これまでのあらすじ
ちゃん様印の怪しいお酒でクソデカボイスで馬鹿笑いするウルウが爆誕してしまった。
すごいものを見てしまいました……。
ウルウってあんなに快活な笑い方もできるんですね。
ほがらかで、さわやかで、この世にどんな陰りもないというような、晴れ晴れとした笑顔。
今回はプルプラ様印の葡萄酒によって変えられてしまった笑顔ですけれど、いつか、いつの日か、ウルウが心からあんな笑顔を浮かべられる日が来るなら、そんな日を私たちで作っていけるなら、それはどんなにかすばらしいことでしょうか。
いつか、あなたに満開の笑顔を。
などと思いながら、私はぐい飲みに葡萄酒を注いでトルンペートの前にやります。
トルンペートがおずおずとぐい飲みを手に取るのを、ウルウが据わった目で見張っています。
あのあと、羞恥のあまり壁と一体化しようとしたウルウに、トルンペートがうざさ全開で絡みに行った結果、あいあんくろーで頭蓋骨から聞いたこのない音を立ててきしませた後、次の手番を強制されたのでした。
「いや、飲むわよ。飲む。買ってきたのあたしだし、そんなに見なくったって飲むわよ」
「うっさい。はやく飲め」
「くっ……命令口調のウルウもそれはそれで……!」
「この子無敵かな??」
まあ、トルンペートって何をしたらお仕置きになるかわからないくらいには何しても悦びますからね。
しいて言うなら放置と言うか、お仕事取り上げて一切お世話を禁じると禁断症状が出ます。
ウルウの冷たい目で見られながら、トルンペートが慎重にぐい飲みを傾けて、少しずつ飲んでいきます。
すると、ウルウの時と同じように、トルンペートの頬がすぐ赤らんでいきました。
やはりお酒の強さに関係なく、すぐに効いてくるようです。
「ん……まあ、確かに味は普通ね」
「味はもうどうでもいいんですよトルンペート。ほら、ウルウみたいにはっちゃけましょうよ」
「握るよ?」
「あたたたたたた頭蓋骨を握りこみながら言わないでください!!」
「はっちゃけ、ねえ……うん…………まあ、気が向いたら……」
おや?
トルンペートの様子がおかしいですね。おかしいといっても先程のウルウのような感じではなく、むしろ大人しいです。
頬が赤らんで、ちょっと揺れてるあたりは普通に酔ってる感じですけれど、トルンペートはもともと酔うと陽気になるタイプです。かなり強いのでそこまで酔うにはかかりますけれど、結構面倒くさいからみ方もしてくるはずです。
そのトルンペートが静かなものです。
「ん…………あつ……」
トルンペートはもそもそと靴下を脱いでポイと放り投げ、お仕着せもバサバサと脱いでしまいます。
もしや露出魔もとい脱ぐ方向にはっちゃけてしまう奴なのでしょうか。しかし色気がありません。脱ぎ方さえ面倒くさそうです。しかも脱いだあとたたみもせずに脱ぎっぱなしです。いつも私が脱ぎ散らかすと叱りながらも嬉しそうに片づけるあのトルンペートが。
下着姿になったトルンペートは、ぐい飲みの残りを啜るように飲みながら、ずるずると崩れるようにして床に寝転がってしまいました。
「あ、あの? トルンペート、さすがに床に寝そべるのはお行儀が悪いですよ?」
「はいはーい……善処しまーす……」
「な、なんという態度の悪さ……!」
「いっつもリリオが叱られてるのにねえ」
「これじゃ普段と逆ですよ! ん、逆……?」
さきほどのウルウも、そういえば普段とは真逆の感じでした。
そしてこのずぼらで自堕落な姿は普段のトルンペートとは真逆。
「つまりこのお酒の効果は性格を反対にしてしまうんですよ!」
「へえ、そう」
「へえ、そう!?」
「まあそんなに驚くべき内容でもないかな」
「おつまみー」
「はいはい、ナッツかなんかあったでしょ」
私が衝撃を受けている間にもトルンペートはさらにぐでんぐでんと脱力して床の一部にでもなろうとしているかのようで、そしてウルウがその世話を焼き始めてしまいました。
普段はトルンペートがお世話するのが大好き人間なので目立ちませんけれど、ウルウもウルウで面倒見がいいですからね。でもおつまみを食べさせてあげるのはもう介護通り越して餌やりの風情ですよそれ。うらやましいのかそうでもないのか若干悩む絵面です。
「でも床に寝るのはよくないから、ベッド行こうか」
「ええー……別にいいわよ……」
「よくないから、ほら」
「めんどー…………はこんでー」
「仕方ないなあ……ほら、抱っこするよ」
「んー」
あっ、仕方ないとか言いながらまんざらでもないウルウですよ!
