異界転生譚ゴースト・アンド・リリィ書籍③巻発売中!
書籍ネタバレ感想などは活動報告や作者マシュマロなどにどうぞ。
これまでのあらすじ
限界ブラック企業で社畜OLをしていた妛原 閠(あけんばら うるう)(26)は、過労と不摂生となんやかんやの合わせ技により倒れ、邪神プルプラちゃん様の手により「ゲームのアバターで、でもゲームじゃないっぽい異世界に飛ばされるやつ」として神々の遊戯盤たる異世界にチートボディで転生を果たした。
ステルスチートとかいうラノベ一本かけそうなチート持ちの癖に、誰ともかかわらずひとの活躍だけ眺めて楽しもうとか言うチート主人公にあるまじきステーション・バーみたいな楽しみ方をしようとした閠だったがそうは問屋が卸さず、現地の少女リリオとなんやかんやあって冒険屋になることに。
なった、冒険屋に(倒置法)。そしてリリオのお目付け役である戦うメイドさんこと武装女中トルンペートも仲間に加わり、冒険屋としてなんやかんやしたり、リリオの本来の目的である母の生家をたずねたりなぜか生きてた母を発見したり流れで実家にとんぼ返りしたり流れで結婚したり流れで新婚旅行してみたりした結果としていまは東部を旅しているのだった。
詳しくは「異界転生譚ゴースト・アンド・リリィ(350話くらい)」をお読みになるか、実質総集編にあたる「書籍①巻発売カウントダウンSS」でなんとなく思い出してください。
また書籍版(①~③巻)で情報量がマシマシになったり、その情報をしれっと逆輸入したりもするかもしれなかったりもあったりなかったりするとかなんとかなので、よしなにお願い申し上げます。
牧歌的、というのはまさしくこういう風景のことを言うのかもしれない。
熊みたいに大きな犬である大熊犬のボイがひく馬車は、なだらかな丘を緩やかに迂回する街道をのんびりと進んでいた。
丘といっても、平野との境が曖昧で、ほとんど平地と呼んで差し支えなさそうではある。見渡す限りに山と言えるような高さの起伏はなく、空の青と大地の黄色と緑が、はっきりとしたコントラストを描いていた。
「なんだか、絵に描いたような景色だねえ」
「実際、東部は景色の良さから絵画の題材になることも多いんですよ」
「なんとかいう画家の連作もあったわねえ」
その画家さんの連作は確かに美しいものの、あまりにもありふれた景色なうえに、東部はそういう土地が多いから、いまだにどの絵がどこを描いたものなのか考察がはかどっているとか、なんとか。
しかし実際、見分けのつきにくい景色ではあると思う。
山があればその稜線を頼りに、村や、せめて家でもあればそれをとっかかりにできなくはないけど、このあたりなんかは本当になにもない。
いや、なにもないことはないんだけどね。畑とか……あとは………畑とか……あ、牧場っぽいのもある。
「北海道ってこんな感じって聞いたことあるな……」
「ホッカイドがどこかは知らないですけれど、ここまで開けた平野は珍しいですからねえ」
「つまんない見た目かもしんないけど、これはこれですごいのよねえ」
実際、すごくはあるのだ。
だだっ広い土地をほぼ人力と馬力で耕して農作業している、というのはもちろんすごいのだけど、それ以前の話として、農耕に向く土地というのは、自然の植物にとっても往々にして繁茂しやすい土地柄なのだ。
かつてはこのだだっ広い平野も、森だったという。もともと東部は森がちなのだ。うっそうと茂る大森林が、いまこうして見渡せる限りの範囲に広がっていたのだという。
その森を、長い時間をかけて開拓し、農地に変えてきた、というのは、地球でも同じような歴史ではある。中世とか、もっと昔の予想図からすると、現代の景色というのはほとんど丸ハゲに近いらしい。いまでは人が住んでいないところは森とか山くらいの感覚だが、かつては森でないところにようやく人が住めたという程度だったのだ。
それが植物が足りてないとかいうレベルまで追い込むのだから、まったく農耕が人類史上最大の環境破壊だというのもうなずける話だね。
とまあ、地球なら環境破壊を絡めて話すところだけど、この世界ではちょっと事情が違う。
なにしろ森が強すぎるのだ。
「なんだっけ……木こり軍団がさあ、いるんだっけ」
「あんた絶対忘れないくせに、あんま興味ないことはいい加減よね……まあだいたい木こり軍団だけど」
「下手な騎士団よりいい装備してるらしいですからねえ」
木こり軍団、というのは私の勝手な呼び名なのだけれど、おおむねそう呼んで差し支えないような集団がこの世界にはいるのだ。
その仕事は、名前通り、木を伐って、伐って、伐って、伐る。これに尽きる。
朝から晩まで、ひたすら木を伐って、伐り続ける。それを毎日やってるような集団なのだそうだ。
そんなことやってたらあっという間に森がなくなってとんでもない速度で環境破壊が進みそうだけど、逆だ。そんなことしてないと、あっという間に森に飲まれて人里が消えちゃうんだとか。
「もちろん、全部が全部そういう森ばかりというわけではないんですよ? でも一部の森は、いまだに活動が衰えていないんですよねえ」
この世界の神話について、覚えているだろうか?
