「……葛鳴のバス停だよ。大学の入寮日が今日だから、高速バス乗って向かうらしい」
それを聞くなり、私は踵を返して走り出した。
リュックも、卒業証書も、全部教室に置いたままだった。
でも、そんなことはもうどうだっていい。
最後のHRも、瀬川が隣にいないのなら意味がない。
瀬川じゃなければ、意味がないのだ。
私は校門を飛び出し、枯木立の道を抜け、煙草屋の前を過ぎてバス停へ向かう。
冷たい空気に晒された頬も、膝も、肺も、擦り切れそうに痛かったけど、それでも足は止めなかった。
全力で走りながら、私は唐突にいつか瀬川が歌っていた安っぽいラブソングを思い出す。
I love you
I love you
I love you only
But I can't say so
あぁ、あの時瀬川は、一体何を思っていたんだろう。
どんな想いで、あの歌を歌っていたんだろうか。
繰り返し脳内を流れるメロディーは、アウトロを知らない。
ただずっと頭の中で鳴り響いて、私の胸を焦がすのだった。
それを聞くなり、私は踵を返して走り出した。
リュックも、卒業証書も、全部教室に置いたままだった。
でも、そんなことはもうどうだっていい。
最後のHRも、瀬川が隣にいないのなら意味がない。
瀬川じゃなければ、意味がないのだ。
私は校門を飛び出し、枯木立の道を抜け、煙草屋の前を過ぎてバス停へ向かう。
冷たい空気に晒された頬も、膝も、肺も、擦り切れそうに痛かったけど、それでも足は止めなかった。
全力で走りながら、私は唐突にいつか瀬川が歌っていた安っぽいラブソングを思い出す。
I love you
I love you
I love you only
But I can't say so
あぁ、あの時瀬川は、一体何を思っていたんだろう。
どんな想いで、あの歌を歌っていたんだろうか。
繰り返し脳内を流れるメロディーは、アウトロを知らない。
ただずっと頭の中で鳴り響いて、私の胸を焦がすのだった。