【タイトル】
第36話 エルフの国で褒賞を受ける
【公開状態】
下書き
【作成日時】
2022-10-16 10:59:08(+09:00)
【更新日時】
2022-10-17 13:52:45(+09:00)
【文字数】
1,648文字
【本文(71行)】
俺達はエルフ城を再び訪れた。
エルフ王が俺達を出迎える。
「よくぞ、来てくれた、英雄達よ」
エルフ王が微笑んだ。
「前線のエルフ兵達から聞いておるぞ。そなた達の活躍により、我がエルフ国が窮地を脱したという事を」
「お言葉ですが、エルフ王……根本的な解決には至ってはおりません。俺達は闇勇者——このエルフ国を一人で危機に陥れた強者です。その闇勇者を退けましたが、闇勇者は以前として健在です。そして、魔王軍もまた……」
「それでも良い。とりあえずはエルフの国が危機を脱したという事が重要なのだ。エルフ国を侵攻していた魔王軍は一時撤退した様子だ。こちらの手の内が読め切れなくなったからだろう。我々は幾ばくかの時間を稼げた。傷ついたエルフ兵を癒す事も出来る。体勢を立て直す事ができるのだ……無論、それは魔王軍も同じなので悠長な事を言っていられないのも事実ではあるが……」
「……そうですか。でしたら幸いです」
俺達が闘ったのは無駄ではなかった。そう思えるだけでも随分と心が軽くなるのであった。
「エルフ国を救った立役者であるそなた達に、何の褒美もやらないというわけにはいかないな。何が欲しいか? 言ってみろ」
エルフ王は予想だにしていない申し出をしてきたのである。
「いえ! 褒美なんてとんでもない! 俺達は別に褒美が欲しくて闘ったわけじゃないんです!」
俺は遠慮をした。
「そう、遠慮するな。なにせ、そなた達はこのエルフの国を救った英雄なのだからな……。そなた達は何を求めるのだ? ……言わずともわかる。魔王軍と闘うそなた達が求めるもの、それは強さだろうな」
『強さ』。そう言われると否定できない。弱ければ何も守れない。弱者は強者に蹂躙される。それが世界の理だ。強さというものは生きていく上で必要不可欠なものなのだ。当然のように、俺達にとっても必要なものだ。
あの闇勇者ハヤトは強い。今度会った時に、勝てるとも限らない。前の闘いだって、決して圧倒していたわけじゃないんだ。多少ダメージを与えたところ、あいつがビビって逃げて行ってくれたというだけで、何とか難を逃れたというだけだ。
あのまま闘っていたらどうなっていたかわからない。だから俺達はもっと強くなる必要があった。
「勿論、強くなれるならそれに越した事はありません。俺達はきっと、あの闇勇者ハヤトと再び闘う事になる。それに、魔王軍にもきっと、想像を絶するような強者がいる事でしょう」
「そうか……そうであるならば、そなた達に力を授けよう。まず、一つ目にレティシアよ。彼等と行動を共にするのだ」
「お、お父様……」
「彼等は世界を破滅という闇から救う、一条の光となる。そんな気がするのだ。彼等の仲間となり、この世界を脅かす闇——魔王軍と闘うのだ!」
エルフ王は娘であるレティシアにそう命じた。
「わかりました……お父様の命令に従い、このカゲト様のパーティーの一員となり、魔王軍と闘います」
「うむ……我が娘――レティシアを頼むぞ。カゲト殿」
エルフ王にそう頼まれた。
======================================
エルフの王女——レティシアが仲間になった。パーティーメンバーが三人になった。
======================================
「わかりました。エルフ王。レティシア姫のお力をお借りし、必ずや世界を滅ぼす闇を打ち払ってみせましょう」
こうして、レティシアが正式に俺達のパーティーメンバーの一員となったわけだった。
「よろしくお願いします。カゲト様。私の魔法の力が皆様のお力となれるように、精一杯精進して参ります」
レティシアは優しく微笑んでそう言った。レティシアの魔法の力は本物だ。俺達にとって、頼もしい存在となるに違いない。俺はそう思っていた。
「これが一つ目の褒美だ」
エルフ王はそう言った。一つ目、と言っているのだから、二つ目の褒美がある言う事になる。欲張るのは良くない事ではあるが、どうしても気になってしまう。二つ目の褒美が一体、何なのか……。
第36話 エルフの国で褒賞を受ける