まあ全部は覚えてなくていい。ざっくりとだ。天津神たちがやってきて、この世界を大改造したんだけど、その神の中に、森の神というのがいた。森の神クレスカンタ・フンゴ。
この神様は、できたばかりの大地にバラバラになって潜り込んで、いろんな植物を芽吹かせて森を作り、大気を作ったんだとか。豊かな森の地下には、いまでもその神様の一部が埋まっているって信じられている。
信じられているというか、ほぼほぼ確定というか。そうでもないと納得できないというか。
この豊か過ぎる森が、実在してるんだよね、各地に。しかも地下で微妙に動いてるっぽくて、森の範囲がたまに変わって、人里が飲み込まれると、そういうことらしい。
木こり軍団のみなさんは、そういう豊か過ぎる森のそばに構えて、伐採仕事終わりにはすでに若木が伸びあがっているような無限木材湧き所みたいなリスポーン地獄と日々戦って人界を守護っているらしい。
大昔には、その地下に眠っている神様の欠片みたいなのを引っこ抜くなり破壊するなりすれば森も落ち着くんじゃないかっていう大掛かりな作戦もあったらしい。
その結果がどうなったかというと、多数の犠牲と引き換えに欠片の破壊には成功したんだけど、土地の栄養というか活力というか、そういう目に見えないなにかの供給が途絶えて、木々は立ち枯れ、草木は死に絶え、動物たちも去り、ただ荒涼とした死の森が残ったとかなんとか。
しかも、枯れた木々を伐採して開墾しても、土が完全に痩せ切っててまともに農作物も育たなかったというから、救われない話だ。
まあそういう強すぎる森は極端な例としても、そもそも自然が強いんだよね、この世界。
数年放置したら平気で村なんてなくなるし、木々が生い茂っちゃうこともしばしば。
文明はけっこう進んでるし、流通も活発なのに、いまだに人間、というか隣人種たちの世界は点と点を線でつないだようなわずかな空間でしかない。
たぶん、空から見たら森のほうが圧倒的に多い。この平野だって、その中で見たらそう大した面積でもないんだろう。
それでも、こんなふうに見渡す限りの平野になるまで開拓し終えているんだから、かなりがんばったんだろう。その伐採した木材はどこに行ったのはか知らないけど。
まあ、実際のところは一度に切り拓いたわけじゃなく、森の恵みを受けながら農耕もして、それで土地が痩せてきたら森を拓いて、っていうのを繰り返していった結果らしい。つまり単純に伐っただけじゃなくて、土地を食いつぶしながら前進してるんだね。
この世界、割と技術が発展してるのに、奇跡とか魔法とかあるせいか肥料とか農薬の発展が全然で、「土地が狂ったら落ち着くまで移動する」が基本らしいんだよね……。
これも地球の農耕史と似てるっちゃ似てる、のかな。専門じゃないから知らんけど。
とにかく、こんだけだだっ広く森が拓かれたのに、村本体があるのは常に森の恩恵が得られる範囲で、農地や牧場はそこから点々と、往来可能な距離でつながる範囲だけ。だからこの平野って、かなりの面積が耕作放棄地なんだよなあ……。
「土地が痩せてるから、草は生えても木は戻らない……もはや緑の砂漠だねえ」
「まあ生態系はがっつり破壊されたと思いますよ。それでも平野には平野なりの生態系ができあがるものですけれど」
環境破壊! と目くじらを立てるにも、この平野が開拓されたのはずいぶん前だそうだから、新しい生態系はすっかり落ち着いていることだろう。
青草の陰には虫の類い。その虫を食べる小動物や鳥の類い。そしてまたそれを食べる狐とかの捕食者。でも大型の動物はいなさそうかな。野馬とかがいてもよさそうな景色だけど、よそからやってくるわけでもなし、いるのは家畜くらいだ。放牧地としてはまあいいのかな。
湖とか湿地でもあれば水鳥とかも来るのかもしれないけど、このあたりには見当たらない。たまに小川が流れるくらいかな。農業用水どうしてるんだろう……あ、いや、水の絶対量少ないから農地がそこまで広がってないのかな……いやでも水源謎なのにアホほど広い農地とかもあったしな……謎だ。なんか神官頼りの謎農業してるっぽいし、地球感覚が通じないんだよね。
ま、そういうほんのり闇を感じる農業事情は置いておこう。
見晴らしの良い平野は、景色もいいし、風も程よく心地いい。野盗とか野獣とかも奇襲できないから危険も少なく、快適なものだ。荒れ気味な石畳は地味に腰と三半規管に来るけど、吐くほどじゃない。
でも、見晴らしがよすぎるのもよくない。
「ん……」
「あー……あたし、ちょっと用を足したくなってきたかも。ウルウは?」
「そうだね。私も……ありがと」
