「訊かれたら話すでしょう。別に後ろ暗いところなんてないし」
蒼が返すと、天科はやはり反論してくる。
「私に後ろ暗いところがあるみたいな言い方するな」
「ないんなら教えてくださいよ」
「………」
天科は一つため息を吐いて、背もたれに寄りかかった。
「Pクラスの語源のProfessional Classは、私が作ったわけではない。元々そういう意味だったんだ」
衛が言う。
「それが、不良集めとくクラスに?」
「なったのは、……天才とバカは紙一重の、バカの方に偏ってしまった生徒が多い学年があってな。問題が続発したクラスがあった。それ以来だ」
「それで――天科理事は、Pクラスを再建したいとお考えですか?」
紫が言う。
「……再建ではない。再生だ」
翠が口を挟もうとしたとき、天科が言葉を継いだ。
「以上だ。これ以上質問があるなら文書で出してくれ。これ以上時間は取れない」
なおも言いたげな面々だが、蒼が「わかりました」の一言で制した。
「文書にすれば総てに回答いただけるんですね?」
「百枚二百枚にして持ってきても、要点にしか答えんがな」
蒼のやり口がばれている。そのまま、天科に追い払われるように理事室を出た。
「んー、納得してもらえた?」