「ステータスオープン」

 イケメン勇者の僕——、日向勇人はステータス画面を開くのであった。

僕を召喚した女神は、いくつものチートスキルを付与したと言っていた。そのスキルが何なのか、確認する必要があったのだ。
そしてそのスキルをどう運用していくのかが、今後の異世界生活を過ごしていく上で重要な鍵となるのだ。

なに、上手くやるさ。これまでの人生。ずっと上手くやってきた。だからこれからもきっとそうなる。人生イージーモード。異世界でも、きっと常にイージーモードさ。

そして僕はこの異世界にハーレムを作る。世界中の女を僕の目の前にかしづかせるんだ。

 僕は期待に胸を震わせていた。世界を救い、英雄として崇められる素晴らしい未来がきっと待っているはずなのだから。

「どれどれ……」

 表れたステータス画面に僕は目を滑らせる。

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日向勇人 16歳 男 レベル:1

職業:勇者

HP:5

MP:5

攻撃力:5

防御力:5

素早さ:5

魔法力:5

魔法耐性:5

運:5

装備:特になし

資金:1000G

スキル:特になし

アイテム:ポーション※回復力小×10 エーテル※回復力小×10
勇者の剣※勇者が装備できるとされている剣。不思議な力を秘めている。攻撃力+10。LVによって攻撃力が増加する

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ん? ……なんだこれは。見間違いか。僕というスーパーイケメンを異世界に召喚した、あの女神はいくつものチートスキルを授けたと言っていたはずだ。

 そして、それがあれば異世界など楽勝だと……。だが、僕がステータス画面を幾度となく凝視しても、そのスキル欄には何の記載もなかったのだ。

これは何かおかしいのではないか……。

 そうか、隠しスキルというものがあるんだろう。あまりに強力すぎる勇者のスキルはステータス画面には表示されないのだ。

 うんうん、きっとそうに違いない。僕はそう思った。スキル欄にスキルが反映されていないというだけで、僕はきっと恐ろしく強いに違いないのだ。

「さて……じゃあ、とりあえずは『勇者の剣』を装備するか」

 あの王国で授けられた剣。とりあえずは武器を装備しなければ話にならない。

「よし……この『勇者の剣』を装備して……ぐ、ぐわっ!」

 な、なんだ……僕が『勇者の剣』を手で持とうとした瞬間に、なぜか、強烈な力で弾かれた。まさか、この剣が僕の事を拒んでいるとでもいうのか……。

 その時、僕の目の前にウィンドウが現れる。

『『勇者の剣』は適応したスキルを持った者でなければ装備できません』

 そう、まるで僕に忠告するように……。

「な、なんだと! どういうわけだ! 僕は勇者だぞ! なんでその僕が勇者の剣を装備できないんだっ! 適応したスキルを持った者でなければって……僕が持っていないというのか……」

 僕が悪戦苦闘していた時の事だった。

「はぁ……はぁ……はぁ……」

 一人の少女が僕に駆け寄ってきた。金髪をした、白い鎧を着た少女。目と鼻の整った、実に美しい少女である。こんな美少女、元いた世界は勿論、この異世界に来てからというもの、一人もいなかった。

 そうだな……彼女のような美しい女なら。遊びではなく、僕の本命にしてあげるかな。勿論、遊びの方も続けるけどね……。僕はそんな事を一人考えていた。

「やっと見つけました……あなたが異なる世界より召喚されし、伝説の勇者様ですか」

「そ、そうだけど……君は一体?」

「私の名はエステル。エステル・グローラッド。【剣聖】の職業を務めさせていただいています。伝説の勇者様に仕えるべく、王国アルテアより派遣されてきたのです」

「……へぇ……そうか。君が世界中に散らばっているという、勇者の仲間の内の一人か……」

 王道的な物語だ。冒険して仲間を増やしていき、協力し、そして最後には魔王を倒す。仲間になるのがこんな美少女だとは思ってもいなかったが。僕は思わず、鼻の下を伸ばし、彼女の身体を性的な視線で凝視する。

「どうしたのですか? 勇者様。私の身体に何か付いているというのですか?」

 彼女は怪訝そうな顔で言った。

「こほん……何でもない。剣聖エステル。僕についてこい、まずは君のその力を見せて貰おうか」

 剣聖というからには、それなりの剣に腕の覚えがあるのだろう。その力をまずは見せて貰おう。そう、僕は思ったのだ。

「は、はい! わかりました! 勇者様!」

 彼女は笑顔で答え、僕の後を付いてくる。

 今は何だか、調子が悪いが、きっとそのうち、僕の隠れスキルが覚醒し、最強になるに違いない。僕はそう思う事にした。

 細かい事を気にしていてもしょうがないのだ。こうしてエステルが仲間になった僕達、勇者パーティーは手強いモンスターを求めて荒野を彷徨う事にしたのである。