御者台で座席になっていた私がちょっと腰をもぞつかせると、膝にのっていたトルンペートが気を利かせて、適当な木立のそばに馬車を止めてくれた。
ちょっとその……用を済ませるので、気にする人は、うん。
もうすっかり慣れたもので、トルンペートは毛布を広げて街道側に立ち、目隠しの衝立代わりになってくれる。リリオも身軽に馬車の上に立って、見張り役をかってくれる。いやほんと、見晴らしがよすぎるとこういうとき困る。
そうして準備を整えてもらったうえで、私は用を足すわけだ。ころしてくれ。
本当に死ぬほど恥ずかしいんだけど、でもしないわけにはいかないし、漏らしたらもっと恥ずかしい。
ワイルドプレイに興じる趣味などなかった私も、すっかり慣れてしまった。恥ずかしいは恥ずかしいけど、だめむりできないとはならず、さっさと済ませてしまおうと事務的にできるようになった。
ベルトを緩めて、下着ごと下衣を下ろして、屈みこんで、用を済ませる。照準はなるべく、うっかり誰かが踏んだりしないように、茂みのほうに。
この世界に来て最初の頃は、ドロワーズとかズロースとか呼ばれてるタイプの下着だったんだよね。前が開くやつ。だから全部下ろさなくてもできるはできたんだけど、なんか慣れないなあって思ってたら、ある朝突然、いわゆるショーツタイプの下着のに換装されててビビったよね。運営仕事するな。
私の認識ひとつというか、ちょっとした要望に対応してくれるタイプの運営なんだよな……たぶん、プルプラちゃん様。肝心なことはいまいちなのに。
下着を勝手にあれこれされるのはさあ……って最初はその下着使うの怖かったけど、でもサイズぴったりなのが助かり過ぎるんだよね。上も……胸のほうも対応してくれてたからさあ……。
サイズの合う下着無くてクソダサデザインか割高の二択しかなかった私的にはとても助かったからなあ……この世界だと特に、オーダーメイドになるし……。
などと微妙に現実から思考をそらしつつミッションコンプリート。
ちゃんと紙で拭けるし、水筒の水で手を洗える。最初期を思えばかなり発展したな。
『トロフィーを獲得しました!:ひとりでできるもん』
陽気な幻聴がうっさい。
なんか最近突然聞こえてきたんだよねこれ、この……システム音声的な? なのに以前から聞こえてきたような記憶もなんかふわっと存在するのが怖い。ちゃん様の仕業なんだろうなあ、これ……。
「トルンペート、ありがとうね」
「いいのよ。あたしこそありがとう」
「その妙に喜ぶのさえなければ心から感謝できるのになあ……」
いつも目隠し役を買って出てくれるトルンペートに、感謝の気持ちはもちろんある。あるけど……笑顔が眩し過ぎる。音で楽しむんじゃないよ。上級者か?
私が用を済ませると、ふたりもついでとばかりに用を済ませる。
体がちっちゃいくせに、なんでかふたりは私よりもつんだよなあ……だいたい私のタイミングに合わせてくれる。そうでなければ、普通に宿まで持つ。
急に催しても、ふたりの場合は馬車からさっと下りて、さっと済ませて、そのまま走って追いつける程度にスムーズだ。
なんでそんなスムーズかって、このふたり、立小便できるんだよね……。
ふたりとも前開きできるズロースで、恥ずかしげもなくさっと前を寛げて、リリオは脚を少し広げて中腰姿勢になって、トルンペートはスカートをたくし上げて後ろ向きになり、ちょっと腰を落として足を広げて、木立に向けてしゃっと済ませてしまう。やり方は違うけど、工程が少ないし、動作も早いし、そりゃスムーズだ。
男子トイレの回転が速い理由聞いたときを思い出したね。そりゃ男子トイレと比べたら女子トイレは混むよ。
私のときばかり馬車止めてもらうのも申し訳なくて、練習しようとしたこともあるんだよ。恥を忍んで教えてもらって。でも無理だった。私の、その、形の問題なのか、思い切りの悪さのせいなのか、どうしてもふたりみたいにきれいにできなくて、脚に垂れて伝っちゃうんだよね。
ショーツタイプの下着に換装したのもよくなかった。前開きのズロースだったらもうすこしうまいことできたかな。
「ウルウの場合、位置が高いのも原因かもしれませんね」
「高いところから落とすから、跳ねちゃうわよね」
「照準もつけづらくて迷いが出るのかもしれません」
「真面目に相談するのやめて……」
あれは本当に恥ずかしかった。大真面目に観察されて大真面目に議論されて、ほんと、もう。トルンペートがこういうとき本当に親身に真剣になってくれるから逆にいたたまれない。
さて、スムーズでスピーディに用を済ませてきたふたりに水筒の水を流してやり、手を洗わせる。
