レベル0の最強剣士~レベルが上がらないスキルを持つ俺、裏ダンジョンに捨てられたが、裏技を発見し気が付いたら世界最強になっていた。レベル0でもステータスがカンストしているけどこれぐらい普通だよな?~

【タイトル】
第44話 王城に泊まる事に

【公開状態】
公開済

【作成日時】
2021-06-01 14:03:03(+09:00)

【公開日時】
2021-06-01 14:40:01(+09:00)

【更新日時】
2021-06-01 14:40:01(+09:00)

【文字数】
1,958文字

【本文(126行)】
 クレアとの久しぶりの会話は終わった。もう用件は済んだ事だろう。そしてソルは当面の目的ができた。それは『剣神武闘会への出場』である。

「……それじゃあ、俺達はそろそろ」

 ソルはお暇しようとした。

「待ってよ」

 だが、クレアに呼び止められる。

「なんだ?」

「どこに泊まるの?」

「どこにって……」

 実家との関係は最悪だ。帰ったところで泊めてくれるわけもないだろう。そもそも実父はソルが完全に死んだと思っている。まさかあの裏ダンジョンと呼ばれる『ゲヘナ』に遺棄した息子が奇跡の生還を果たしているとは夢にも思うまい。

「お金ないんでしょ? 市場での様子から察するに」

 図星である。やはり生活をしていく上で最低限度の資金は必要不可欠だ。

 宿に泊まるのにも多少なり金がかかるし、食事にも金がかかる。まさか窃盗をするわけにもいくまい。ソルは資金を持ち合わせていなかった。

 しかし、見透かしているクレアはソルに助け船を出してくる。

「よかったら城に泊まっていかない?」

「いいのか?」

「うん。困っているソルを見捨てておけないよ。だって私達幼馴染じゃない」

 クレアは顔を真っ赤にしていた。

「ありがとう。感謝するよ、クレア」

「ふーん……」

バハムートはその光景を意味深な表情で眺めていた。

 こうして二人は王城に泊まる事になったのである。

 ◇

 がつがつがつがつ。

 王城での食事の最中だった。食堂でソルとバハムートは食事を頂く事になった。
 バハムートはがつがつと食事を口に放り込む。彼女がテーブルマナーなど知るわけもない。獣のようにかっ食らっていた。

「ああ……」

 ソルは嘆いていた。

「凄い、食べるわね、彼女——バハムートさん」

 バハムートは底なしの食欲で食事を食べ続けていた。クレアは驚いていた。ソルは無駄に食費をかけさせて申し訳ない気持ちになった。王城で出る料理の元をたどれば国民の血税が出所である。バハムートの胃袋を満たすために、経費が無駄に増えているのだ。

「……いいのか? お父さんの国王陛下やお母さんの王妃様は。二人はどうしているんだ?」

 本来、許されはしない事だろう。婚約者となったエドを王城に泊めるのであれば筋は通る。だが、ソルはユグドラシル家の次期当主に選ばれなかった人間だ。そのソルが王城に泊まるとなると、何かと問題だろう。筋が通っていない。

「いいのよ。お父様もお母様も剣神武闘会の事で忙しいみたい。王城には帰ってきてないわ。やっぱり国を挙げての大きなイベントだもの。準備も大変みたいで」

「……そうか」

 バハムートはがつがつと食べていた手を止めた。

「ふーむ……」

 意味深な顔つきで様子を見ていた。

「どうかしたか? バハムート」

「何でもない……がつがつがつ」

 バハムートは大量にあった食事を見事に完食していた。

 その後の事である。

 ◇

「ふーむ……」

「良かったな、バハムート。泊めてくれる上に食事まで」

 それにしても金策は考えておかなければならなかった。金を稼がなければならなかった。そういえばと、ソルは思い出す。

剣神武闘会に出れば賞金が貰えるのだ。それも優勝しなくても準優勝やベスト8などになれば。勿論順位によって金額は違っては来るが、それでも優勝すれば100年は。ベスト8でも一年は遊んで暮らせる程の賞金が手に入るという噂を聞いた事がある。

 あわよくばベスト8にでもは入れれば当面の生活費を心配しなくてもよくなる。金銭的な目的からも剣神武闘会に出場するのは理に適っていた。

「主人(マスター)よ。気づいていないのか?」

「何がだ? 何の事だ? バハムート」

 社会常識が欠如したバハムートもなぜか、こういう時は察しが良かった。やはり性別的には女の子というか、雌なのだろう。同性特有の勘の良さがあった。というよりは単にソルがそういう物事に対して異常に鈍いのだろう。普通なら気づく事も気づかないだけだ。

「あの小娘、そなたに惚れているぞ?」

「クレアの事か?」

「……うむ」

「勘違いじゃないか? 俺達はただの幼馴染だぞ。クレアは俺の妹か――いや、本人からすれば姉みたいなもので。そういう感情は特別ないと思うぞ」

「……わかった。そなたがそう思いたいならそう思うがよい。敢えて我から指摘する事はよそう」

 バハムートは埒が明かないと思い、会話を切り上げる事にした。人間、なかなか固定概念や先入観というものがある。気づかない人間に何を言っても無駄な事が殆どだ。

「……それはそうと、我は風呂に入ってくる」

「ああ……そうか」

「ふむ。後は言わずともわかるであろう? 我は風呂に入ってくるのだ」

 胸を張って言われる。

「ああ。わかったから、そんな二回も言わなくて大丈夫だよ。わかってるから」

「そうか。わかったのなら良いぞ。わかったのならな。それでは我は行ってくる」

 バハムートは意味深な事を言い残した後、風呂場へと向かっていったのであった。