護ってくれる。……流夜くんはいつだって、私を護ってくれる。

「ありがとう……」

私の恐怖する心だって。

「つ、つけてみたい」

「……大丈夫か?」

心配そうな顔をする流夜くんに、何度も肯いた。

箱から取り出して手の上に載せてみる。きれい……。

「月と……桜?」

「あー、たぶん。……夜って言ったら、月でいいかと」

「………」

桜と月。……咲『桜』と流『夜』。

『俺の代わり』。

……かわいー……。

そんな風に二つ並んだものを選んでくれたことが嬉しくて、照れくさそうに話す流夜くんは可愛くて。

「あれ? でも夜って言ったら夜々さんも……」

「それは言わないでくれ。俺も途中で気づいて必死に掻き消したことだから」

……流夜くんの顔色は一気に悪くなる。どれだけ夜々さんと険悪なんだろうか。

「う、うまくいかない……」

ネックレスなんて初めてで勝手がわからない。まごついていると、流夜くんの手が伸びてつけてくれた。

首元に収まった桜と月。

「……大丈夫か? 気分悪くないか?」

まだ心配してくれる流夜くんに、首を横に振った。気分の悪さなんてないし、あるのは嬉しさだけだ。

あれほど、首になにかが触れるのだけでも怖かったのに。……やっぱり、幸せな方に変えてくれたのはこの人なんだ。

「ありがとう。宝もの」

「………」

私の嬉しがりように安堵したのか、流夜くんは微笑んでくれた。

大事なものも、ことも、一日ごとに増えていく。

残酷なんて世界のどこにだって転がっていると言った流夜くん。私もそうだと思っている。

けれど、それと同じ――それ以上に、幸せはあふれているのかもしれない。

大すきな人が今、傍にいてくれるように。