以前は用を済ませても紙で拭うだけで手を洗うこともなかったふたりだけど、私が絶対触ろうとしなくなることを学習したのか、すなおに手洗いに応じてくれる。
最近では、この手洗い用の水筒も常備してるし、使いやすいように薄くスライスした石鹸も備蓄している。私のインベントリはスライス一枚単位で保管できるから、かなり便利なんだよね、このスタイル。
本音を言えば、水滴が跳ねて、目に見えない汚れがいっぱいついてそうですごーく嫌なんだけど、程度の差でしかないからなあ、とあきらめ気味ではある。手洗いを頻繁に行うことでごまかすしかない。
さらに正直に言えば、道のわきとはいえ野外に投棄した排泄物もどうにかしたい。特に、小はともかく大は悩ましい。穴掘って埋めるにしても、毎度大掛かりにはやっていられない。さすがに無理だ。なんなら馬車をひく馬の馬糞も道のわきに寄せられている。
でも、私たち以外にも少なくない旅人が往来しているにもかかわらず、街道が排泄物であふれることはない。自然分解が早いのかというと、まあ、それもなくはないのかもしれないけど、厠の神官……つまり、トイレの神官たちが街道を巡り歩いて、見つけるたびに浄化してるんだとか。彼らは町中のトイレの浄化もしている働き者だ。
風呂の神とならんで、私の中で信仰ツートップだね、いまのところ。
用を済ませて、馬車は再び街道を進み始める。
私の膝の上で、トルンペートは上機嫌に鼻歌など口ずさんでいた。
別に、いまの小休止がトルンペートの機嫌をよくしたなどという事実はない。ないはずだ。別にトルンペートは下の事情が好きなわけではないからね。そのはずだ。
全然そういう話ではなくて、この先の目的地が、トルンペート一押しの観光地なのだ。
《白の森》ことネクターロ。そこは蜂蜜の町とも呼ばれる、養蜂業のメッカなのだそうだ。
「辺境は寒すぎて、蜜蜂が生きていけないのよ。だから蜂蜜って輸入品のお高いやつなのよね」
「トルンペートは甘いもの好きだよねえ」
「そして呑兵衛でもあるんです」
「ああ、蜂蜜酒……」
「辺境人はだいたいお酒も甘いものも好きなもんよ」
「食べると太る度が高いものはだいたい好きですよね」
「カロリーが生死に直結してる土地だもんね……」
丘の向こうに森の木々が見え始めると、どこか甘い香りがただよってくる。
ような気がした。
用語解説
・木こり軍団
正式名称ではないが、各地に同様の組織が別の名称で存在するので、総称としてはだいたい合ってる。
さらに細かいことを言えば、森に襲われた領地が設置する組織と、帝国政府が常設し、緊急時に派遣する組織とではまた別。
・クレスカンタ・フンゴ
木叢と緑物の大神。そのまことの名は人間には表現できるものではなく、現地語においては仮に「増殖する茸」のような呼び方をしている。不定形の虹色の粘菌のような姿をしており、非常に濃く甘い空気を伴うとされる。その香気に触れたもの、またあるいは単にその輝きを目にしたものは、生きながらにして全身から芽吹き森の一部となるとも。複数に分かたれて世界各地に身を埋め深い森をなしているという。
・厠の神官
厠(トイレ)の神を信仰する神官。屎尿(大便と小便)を浄化する法術を身に着けており、昔から村々を巡っては人畜の屎尿やその他の処理を行ってきた。近年では風呂の神官とならんで、公衆衛生の向上に貢献している。この神官は己の体内の屎尿も浄化しているため、厠に行かなくていいという。
浄化は屎尿の消滅という形で出力されるため、帝国では長らく肥料や火薬の研究が進まなかったという弊害もある。帝国政府は神頼りの現状を憂いてはいるものの、現在の社会構造そのものが神ありきのものとなっており、段階的な改善を模索してはいるもの、むしろ依存は進んでいる。
・厠の神
糞便と汚穢の神パリシポ(Bālìxībo)。すべての厠の通じる地底の深穴に蹲る、捻じれて歪んだ四枚羽を背に持つ巨大にして未成熟な金色の蛆と蠅の中間体のような姿をしており、その左右の複眼は老人の顔と赤子の顔の形をしているとされる。穴に落ちてくる屎尿に埋もれ、これをひたすらに貪り、しかしてなにも生み出すことはしないという。冥府の神の眷属とも、農耕の神の眷属ともいわれ、死と生のどちらにも縁深い。この神の神官は屎尿を全て食われる。
書籍ネタバレ感想などは活動報告や作者マシュマロなどにどうぞ。
これまでのあらすじ
限界ブラック企業で社畜OLをしていた妛原 閠(あけんばら うるう)(26)は、過労と不摂生となんやかんやの合わせ技により倒れ、邪神プルプラちゃん様の手により「ゲームのアバターで、でもゲームじゃないっぽい異世界に飛ばされるやつ」として神々の遊戯盤たる異世界にチートボディで転生を果たした。
