「瑤太。作戦会議だ」
「どうした。お姉ちゃん」

刀隠家次期当主来訪の報が司家母屋に来た時に、時間は遡る。
正座する姉につられるように膝を折る弟に、彼女は告げた。

「我々はとうとう祖母さん及び伯母さんと縁を切る事になる。だが今後、またお母さんに連絡されてはかなわない。だから瑤太。当日は…お母さんには悪いが、お母さんのスマホをこっそり持ち出してくれ。無論だが、お母さんには後で私が怒られる」
「…持ち出して、どうすんの?」
「祖母さんと伯母さんを着信拒否及びブロック、トークだとかのやり取りの履歴を全削除して欲しい。お母さんはそこまで思い付かない可能性が高いし、瑤太がやった方が確実だ。あと、瑤太も2人を着信拒否及びブロック、トーク削除するのを忘れないようになさい」
「あ。そっか。俺や母ちゃんだったら連絡先消すよりも、着拒とかにした方が確実か」
「私は祖母さんと伯母さんのスマートフォンからお母さんと瑤太の連絡先とトーク履歴だとかを削除して、どの機能からもアプリからも、二度と連絡先を復活できないようにする。ここは2人で分担したい」
「でもさ。お姉ちゃん。祖母ちゃんと伯母さんのスマホのロック外せないだろ?番号とか教えてくれるとも思えないし」
「大丈夫だ。私には機械関係専用の式神がいる。その名も『名探偵の手足(ベイカーストリート・チルドレン)』。私の本業がネット関連なのは知っているだろ?」

言って彼女は、自分のスマートフォンの中を動き回る小さな式神達を見せた。