これは解釈通りですね。百点満点のウルウです。
でも、まるで溶けた猫のように脱力してるトルンペートを抱き上げるのに苦労してるようですね。
そうなんですよ。人体って持ちやすい形してないんですよ。相手が協力してくれないと抱き上げるの難しいんですよね。
「ああっ、もう、なにこの軟体生物。身体柔らかいから余計厄介だ……」
「んにゃー……ぷぇー……」
「音までやる気がない……ああ、もう、リリオ、お尻、お尻押し上げて」
「わかりました。ほらトルンペート、お尻もち上げますよー」
「むぇー……」
私はトルンペートの薄めのお尻を押し上げて、ウルウとふたりがかりで寝台に放り投げました。
うーん、なんでしょうね、この色気のなさ。下着姿なんですけれど。普段ならこの姿で誘惑してきたら私もウルウもいちころのはずなんですけれど、ものの見事にピクリとも反応しません。
ぐでんぐでんの酔っぱらいに手を出さないのと同じ感じでしょうか。
放り投げられたままの姿勢で、手も足も適当な方向に投げ出して、ぽけー、と口も半開き。髪もほつれたのをなおしもせず、なんでしょうね、呼吸してなかったら死体に思えるほどの脱力っぷりです。
「なんかえっちだね……」
「ちょっとなに言ってるかわかりませんけれど」
「えっ!?」
「珍しく大声で驚いてますね……」
ウルウ的にはなんか一般性癖だったらしいですね。私はまたもちょっとピンとこないんですけれど。
まあそれはそれとして自堕落でずぼらなトルンペートと言うのも面白いので、麦酒の小瓶を与えてみると寝そべったままずべぞぼこぼしながら飲み始めます。しかもこぼしたのを全然気にしません。だいぶ面白いので私も麦酒飲みながら観察してたんですけれど、かえってウルウがあたふたして甲斐甲斐しくふいたりしてあげてるのもまた面白いですね。
「リリオって明るく元気で素直な子って感じなのにトルンペートの扱い割とぞんざいだよね」
「私がそんな感じなのかは自分ではよくわからないんですけれど……なんでしょうね。こう、身近過ぎると言いますか。もはや私の一部と言いますか。そのトルンペートが要介護状態になるとなんか変なのーって感じではあります」
「それ困ってるんじゃないの?」
「あー…………?? これ困ってるんです? かね?」
「たぶん本気で経験ないシチュエーションに困ってて、でもそういうときいつも助けてくれるトルンペートがその原因だから、解決法思いつかなくて静観しようとしてるんじゃないの?」
「そうなんですか?」
「いや、私に聞かれても困るけど」
そうなんですか、私?