ステルスチートとかいうラノベ一本かけそうなチート持ちの癖に、誰ともかかわらずひとの活躍だけ眺めて楽しもうとか言うチート主人公にあるまじきステーション・バーみたいな楽しみ方をしようとした閠だったがそうは問屋が卸さず、現地の少女リリオとなんやかんやあって冒険屋になることに。
なった、冒険屋に(倒置法)。そしてリリオのお目付け役である戦うメイドさんこと武装女中トルンペートも仲間に加わり、冒険屋としてなんやかんやしたり、リリオの本来の目的である母の生家をたずねたりなぜか生きてた母を発見したり流れで実家にとんぼ返りしたり流れで結婚したり流れで新婚旅行してみたりした結果としていまは東部を旅しているのだった。
詳しくは「異界転生譚ゴースト・アンド・リリィ(350話くらい)」をお読みになるか、実質総集編にあたる「書籍①巻発売カウントダウンSS」でなんとなく思い出してください。
また書籍版(①~③巻)で情報量がマシマシになったり、その情報をしれっと逆輸入したりもするかもしれなかったりもあったりなかったりするとかなんとかなので、よしなにお願い申し上げます。
牧歌的、というのはまさしくこういう風景のことを言うのかもしれない。
熊みたいに大きな犬である大熊犬のボイがひく馬車は、なだらかな丘を緩やかに迂回する街道をのんびりと進んでいた。
丘といっても、平野との境が曖昧で、ほとんど平地と呼んで差し支えなさそうではある。見渡す限りに山と言えるような高さの起伏はなく、空の青と大地の黄色と緑が、はっきりとしたコントラストを描いていた。
「なんだか、絵に描いたような景色だねえ」
「実際、東部は景色の良さから絵画の題材になることも多いんですよ」
「なんとかいう画家の連作もあったわねえ」
その画家さんの連作は確かに美しいものの、あまりにもありふれた景色なうえに、東部はそういう土地が多いから、いまだにどの絵がどこを描いたものなのか考察がはかどっているとか、なんとか。
しかし実際、見分けのつきにくい景色ではあると思う。
山があればその稜線を頼りに、村や、せめて家でもあればそれをとっかかりにできなくはないけど、このあたりなんかは本当になにもない。
いや、なにもないことはないんだけどね。畑とか……あとは………畑とか……あ、牧場っぽいのもある。
「北海道ってこんな感じって聞いたことあるな……」
「ホッカイドがどこかは知らないですけれど、ここまで開けた平野は珍しいですからねえ」
「つまんない見た目かもしんないけど、これはこれですごいのよねえ」
実際、すごくはあるのだ。
だだっ広い土地をほぼ人力と馬力で耕して農作業している、というのはもちろんすごいのだけど、それ以前の話として、農耕に向く土地というのは、自然の植物にとっても往々にして繁茂しやすい土地柄なのだ。
かつてはこのだだっ広い平野も、森だったという。もともと東部は森がちなのだ。うっそうと茂る大森林が、いまこうして見渡せる限りの範囲に広がっていたのだという。
その森を、長い時間をかけて開拓し、農地に変えてきた、というのは、地球でも同じような歴史ではある。中世とか、もっと昔の予想図からすると、現代の景色というのはほとんど丸ハゲに近いらしい。いまでは人が住んでいないところは森とか山くらいの感覚だが、かつては森でないところにようやく人が住めたという程度だったのだ。
それが植物が足りてないとかいうレベルまで追い込むのだから、まったく農耕が人類史上最大の環境破壊だというのもうなずける話だね。
とまあ、地球なら環境破壊を絡めて話すところだけど、この世界ではちょっと事情が違う。
なにしろ森が強すぎるのだ。
「なんだっけ……木こり軍団がさあ、いるんだっけ」
「あんた絶対忘れないくせに、あんま興味ないことはいい加減よね……まあだいたい木こり軍団だけど」
「下手な騎士団よりいい装備してるらしいですからねえ」
木こり軍団、というのは私の勝手な呼び名なのだけれど、おおむねそう呼んで差し支えないような集団がこの世界にはいるのだ。
その仕事は、名前通り、木を伐って、伐って、伐って、伐る。これに尽きる。
朝から晩まで、ひたすら木を伐って、伐り続ける。それを毎日やってるような集団なのだそうだ。
そんなことやってたらあっという間に森がなくなってとんでもない速度で環境破壊が進みそうだけど、逆だ。そんなことしてないと、あっという間に森に飲まれて人里が消えちゃうんだとか。
「もちろん、全部が全部そういう森ばかりというわけではないんですよ? でも一部の森は、いまだに活動が衰えていないんですよねえ」
この世界の神話について、覚えているだろうか?
