「タカセン」
「ん゛っ」


授業の序盤で取ることを諦めたノートの端には、不格好な似顔絵があった。


目の下のほくろと、小さい垂れ目。冗談かと思うくらい誇張されているけど、先生の特徴をよく捉えている。
しかもご丁寧に、歪な吹き出しの中には“三波遊ぶな!”と怒りマークまで飛んでいた。


私は真面目ぶって結んだ唇から笑い声が漏れないように、寝るふりでセーターの腕に顔を埋める。
必死で震える呼吸を鎮めながら、ちらりと横を伺うと、瀬川も同じように突っ伏して、こちらを見て笑っていた。


瀬川のことは別に特別好きではないけど、こうして教室の隅で馬鹿をやっている時間が、私は何気に好きだったりする。