それっきり、高藤とはあまり話をしなくなった。
 誰かと付き合い始めるっていうのは多分そういうことだ。

 他の人と意味も無く仲良くしてほしく無いって多分普通のことだ。
 だから、なるべく高藤と関わらないようにしていたし、早く色々忘れたかった。

 別に高藤が近くにいなくたってご飯は美味しいし、友達と遊べば楽しいし何の不足も無い。

 なるべく高藤の話は聞かないようにしているのでその後、日南さんとどうなったのかは良く知らない。
 でも、二人で過ごしているところをみてとても落ち込むかと思ったけれどそんな事も無かった。

 高藤がどう過ごしているかなんて、文化祭後の写真掲示や、部活の大会報告、それからバス遠足、何かあるごとに、ああこれは高藤の写真だって分かる写真が学校の壁に、プリントに使われていた。
 だから、相変わらず写真ばっかり撮ってるんだなんて事、直ぐに分かった。
 高藤の写真は見ればすぐに分かった。

* * *

 結局卒業間際まで、高藤とは疎遠なままだった。
 卒業アルバムは式の後郵送で送られてくるらしい。
 きっとアルバムも高藤の撮った写真で一杯なんだろう。

 でも、多分暫くは見られそうにない。多分ページを開くと泣いてしまいそうだ。

「森川!」

 帰ろうとしていると、久しぶりに声をかけられた。
 声だけで分かる。間違えるはずが無い。

 明日はもう卒業式だ。なんだか、もうそれだけで涙が出てしまいそうだった。
 振り返ると息を切らせた高藤がいた。

「これ、やるわ」

 高藤に渡されたのは1冊のアルバムだった。
 100均にもおいていなさそうな薄っぺらい紙の表紙のアルバムは写真を印刷する写真屋で売っているアルバムなことを知っている。

 なんだろうと思って、アルバムの表紙をめくる。
 最初は、単なる文化祭の写真だったり、下校風景だったりだと思った。
 何の変哲もない写真だと思いながらめくった次のページには机につっぷして居眠りをする私のが写っていた。