まあ全部は覚えてなくていい。ざっくりとだ。天津神たちがやってきて、この世界を大改造したんだけど、その神の中に、森の神というのがいた。森の神クレスカンタ・フンゴ。
この神様は、できたばかりの大地にバラバラになって潜り込んで、いろんな植物を芽吹かせて森を作り、大気を作ったんだとか。豊かな森の地下には、いまでもその神様の一部が埋まっているって信じられている。
信じられているというか、ほぼほぼ確定というか。そうでもないと納得できないというか。
この豊か過ぎる森が、実在してるんだよね、各地に。しかも地下で微妙に動いてるっぽくて、森の範囲がたまに変わって、人里が飲み込まれると、そういうことらしい。
木こり軍団のみなさんは、そういう豊か過ぎる森のそばに構えて、伐採仕事終わりにはすでに若木が伸びあがっているような無限木材湧き所みたいなリスポーン地獄と日々戦って人界を守護っているらしい。
大昔には、その地下に眠っている神様の欠片みたいなのを引っこ抜くなり破壊するなりすれば森も落ち着くんじゃないかっていう大掛かりな作戦もあったらしい。
その結果がどうなったかというと、多数の犠牲と引き換えに欠片の破壊には成功したんだけど、土地の栄養というか活力というか、そういう目に見えないなにかの供給が途絶えて、木々は立ち枯れ、草木は死に絶え、動物たちも去り、ただ荒涼とした死の森が残ったとかなんとか。
しかも、枯れた木々を伐採して開墾しても、土が完全に痩せ切っててまともに農作物も育たなかったというから、救われない話だ。
まあそういう強すぎる森は極端な例としても、そもそも自然が強いんだよね、この世界。
数年放置したら平気で村なんてなくなるし、木々が生い茂っちゃうこともしばしば。
文明はけっこう進んでるし、流通も活発なのに、いまだに人間、というか隣人種たちの世界は点と点を線でつないだようなわずかな空間でしかない。
たぶん、空から見たら森のほうが圧倒的に多い。この平野だって、その中で見たらそう大した面積でもないんだろう。
それでも、こんなふうに見渡す限りの平野になるまで開拓し終えているんだから、かなりがんばったんだろう。その伐採した木材はどこに行ったのはか知らないけど。
まあ、実際のところは一度に切り拓いたわけじゃなく、森の恵みを受けながら農耕もして、それで土地が痩せてきたら森を拓いて、っていうのを繰り返していった結果らしい。つまり単純に伐っただけじゃなくて、土地を食いつぶしながら前進してるんだね。
この世界、割と技術が発展してるのに、奇跡とか魔法とかあるせいか肥料とか農薬の発展が全然で、「土地が狂ったら落ち着くまで移動する」が基本らしいんだよね……。
これも地球の農耕史と似てるっちゃ似てる、のかな。専門じゃないから知らんけど。
とにかく、こんだけだだっ広く森が拓かれたのに、村本体があるのは常に森の恩恵が得られる範囲で、農地や牧場はそこから点々と、往来可能な距離でつながる範囲だけ。だからこの平野って、かなりの面積が耕作放棄地なんだよなあ……。
「土地が痩せてるから、草は生えても木は戻らない……もはや緑の砂漠だねえ」
「まあ生態系はがっつり破壊されたと思いますよ。それでも平野には平野なりの生態系ができあがるものですけれど」
環境破壊! と目くじらを立てるにも、この平野が開拓されたのはずいぶん前だそうだから、新しい生態系はすっかり落ち着いていることだろう。
青草の陰には虫の類い。その虫を食べる小動物や鳥の類い。そしてまたそれを食べる狐とかの捕食者。でも大型の動物はいなさそうかな。野馬とかがいてもよさそうな景色だけど、よそからやってくるわけでもなし、いるのは家畜くらいだ。放牧地としてはまあいいのかな。
湖とか湿地でもあれば水鳥とかも来るのかもしれないけど、このあたりには見当たらない。たまに小川が流れるくらいかな。農業用水どうしてるんだろう……あ、いや、水の絶対量少ないから農地がそこまで広がってないのかな……いやでも水源謎なのにアホほど広い農地とかもあったしな……謎だ。なんか神官頼りの謎農業してるっぽいし、地球感覚が通じないんだよね。
ま、そういうほんのり闇を感じる農業事情は置いておこう。
見晴らしの良い平野は、景色もいいし、風も程よく心地いい。野盗とか野獣とかも奇襲できないから危険も少なく、快適なものだ。荒れ気味な石畳は地味に腰と三半規管に来るけど、吐くほどじゃない。
でも、見晴らしがよすぎるのもよくない。
「ん……」
