雅も和もリンも、三兄妹の秘密に目を見開いて、驚きを隠せないでいるようだ。
「……それって、みんな知っているの? あ、みんなというのはほかの同級生とかいう意味なのだけど……」
和に、翠が答えた。
「ああ。聖堂も城葉都市ん中にあるし、あたしら似てないだろ? 桜学生はみーんな知ってるよ」
「……その、なんて言うのかしら……」
「ああ、気遣いとかそういうのはあたしらにはいらないから。自分らの境遇? 全部受け入れた上で兄妹名乗ってるし。バカにした奴はあたしがシメるし」
「そ、そう……。わたくしからは、あとは天科氏についてだけね」
「私も。蒼と衛だけが天科理事と通じてるの?」
「僕も同じくです」
雅とリンも続けた。
「……通じてるっつーか、俺、中等部で生徒会長やらされてて、衛は武部の代表だったつーことで、卒業前に高等部に呼ばれたんだ。表向きは高等部の生徒会への挨拶、みたいなことで。そんときに天科にも呼ばれて、二人はPクラスに決定してる、て言われた」
「俺らも、Pクラスはもうないもんだと思ってたから最初はびっくりしたんだけど、驚いてる間に、『色々と実験したいことがある。結果を出せよ』って言われたから、思わず殴っちゃった」
『………』
押し黙る三人。蒼はため息をつく。
「腹に一発入れて天科昏倒寸前。現場に被害者置いておくのどうだよって言ったら、じゃあ連れて行くかつって衛が連れ出した」
「その前に蒼が場所変えて話しましょーって言ったんじゃん。天科が断ったからついでに連れ出すかなーって思っただけだし」
「意識奪ってまで天科に話すことねえよ」
『………』
あれ、今度はみんな黙り込んでしまった。なんか流はすっげえ顔色悪いし。やっぱ天科にはまだ逢わせない方がよかったか? でも全員が知りたいって言い出したしなー。