自分の胸に聞いてみましたけれどよくわかりません。
でも、困っているというのは、なるほど、そうなのかもしれません。
言われてみると、その言葉はなんだかいまの気持ちにしっくりくるようにも思えます。
そうなのかもしれません。私は困っているのかもしれません。興味深いと思って観察しているつもりでしたけれど、どうにもお尻の据わりの悪さがあったのです。それは私が無意識にトルンペートの助けを求めていて、でもそのトルンペートが原因で、という循環状態になってしまっていたのかもしれません。
「私、トルンペートがいないとダメダメなんですねえ……早く戻って欲しいです」
「だそうだけど」
「いっそ殺せ……ッ!」
「あっ、トルンペートが戻ってますよ! 武装女中にあるまじき醜態をさらした自分が許せなくてそのうえ主人である私に弱音を吐かれて嬉しさと申し訳なさがないまぜになってクッコロしてるトルンペートですよ!」
「急に理解度が跳ね上がるじゃん」
「はんかくさいあたしを見ないで……!」
「ほらあ、これですよ。このトルンペートえっちですよね」
「いやごめんだいぶわかんない」
「あれぇっ!?」
結局トルンペートはその後掛け布にくるまって芋虫のようになってしまいました。かわいいですね。
さて、あと一杯分はありますね。
ちゃん様印の怪しいお酒でクソデカボイスで馬鹿笑いするウルウが爆誕してしまった。
すごいものを見てしまいました……。
ウルウってあんなに快活な笑い方もできるんですね。
ほがらかで、さわやかで、この世にどんな陰りもないというような、晴れ晴れとした笑顔。
今回はプルプラ様印の葡萄酒によって変えられてしまった笑顔ですけれど、いつか、いつの日か、ウルウが心からあんな笑顔を浮かべられる日が来るなら、そんな日を私たちで作っていけるなら、それはどんなにかすばらしいことでしょうか。
いつか、あなたに満開の笑顔を。
などと思いながら、私はぐい飲みに葡萄酒を注いでトルンペートの前にやります。
トルンペートがおずおずとぐい飲みを手に取るのを、ウルウが据わった目で見張っています。
あのあと、羞恥のあまり壁と一体化しようとしたウルウに、トルンペートがうざさ全開で絡みに行った結果、あいあんくろーで頭蓋骨から聞いたこのない音を立ててきしませた後、次の手番を強制されたのでした。
「いや、飲むわよ。飲む。買ってきたのあたしだし、そんなに見なくったって飲むわよ」
「うっさい。はやく飲め」
「くっ……命令口調のウルウもそれはそれで……!」
「この子無敵かな??」
まあ、トルンペートって何をしたらお仕置きになるかわからないくらいには何しても悦びますからね。
しいて言うなら放置と言うか、お仕事取り上げて一切お世話を禁じると禁断症状が出ます。
ウルウの冷たい目で見られながら、トルンペートが慎重にぐい飲みを傾けて、少しずつ飲んでいきます。
すると、ウルウの時と同じように、トルンペートの頬がすぐ赤らんでいきました。
やはりお酒の強さに関係なく、すぐに効いてくるようです。
「ん……まあ、確かに味は普通ね」
「味はもうどうでもいいんですよトルンペート。ほら、ウルウみたいにはっちゃけましょうよ」
「握るよ?」
「あたたたたたた頭蓋骨を握りこみながら言わないでください!!」
「はっちゃけ、ねえ……うん…………まあ、気が向いたら……」
おや?
トルンペートの様子がおかしいですね。おかしいといっても先程のウルウのような感じではなく、むしろ大人しいです。
頬が赤らんで、ちょっと揺れてるあたりは普通に酔ってる感じですけれど、トルンペートはもともと酔うと陽気になるタイプです。かなり強いのでそこまで酔うにはかかりますけれど、結構面倒くさいからみ方もしてくるはずです。
そのトルンペートが静かなものです。
「ん…………あつ……」
トルンペートはもそもそと靴下を脱いでポイと放り投げ、お仕着せもバサバサと脱いでしまいます。
もしや露出魔もとい脱ぐ方向にはっちゃけてしまう奴なのでしょうか。しかし色気がありません。脱ぎ方さえ面倒くさそうです。しかも脱いだあとたたみもせずに脱ぎっぱなしです。いつも私が脱ぎ散らかすと叱りながらも嬉しそうに片づけるあのトルンペートが。
下着姿になったトルンペートは、ぐい飲みの残りを啜るように飲みながら、ずるずると崩れるようにして床に寝転がってしまいました。
「あ、あの? トルンペート、さすがに床に寝そべるのはお行儀が悪いですよ?」
「はいはーい……善処しまーす……」
「な、なんという態度の悪さ……!」
「いっつもリリオが叱られてるのにねえ」
「これじゃ普段と逆ですよ! ん、逆……?」
さきほどのウルウも、そういえば普段とは真逆の感じでした。
そしてこのずぼらで自堕落な姿は普段のトルンペートとは真逆。
「つまりこのお酒の効果は性格を反対にしてしまうんですよ!」
「へえ、そう」
「へえ、そう!?」
「まあそんなに驚くべき内容でもないかな」
「おつまみー」
「はいはい、ナッツかなんかあったでしょ」
私が衝撃を受けている間にもトルンペートはさらにぐでんぐでんと脱力して床の一部にでもなろうとしているかのようで、そしてウルウがその世話を焼き始めてしまいました。
普段はトルンペートがお世話するのが大好き人間なので目立ちませんけれど、ウルウもウルウで面倒見がいいですからね。でもおつまみを食べさせてあげるのはもう介護通り越して餌やりの風情ですよそれ。うらやましいのかそうでもないのか若干悩む絵面です。
「でも床に寝るのはよくないから、ベッド行こうか」
「ええー……別にいいわよ……」
「よくないから、ほら」
「めんどー…………はこんでー」
「仕方ないなあ……ほら、抱っこするよ」
「んー」
あっ、仕方ないとか言いながらまんざらでもないウルウですよ!