「あー……あたし、ちょっと用を足したくなってきたかも。ウルウは?」
「そうだね。私も……ありがと」
御者台で座席になっていた私がちょっと腰をもぞつかせると、膝にのっていたトルンペートが気を利かせて、適当な木立のそばに馬車を止めてくれた。
ちょっとその……用を済ませるので、気にする人は、うん。
もうすっかり慣れたもので、トルンペートは毛布を広げて街道側に立ち、目隠しの衝立代わりになってくれる。リリオも身軽に馬車の上に立って、見張り役をかってくれる。いやほんと、見晴らしがよすぎるとこういうとき困る。
そうして準備を整えてもらったうえで、私は用を足すわけだ。ころしてくれ。
本当に死ぬほど恥ずかしいんだけど、でもしないわけにはいかないし、漏らしたらもっと恥ずかしい。
ワイルドプレイに興じる趣味などなかった私も、すっかり慣れてしまった。恥ずかしいは恥ずかしいけど、だめむりできないとはならず、さっさと済ませてしまおうと事務的にできるようになった。
ベルトを緩めて、下着ごと下衣を下ろして、屈みこんで、用を済ませる。照準はなるべく、うっかり誰かが踏んだりしないように、茂みのほうに。
この世界に来て最初の頃は、ドロワーズとかズロースとか呼ばれてるタイプの下着だったんだよね。前が開くやつ。だから全部下ろさなくてもできるはできたんだけど、なんか慣れないなあって思ってたら、ある朝突然、いわゆるショーツタイプの下着のに換装されててビビったよね。運営仕事するな。
私の認識ひとつというか、ちょっとした要望に対応してくれるタイプの運営なんだよな……たぶん、プルプラちゃん様。肝心なことはいまいちなのに。
下着を勝手にあれこれされるのはさあ……って最初はその下着使うの怖かったけど、でもサイズぴったりなのが助かり過ぎるんだよね。上も……胸のほうも対応してくれてたからさあ……。
サイズの合う下着無くてクソダサデザインか割高の二択しかなかった私的にはとても助かったからなあ……この世界だと特に、オーダーメイドになるし……。
などと微妙に現実から思考をそらしつつミッションコンプリート。
ちゃんと紙で拭けるし、水筒の水で手を洗える。最初期を思えばかなり発展したな。
『トロフィーを獲得しました!:ひとりでできるもん』
陽気な幻聴がうっさい。
なんか最近突然聞こえてきたんだよねこれ、この……システム音声的な? なのに以前から聞こえてきたような記憶もなんかふわっと存在するのが怖い。ちゃん様の仕業なんだろうなあ、これ……。
「トルンペート、ありがとうね」
「いいのよ。あたしこそありがとう」
「その妙に喜ぶのさえなければ心から感謝できるのになあ……」
いつも目隠し役を買って出てくれるトルンペートに、感謝の気持ちはもちろんある。あるけど……笑顔が眩し過ぎる。音で楽しむんじゃないよ。上級者か?
私が用を済ませると、ふたりもついでとばかりに用を済ませる。
体がちっちゃいくせに、なんでかふたりは私よりもつんだよなあ……だいたい私のタイミングに合わせてくれる。そうでなければ、普通に宿まで持つ。
急に催しても、ふたりの場合は馬車からさっと下りて、さっと済ませて、そのまま走って追いつける程度にスムーズだ。
なんでそんなスムーズかって、このふたり、立小便できるんだよね……。
ふたりとも前開きできるズロースで、恥ずかしげもなくさっと前を寛げて、リリオは脚を少し広げて中腰姿勢になって、トルンペートはスカートをたくし上げて後ろ向きになり、ちょっと腰を落として足を広げて、木立に向けてしゃっと済ませてしまう。やり方は違うけど、工程が少ないし、動作も早いし、そりゃスムーズだ。
男子トイレの回転が速い理由聞いたときを思い出したね。そりゃ男子トイレと比べたら女子トイレは混むよ。
私のときばかり馬車止めてもらうのも申し訳なくて、練習しようとしたこともあるんだよ。恥を忍んで教えてもらって。でも無理だった。私の、その、形の問題なのか、思い切りの悪さのせいなのか、どうしてもふたりみたいにきれいにできなくて、脚に垂れて伝っちゃうんだよね。
ショーツタイプの下着に換装したのもよくなかった。前開きのズロースだったらもうすこしうまいことできたかな。
「ウルウの場合、位置が高いのも原因かもしれませんね」
「高いところから落とすから、跳ねちゃうわよね」
「照準もつけづらくて迷いが出るのかもしれません」
「真面目に相談するのやめて……」
