあたしたちは知ってるけど、そうと知らなければただのひょろ長い嬢ちゃんに過ぎない。
「まあ、私のこと知ってても同じことしたと思うけど」
「あー、そういうとこあるわよね」
「だからかなあ」
「なにがよ」
「なんでって話」
「なんでって……あー、なんでリリオっていう話?」
「そう、それ」
「なにそれ。白馬の王子様に助けられてドキッとしちゃったやつ?」
「目の前でさっきまで笑顔だった子が血まみれになってきりもみ回転してドキッとしちゃったやつ」
「おうふ」
「放っておいたら死ぬんじゃないかとは思ったよね」
「わかるわ」
「わかりみ」
「わかりみ?」
「わかりみが深い」
「あー……わかりみ、深いわね」
二人してなんだかしみじみと深いねー、深い深いと意味の分からない相槌を打ち合ってしまった。
「でもさ、しばらく付き合って嫌になったりしてない?」
「別にしてない」
「ほんとに?」
「……ちょっとだけ」
「やっぱり」
「距離感がさ」
「あー」
「距離感が、近い」
「あの子べたべただもんね」
「懐かれて嫌なわけじゃないんだけど」
「うん」
「慣れてないから、気持ち悪くなる」
「ごめん、それはわかんない」
「うん」
「いやー」
「なんていうかこう、生き物にあんまり触ったことないから」
「まさかの動物扱い」
「壊しそうで怖い」
「どういうことなの?」
「後たまに壊されそうで怖い」
「あの子真面目に人の骨圧し折ったことあるからね」
「そっちの方が気になるんだけど」
気付けば、いい時間になっていた。
用語解説
・爆裂団栗(Eksprodi glano)
爆裂椚(Eksprodi kverco)の殻斗果、つまりドングリ。
春から夏にかけて気温が高くなると、内部のメタ・エチルアルコールが封入された火精と反応して爆発し、種子を周囲にぶちまける。爆発自体は小規模だが、子供などが手に握ることで温度上昇、炸裂し、指などを吹き飛ばす事例がある。
また、植物でありながら火精を扱う珍しい魔木として研究もされている。
なお、この実自体は渋みが強く、流水で数日あく抜き・火精抜きをしなければ食べられない。
・トランプ遊び
近年、帝都から発信された札遊び。
四種各十三枚の五十二枚、つまりスートと呼ばれる四種類のマークと、一から一〇の数字札とジャック、クイーン、キングと称される字札の組み合わせ五十二枚、それに加えてジョーカーと称される絵札一枚ないし二枚からなる遊び札。
ポーカー、七並べ、神経衰弱などの厳密に規定された遊び方とともに発信されており、課税対象であることからも、かなり計画的につくられた遊戯ではないかと噂されている。
誰かがすでに出来上がったものを持ち込んだようでさえある。ね。
・神様に愛されていそう
我々の世界でも、神に愛されているというのは早逝すること、つまり早死にすることに対して言われる形容だ。
ただこの世界では、神に愛されるというのはしばしば半神などとして召し上げられたり、既知外の神の精神に触れて気が触れたりなど、大いにろくでもない場合が多いが。
・背後から酒瓶で殴りつけても平気で避ける
ウルウの回避能力はゲーム時代の「攻撃に対する回避判定は計算で自動的に算出される」ことからくる自動的な物であり、それが攻撃または危険と判定されれば、見えていまいと気づいてなかろうと反射的に発動する。
それはともかく、背後から酒瓶で殴りつける経験があるというのはどういうことなのか。
ウールソの怪しい質問攻め再び。
元気いっぱいに応えるリリオだったが。
薪が足りなくなりそうだからと柴刈りに出かけたら、何故だかウルウもついてきた。ぼんやりしていることが多いから何時間でもそうしてられるって勘違いしやすいけど、なんだかんだこいつ暇潰しにうろちょろしてるのよね。
いまだってあたしの柴刈りを手伝っているわけじゃなくて、山の中の変わった動植物を観察に来ましたって風情で、あっちにフラフラ、こっちにフラフラ、気づいたらすぐそばに戻ってきているっていうのを繰り返してる。
あたしにはいったい何が楽しいのか全く分からないけど、まるで生まれたての赤ん坊みたいに、こいつは何にでも興味を示す。なんでも口に入れたりしないだけましだけど、危険なものでも気にせず手を出すから怖い。
「トルンペート」
「なによ」
「これ何」
「危ないからポイしなさい」
「はーい」
冗談じゃなく、こういう会話が結構頻繁にある。