【公開状態】
下書き
【作成日時】
2022-10-16 10:59:08(+09:00)
【更新日時】
2022-10-17 13:52:45(+09:00)
【文字数】
1,648文字
【本文(71行)】
俺達はエルフ城を再び訪れた。
エルフ王が俺達を出迎える。
「よくぞ、来てくれた、英雄達よ」
エルフ王が微笑んだ。
「前線のエルフ兵達から聞いておるぞ。そなた達の活躍により、我がエルフ国が窮地を脱したという事を」
「お言葉ですが、エルフ王……根本的な解決には至ってはおりません。俺達は闇勇者——このエルフ国を一人で危機に陥れた強者です。その闇勇者を退けましたが、闇勇者は以前として健在です。そして、魔王軍もまた……」
「それでも良い。とりあえずはエルフの国が危機を脱したという事が重要なのだ。エルフ国を侵攻していた魔王軍は一時撤退した様子だ。こちらの手の内が読め切れなくなったからだろう。我々は幾ばくかの時間を稼げた。傷ついたエルフ兵を癒す事も出来る。体勢を立て直す事ができるのだ……無論、それは魔王軍も同じなので悠長な事を言っていられないのも事実ではあるが……」
「……そうですか。でしたら幸いです」
俺達が闘ったのは無駄ではなかった。そう思えるだけでも随分と心が軽くなるのであった。
「エルフ国を救った立役者であるそなた達に、何の褒美もやらないというわけにはいかないな。何が欲しいか? 言ってみろ」
エルフ王は予想だにしていない申し出をしてきたのである。
「いえ! 褒美なんてとんでもない! 俺達は別に褒美が欲しくて闘ったわけじゃないんです!」
俺は遠慮をした。
「そう、遠慮するな。なにせ、そなた達はこのエルフの国を救った英雄なのだからな……。そなた達は何を求めるのだ? ……言わずともわかる。魔王軍と闘うそなた達が求めるもの、それは強さだろうな」
『強さ』。そう言われると否定できない。弱ければ何も守れない。弱者は強者に蹂躙される。それが世界の理だ。強さというものは生きていく上で必要不可欠なものなのだ。当然のように、俺達にとっても必要なものだ。
あの闇勇者ハヤトは強い。今度会った時に、勝てるとも限らない。前の闘いだって、決して圧倒していたわけじゃないんだ。多少ダメージを与えたところ、あいつがビビって逃げて行ってくれたというだけで、何とか難を逃れたというだけだ。
あのまま闘っていたらどうなっていたかわからない。だから俺達はもっと強くなる必要があった。
「勿論、強くなれるならそれに越した事はありません。俺達はきっと、あの闇勇者ハヤトと再び闘う事になる。それに、魔王軍にもきっと、想像を絶するような強者がいる事でしょう」
「そうか……そうであるならば、そなた達に力を授けよう。まず、一つ目にレティシアよ。彼等と行動を共にするのだ」
「お、お父様……」
「彼等は世界を破滅という闇から救う、一条の光となる。そんな気がするのだ。彼等の仲間となり、この世界を脅かす闇——魔王軍と闘うのだ!」
エルフ王は娘であるレティシアにそう命じた。
「わかりました……お父様の命令に従い、このカゲト様のパーティーの一員となり、魔王軍と闘います」
「うむ……我が娘――レティシアを頼むぞ。カゲト殿」
エルフ王にそう頼まれた。
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エルフの王女——レティシアが仲間になった。パーティーメンバーが三人になった。
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「わかりました。エルフ王。レティシア姫のお力をお借りし、必ずや世界を滅ぼす闇を打ち払ってみせましょう」
こうして、レティシアが正式に俺達のパーティーメンバーの一員となったわけだった。
「よろしくお願いします。カゲト様。私の魔法の力が皆様のお力となれるように、精一杯精進して参ります」
レティシアは優しく微笑んでそう言った。レティシアの魔法の力は本物だ。俺達にとって、頼もしい存在となるに違いない。俺はそう思っていた。
「これが一つ目の褒美だ」
エルフ王はそう言った。一つ目、と言っているのだから、二つ目の褒美がある言う事になる。欲張るのは良くない事ではあるが、どうしても気になってしまう。二つ目の褒美が一体、何なのか……。