あれは本当に恥ずかしかった。大真面目に観察されて大真面目に議論されて、ほんと、もう。トルンペートがこういうとき本当に親身に真剣になってくれるから逆にいたたまれない。
さて、スムーズでスピーディに用を済ませてきたふたりに水筒の水を流してやり、手を洗わせる。
以前は用を済ませても紙で拭うだけで手を洗うこともなかったふたりだけど、私が絶対触ろうとしなくなることを学習したのか、すなおに手洗いに応じてくれる。
最近では、この手洗い用の水筒も常備してるし、使いやすいように薄くスライスした石鹸も備蓄している。私のインベントリはスライス一枚単位で保管できるから、かなり便利なんだよね、このスタイル。
本音を言えば、水滴が跳ねて、目に見えない汚れがいっぱいついてそうですごーく嫌なんだけど、程度の差でしかないからなあ、とあきらめ気味ではある。手洗いを頻繁に行うことでごまかすしかない。
さらに正直に言えば、道のわきとはいえ野外に投棄した排泄物もどうにかしたい。特に、小はともかく大は悩ましい。穴掘って埋めるにしても、毎度大掛かりにはやっていられない。さすがに無理だ。なんなら馬車をひく馬の馬糞も道のわきに寄せられている。
でも、私たち以外にも少なくない旅人が往来しているにもかかわらず、街道が排泄物であふれることはない。自然分解が早いのかというと、まあ、それもなくはないのかもしれないけど、厠の神官……つまり、トイレの神官たちが街道を巡り歩いて、見つけるたびに浄化してるんだとか。彼らは町中のトイレの浄化もしている働き者だ。
風呂の神とならんで、私の中で信仰ツートップだね、いまのところ。
用を済ませて、馬車は再び街道を進み始める。
私の膝の上で、トルンペートは上機嫌に鼻歌など口ずさんでいた。
別に、いまの小休止がトルンペートの機嫌をよくしたなどという事実はない。ないはずだ。別にトルンペートは下の事情が好きなわけではないからね。そのはずだ。
全然そういう話ではなくて、この先の目的地が、トルンペート一押しの観光地なのだ。
《白の森》ことネクターロ。そこは蜂蜜の町とも呼ばれる、養蜂業のメッカなのだそうだ。
「辺境は寒すぎて、蜜蜂が生きていけないのよ。だから蜂蜜って輸入品のお高いやつなのよね」
「トルンペートは甘いもの好きだよねえ」
「そして呑兵衛でもあるんです」
「ああ、蜂蜜酒……」
「辺境人はだいたいお酒も甘いものも好きなもんよ」
「食べると太る度が高いものはだいたい好きですよね」
「カロリーが生死に直結してる土地だもんね……」
丘の向こうに森の木々が見え始めると、どこか甘い香りがただよってくる。
ような気がした。
用語解説
・木こり軍団
正式名称ではないが、各地に同様の組織が別の名称で存在するので、総称としてはだいたい合ってる。
さらに細かいことを言えば、森に襲われた領地が設置する組織と、帝国政府が常設し、緊急時に派遣する組織とではまた別。
・クレスカンタ・フンゴ
木叢と緑物の大神。そのまことの名は人間には表現できるものではなく、現地語においては仮に「増殖する茸」のような呼び方をしている。不定形の虹色の粘菌のような姿をしており、非常に濃く甘い空気を伴うとされる。その香気に触れたもの、またあるいは単にその輝きを目にしたものは、生きながらにして全身から芽吹き森の一部となるとも。複数に分かたれて世界各地に身を埋め深い森をなしているという。
・厠の神官
厠(トイレ)の神を信仰する神官。屎尿(大便と小便)を浄化する法術を身に着けており、昔から村々を巡っては人畜の屎尿やその他の処理を行ってきた。近年では風呂の神官とならんで、公衆衛生の向上に貢献している。この神官は己の体内の屎尿も浄化しているため、厠に行かなくていいという。
浄化は屎尿の消滅という形で出力されるため、帝国では長らく肥料や火薬の研究が進まなかったという弊害もある。帝国政府は神頼りの現状を憂いてはいるものの、現在の社会構造そのものが神ありきのものとなっており、段階的な改善を模索してはいるもの、むしろ依存は進んでいる。
・厠の神
糞便と汚穢の神パリシポ(Bālìxībo)。すべての厠の通じる地底の深穴に蹲る、捻じれて歪んだ四枚羽を背に持つ巨大にして未成熟な金色の蛆と蠅の中間体のような姿をしており、その左右の複眼は老人の顔と赤子の顔の形をしているとされる。穴に落ちてくる屎尿に埋もれ、これをひたすらに貪り、しかしてなにも生み出すことはしないという。冥府の神の眷属とも、農耕の神の眷属ともいわれ、死と生のどちらにも縁深い。この神の神官は屎尿を全て食われる。