つい今しがたも爆裂団栗を拾って持ってきて、危うく胆が潰れるかと思ったわ。幸いすぐに放り捨ててくれたから、遠くで炸裂してくれたけど。握りしめたままだったら指が吹っ飛んでたかもしれない……って自分で言っておきながら、こいつがそういう怪我を負うところがちょっと想像できない。
こういのは、あれよね、あたしだけ黒焦げになって、こいつはしれっとして「危ない危ない」とか言ってそう。
しばらくしてくればウルウも危険というものをある程度認識してくれたようで、何か見つけた時は触らずにあたしに聞いてくれるようになった。
あたしからすればどうしてこんなものを珍しがるんだろうというくらいあり触れたものから、山に慣れたあたしでも珍しく思うような貴重なものまで、ウルウは分け隔てなく見つけては聞きに来る。
そして一度聞いたものはしっかり覚えて、二度と聞きに来るということがない。
ちょっと面白くなって、よく似た外見の団栗を何種類か並べて当てさせてみたら、リリオでも苦労しそうなところを平気で即答して見せた。
一度見たものは忘れないって以前言っているのを聞き流したことがあったけど、もしかしたら本当なのかもしれなかった。
……となると、以前トランプ遊びで勝負した時にやたらと勝率が高かったのも、場に出た札を全部覚えてたからじゃないでしょうね。帝都から最近流れてきた遊びだから、やり方を熟知してるあたし以外は公平だって思ってたけど、ウルウに関しては別みたいね。
あー、というか、リリオだけ勝率が低かったのも、うなずけるわね。
神経衰弱はもう二度と賭けありではやらない方がいいわ、これは。秘蔵の一本取られちゃったし。
それにしても、それだけ記憶力がいいウルウがあれこれ気になって歩き回るというのは、これって不思議だ。
だってそうだろう。
山の中のものは、まあ、ウルウが箱入り娘で外に出たことがなかったと言うことなら、物珍しがって仕方がない。
でもウルウが小首を傾げるものは、むしろ街中の方が多いくらいだ。店先に並ぶ品々で首を傾げないものの方が少ないし、最近あたしにも隠す気がなくなったのか、あれこれ尋ねる内容はごくごく当たり前の事ばかりだ。
街にも降りたことのない余程のお嬢様っていうには、ウルウはどうも洗練されていない。良くてもお金持ちの市民、町民だ。そうしてそういう層にしては、ウルウの能力はずば抜けて優れ過ぎている。
「あんたってさ」
「なに」
「何者なの?」
何となく投げかけた問いかけに、ウルウはしばらく咀嚼するようにじっと考え込んでいた。
「何者なんだろう」
「あたしが聞いてんのよ」
「人間、ではないのかも」
「意外でもないかも」
「えっ」
「えっ」
別に今更ウルウが人間じゃなかったところで、意外でも何でもない。
辺境にはそれこそ人間やめてるのがごろごろいるし、近場でいえばメザーガを始めとして《一の盾》の面子は大概人間やめてる。
でもそういうことじゃなくて、種族として、人族でもなければ、あたしの知ってる隣人種でもないんじゃないかって言うのは、別に意外でも何でもない。
「じゃあなんだと思ってたのさ」
「そういう生き物だと思ってた」
「そういう生き物」
「種族:ウルウ、みたいな」
「あー」
本人も納得するところらしい。
「まあ、なんでも、亡霊らしいよ、私は」
「亡霊?」
「一度死んでるんだって。それでまあ、今の私は亡霊みたいなものなのさ」
「よくわかんない」
「私も」
でも神様がそう言っていたからと言うのには少し驚いたが、でもまあ、ウルウはちょっと神がかったところがあるというか、浮世離れしたところがあるというか、神様に愛されていそうなちょっと儚いところがある。
「早死にしないでよね」
「詩人は早死にするっていうよ」
「あんた詩人じゃないでしょ」
「でもよく笑われてる」
「……あー。あれは詩なの?」
「地元じゃポエットって扱いだったよ」
「ポエット」
「ポエット」
それはなんだか笑える響きだった。
心地よく空気もほぐれて、程よく薪も集まって、私は折角なのでいろいろと、聞いてみたかったことを尋ねてみることにした。こいつと二人きりと言うのは、なんだかんだ珍しいし。
「あのさ」
「なあに」
「なんでリリオなの?」
「なんでって……なんで?」
「なんでっていうか……正直リリオってついていきたいって思える感じじゃないと思うんだけど」
「あー」
あたしみたいに面倒を見るのが幸せみたいなそういう風に調教された生き物でもないと、あっこいつ面倒くせえ、ってなるんじゃないかと思う。
