……そこからかよ。新任教師に任せるにもほどがあるだろう、天科。蒼はわざと音を立てて立ち上がった。
「『Professional class』――らしいっすよ。ここの支配者サンによれば」
天科のことをわざとそんな言い方で示した。
チャイムが終わる。華村は二度瞬いていた。
ホームルームも終わった雰囲気だしもういいよなー、と勝手に結論付けて蒼は教室を出た。
今日は在に呼ばれているから、このあと生徒会室に顔を出さなければいけない。
後ろから紫が「お先です!」と言う声がして、すぐについてきた。翠もくっついてくる。
「蒼ちゃん、みんなは天科理事のこと知らないんだから、ああいう言いかたしちゃダメでしょ」
「そのうち知るだろーよ。あのオッサン、今日も喧嘩売って来てたぞ」
「マジで!? ちょっと買ってくる!」
翠が駆けだそうとしたのを、遅れてやってきた衛が捕まえてくれた。
「翠。お前は手が早いの直せよ」
「売られた喧嘩は買わなきゃだろ」
衛に両肩を後ろからつかまれている翠は、衛を見上げながら文句を言う。
「誰の教えだよ。つーか、天科に素手の喧嘩って意味ねーだろ」
「だよな。翠、闇夜に紛れて天科を再起不能にするのはやめておけよ」
「……蒼ちゃん……」
「この単純にいらん知恵入れるなよ」
紫が額を押さえて、衛は文句をつける。翠は蒼を見上げる。