「誰かって……あっちの方には誰もいないけど」
「……だよなぁ」
何かの見間違いか、それとも。
「それより、向こう側が騒がしくなっているらしいぞ」
「えっ?」
ちゅう秋の言葉に振り返る。……確かに。広場の中央に人が集まっている。驚いた人たちが安全を確かめ合っているのかと思ったが、どうやらそういう訳でもないらしい。ガヤガヤと騒がしい人だかりに、僕たちは顔を合わせるとそちらへ行ってみることにした。
「「脅迫状?」」
「そうだ!」
首を傾げる僕とちゅう秋に、彼はこくりと頷く。僕たちよりも先に来ていた探偵少年は、既に脅迫文の内容を見たのか、メモした紙を見せてきた。
「これが最初に来たって言ってた脅迫文で、こっちがついさっき来たやつだ」
「お、おお……」
(よく覚えてたな……)
まったくもって忘れていた事を思い出し、僕は感嘆の声を上げる。……さすが。駆けつけるのも情報収集も早い。しかもちゃんとメモまでしており、まるで本物の探偵のようだ。
(って。そういえば自称探偵だったか)
僕は再び彼の手元のメモを見つめる。意外にも綺麗な字で書かれた文を読む。
『レイクズジャンピングフィッシュの夢の娘は殺す』
「レイ……?」
「レイクズジャンピングフィッシュ」
「……暗号か何かかい?」
意味のわからない脅迫状に、僕とちゅう秋が首を傾げる。残念ながら、僕たちには聞き覚えのない言葉だ。
「探偵くんは、それを知っているのかい?」
「いや、知らない!」
「自信満々に言うことじゃないんだよな……」
「──レイクズジャンピングフィッシュは、『みやこ』で追っていた事件のひとつだよ」
「「「!」」」
顔を突き合わせているところに、聞きなれた声が聞こえる。振り返れば、そこには強ばった顔をしている岡名が立っていた。彼の手には脅迫状らしき紙が一枚握られている。
「岡名さん、それって」
「ああ……ごめんね。思わず握りしめちゃって」
開いて見せてくれる彼を、気の毒に思わずには居られない。元々、脅迫状やおかしな事に振り回されていたというのに、婚約披露宴でまで脅迫状が出されるなんて想像もしていなかっただろう。
「その脅迫状は、いつ、どのようにして手元に?」
「え」
そんな彼に、探偵少年が詰め寄る。逃げるのは許さないと言わんばかりの声に、僕は少年の肩を掴んだ。
「おい、少しは岡名さんの気持ちを考えろって」
「大丈夫だよ。気遣ってくれてありがとう」
「でも……」
「……だよなぁ」
何かの見間違いか、それとも。
「それより、向こう側が騒がしくなっているらしいぞ」
「えっ?」
ちゅう秋の言葉に振り返る。……確かに。広場の中央に人が集まっている。驚いた人たちが安全を確かめ合っているのかと思ったが、どうやらそういう訳でもないらしい。ガヤガヤと騒がしい人だかりに、僕たちは顔を合わせるとそちらへ行ってみることにした。
「「脅迫状?」」
「そうだ!」
首を傾げる僕とちゅう秋に、彼はこくりと頷く。僕たちよりも先に来ていた探偵少年は、既に脅迫文の内容を見たのか、メモした紙を見せてきた。
「これが最初に来たって言ってた脅迫文で、こっちがついさっき来たやつだ」
「お、おお……」
(よく覚えてたな……)
まったくもって忘れていた事を思い出し、僕は感嘆の声を上げる。……さすが。駆けつけるのも情報収集も早い。しかもちゃんとメモまでしており、まるで本物の探偵のようだ。
(って。そういえば自称探偵だったか)
僕は再び彼の手元のメモを見つめる。意外にも綺麗な字で書かれた文を読む。
『レイクズジャンピングフィッシュの夢の娘は殺す』
「レイ……?」
「レイクズジャンピングフィッシュ」
「……暗号か何かかい?」
意味のわからない脅迫状に、僕とちゅう秋が首を傾げる。残念ながら、僕たちには聞き覚えのない言葉だ。
「探偵くんは、それを知っているのかい?」
「いや、知らない!」
「自信満々に言うことじゃないんだよな……」
「──レイクズジャンピングフィッシュは、『みやこ』で追っていた事件のひとつだよ」
「「「!」」」
顔を突き合わせているところに、聞きなれた声が聞こえる。振り返れば、そこには強ばった顔をしている岡名が立っていた。彼の手には脅迫状らしき紙が一枚握られている。
「岡名さん、それって」
「ああ……ごめんね。思わず握りしめちゃって」
開いて見せてくれる彼を、気の毒に思わずには居られない。元々、脅迫状やおかしな事に振り回されていたというのに、婚約披露宴でまで脅迫状が出されるなんて想像もしていなかっただろう。
「その脅迫状は、いつ、どのようにして手元に?」
「え」
そんな彼に、探偵少年が詰め寄る。逃げるのは許さないと言わんばかりの声に、僕は少年の肩を掴んだ。
「おい、少しは岡名さんの気持ちを考えろって」
「大丈夫だよ。気遣ってくれてありがとう」
「でも……」