私はひとりで結婚式場に向かった。
 ウエディングドレスの写真を撮ってもらったけれど、もうすでに涙が溢れていたんだ。
「あのう、お客様大丈夫ですか?」
 カメラを構えた店員は怪訝そうに私の方を見つめてくる。
 大丈夫ですよ、私は首を縦に振って返答に変えた。
 彼に伝えた謝罪のメッセージは既読がつかないままだった。もし、また出会える世界があったなら、いつかは冷静になって話し合いができる日もくるだろうか。
 だとしても、私は人を愛する資格なんかないと思う。誰も愛することはできない、そんなことを思っていた。

 君の前から立ち去る準備はできていた。