十三人が開ける前に、扉は中から開かれた。

色素の薄い髪の、柔和な顔つきで柔らかい目元をした細身の青年が出迎えた。

黒いスラックスに、白のシャツは七分丈に袖まくりしている。黒のタブリエエプロンの青年に、蒼は話しかけた。

「ごめん、剣さん。いきなり」

「いいよー。今暇な時間だしね。レンは外に出てるけど、いい?」

「うん。みんな。霧原剣さん。俺と白の保護者の、猫柳恋の仲間。二人でこの店やってんの」

「はじめましてー。って、知ってる子も多いよね。なんかよくわかんないけど、がんばってね」

剣は、どうぞと生徒を店に通した。

「こっち集まって。……質問ばっかな瞳だな。えーと? 雅、なんかある?」

蒼が角のテーブル椅子と、それに近いカウンターに全員を呼んだ。名指しされた雅は、刹那困ったような顔をしてから口を開いた。

「蒼と白ちゃんの、今の保護者ってどういう意味? ってか、この中で面識ないのって私と和ちゃんと……リンくん? だけだったりするの?」

「あー、な。紫、翠、いい?」

蒼が妹二人に問う。肯定が返って来た。

「俺と紫と翠は、兄妹つっても血の繋がりはない。同じ孤児施設で育った、それぞれ身元のわからん子供だ。桜学から駅までの途中にあるサクラ聖堂っつうんだけど、そこだと身元が判別しない子供に施設長と同じ『神林』の名前つけるんだわ。今の聖堂で『神林』は俺ら三人だけ。なんだけど、俺は初等部の頃、叔母がいるってわかってな。それが今、白の親戚で親代わりをしている猫柳恋。当時は恋も学生だったから、俺は聖堂にいたままだったんだけど、高校に入るのを機に、恋のとこに行くことになった。『神林』名乗ってんのはただの愛着だ。あと、調と雪は、初等部は桜学。雪は二、三日しかいなかったけど」

「だから、雅の言う通り。三人以外は知り合いだ」

最後は衛が付け足した。