リリオ自身面倒は見る方だし、ウルウもなんだかんだ面倒見はいい方ではあるかもしれないけど、あんまり人付き合い好きそうじゃない、と言うよりはっきり苦手そうだから、べたべたしがちなリリオの相手は辛いと思うのだけれど。
「リリオと会った時の話ってしたっけ」
「えっと……熊木菟相手に矢避けの加護使わないでぼっこぼこにされたって話だっけ」
「それそれ」
あの時は単に阿呆かと思ったくらいだけど、普通に考えてリリオが熊木菟の空爪くらい避けられない訳ないのよね。余程老獪な個体ならともかく、あれって予備動作もあるし、辺境の剣士で避けられないのって恥って言うくらいだし。
「あれさ、私のこと助けてくれたんだよね」
「はあ?」
「わたしぼんやりしてて熊木菟に気付かなくってさ、そしたら、リリオに突き飛ばされて、助けてもらったんだ」
「余計なお世話じゃない?」
「私のこと知ってたらそうかもしれない」
まあ、そうか。
いまでこそ、こいつ背後から酒瓶で殴りつけても平気で避けるってことあたしたちは知ってるけど、そうと知らなければただのひょろ長い嬢ちゃんに過ぎない。
「まあ、私のこと知ってても同じことしたと思うけど」
「あー、そういうとこあるわよね」
「だからかなあ」
「なにがよ」
「なんでって話」
「なんでって……あー、なんでリリオっていう話?」
「そう、それ」
「なにそれ。白馬の王子様に助けられてドキッとしちゃったやつ?」
「目の前でさっきまで笑顔だった子が血まみれになってきりもみ回転してドキッとしちゃったやつ」
「おうふ」
「放っておいたら死ぬんじゃないかとは思ったよね」
「わかるわ」
「わかりみ」
「わかりみ?」
「わかりみが深い」
「あー……わかりみ、深いわね」
二人してなんだかしみじみと深いねー、深い深いと意味の分からない相槌を打ち合ってしまった。
「でもさ、しばらく付き合って嫌になったりしてない?」
「別にしてない」
「ほんとに?」
「……ちょっとだけ」
「やっぱり」
「距離感がさ」
「あー」
「距離感が、近い」
「あの子べたべただもんね」
「懐かれて嫌なわけじゃないんだけど」
「うん」
「慣れてないから、気持ち悪くなる」
「ごめん、それはわかんない」
「うん」
「いやー」
「なんていうかこう、生き物にあんまり触ったことないから」
「まさかの動物扱い」
「壊しそうで怖い」
「どういうことなの?」
「後たまに壊されそうで怖い」
「あの子真面目に人の骨圧し折ったことあるからね」
「そっちの方が気になるんだけど」
気付けば、いい時間になっていた。
用語解説
・爆裂団栗(Eksprodi glano)
爆裂椚(Eksprodi kverco)の殻斗果、つまりドングリ。
春から夏にかけて気温が高くなると、内部のメタ・エチルアルコールが封入された火精と反応して爆発し、種子を周囲にぶちまける。爆発自体は小規模だが、子供などが手に握ることで温度上昇、炸裂し、指などを吹き飛ばす事例がある。
また、植物でありながら火精を扱う珍しい魔木として研究もされている。
なお、この実自体は渋みが強く、流水で数日あく抜き・火精抜きをしなければ食べられない。
・トランプ遊び
近年、帝都から発信された札遊び。
四種各十三枚の五十二枚、つまりスートと呼ばれる四種類のマークと、一から一〇の数字札とジャック、クイーン、キングと称される字札の組み合わせ五十二枚、それに加えてジョーカーと称される絵札一枚ないし二枚からなる遊び札。
ポーカー、七並べ、神経衰弱などの厳密に規定された遊び方とともに発信されており、課税対象であることからも、かなり計画的につくられた遊戯ではないかと噂されている。
誰かがすでに出来上がったものを持ち込んだようでさえある。ね。
・神様に愛されていそう
我々の世界でも、神に愛されているというのは早逝すること、つまり早死にすることに対して言われる形容だ。
ただこの世界では、神に愛されるというのはしばしば半神などとして召し上げられたり、既知外の神の精神に触れて気が触れたりなど、大いにろくでもない場合が多いが。
・背後から酒瓶で殴りつけても平気で避ける
ウルウの回避能力はゲーム時代の「攻撃に対する回避判定は計算で自動的に算出される」ことからくる自動的な物であり、それが攻撃または危険と判定されれば、見えていまいと気づいてなかろうと反射的に発動する。
それはともかく、背後から酒瓶で殴りつける経験があるというのはどういうことなのか。