これは解釈通りですね。百点満点のウルウです。
でも、まるで溶けた猫のように脱力してるトルンペートを抱き上げるのに苦労してるようですね。
そうなんですよ。人体って持ちやすい形してないんですよ。相手が協力してくれないと抱き上げるの難しいんですよね。
「ああっ、もう、なにこの軟体生物。身体柔らかいから余計厄介だ……」
「んにゃー……ぷぇー……」
「音までやる気がない……ああ、もう、リリオ、お尻、お尻押し上げて」
「わかりました。ほらトルンペート、お尻もち上げますよー」
「むぇー……」
私はトルンペートの薄めのお尻を押し上げて、ウルウとふたりがかりで寝台に放り投げました。
うーん、なんでしょうね、この色気のなさ。下着姿なんですけれど。普段ならこの姿で誘惑してきたら私もウルウもいちころのはずなんですけれど、ものの見事にピクリとも反応しません。
ぐでんぐでんの酔っぱらいに手を出さないのと同じ感じでしょうか。
放り投げられたままの姿勢で、手も足も適当な方向に投げ出して、ぽけー、と口も半開き。髪もほつれたのをなおしもせず、なんでしょうね、呼吸してなかったら死体に思えるほどの脱力っぷりです。
「なんかえっちだね……」
「ちょっとなに言ってるかわかりませんけれど」
「えっ!?」
「珍しく大声で驚いてますね……」
ウルウ的にはなんか一般性癖だったらしいですね。私はまたもちょっとピンとこないんですけれど。
まあそれはそれとして自堕落でずぼらなトルンペートと言うのも面白いので、麦酒の小瓶を与えてみると寝そべったままずべぞぼこぼしながら飲み始めます。しかもこぼしたのを全然気にしません。だいぶ面白いので私も麦酒飲みながら観察してたんですけれど、かえってウルウがあたふたして甲斐甲斐しくふいたりしてあげてるのもまた面白いですね。
「リリオって明るく元気で素直な子って感じなのにトルンペートの扱い割とぞんざいだよね」
「私がそんな感じなのかは自分ではよくわからないんですけれど……なんでしょうね。こう、身近過ぎると言いますか。もはや私の一部と言いますか。そのトルンペートが要介護状態になるとなんか変なのーって感じではあります」
「それ困ってるんじゃないの?」
「あー…………?? これ困ってるんです? かね?」
「たぶん本気で経験ないシチュエーションに困ってて、でもそういうときいつも助けてくれるトルンペートがその原因だから、解決法思いつかなくて静観しようとしてるんじゃないの?」
「そうなんですか?」
「いや、私に聞かれても困るけど」
そうなんですか、私?
自分の胸に聞いてみましたけれどよくわかりません。
でも、困っているというのは、なるほど、そうなのかもしれません。
言われてみると、その言葉はなんだかいまの気持ちにしっくりくるようにも思えます。
そうなのかもしれません。私は困っているのかもしれません。興味深いと思って観察しているつもりでしたけれど、どうにもお尻の据わりの悪さがあったのです。それは私が無意識にトルンペートの助けを求めていて、でもそのトルンペートが原因で、という循環状態になってしまっていたのかもしれません。
「私、トルンペートがいないとダメダメなんですねえ……早く戻って欲しいです」
「だそうだけど」
「いっそ殺せ……ッ!」
「あっ、トルンペートが戻ってますよ! 武装女中にあるまじき醜態をさらした自分が許せなくてそのうえ主人である私に弱音を吐かれて嬉しさと申し訳なさがないまぜになってクッコロしてるトルンペートですよ!」
「急に理解度が跳ね上がるじゃん」
「はんかくさいあたしを見ないで……!」
「ほらあ、これですよ。このトルンペートえっちですよね」
「いやごめんだいぶわかんない」
「あれぇっ!?」
結局トルンペートはその後掛け布にくるまって芋虫のようになってしまいました。かわいいですね。
さて、あと一杯分はありますね。


