「神林紫です。初等部はこちらでした。蒼ちゃんの妹で、翠ちゃんの姉です。作樹くんはただの知り合いなので、誤解ないようお願いします」
「神林さんって、モデルやってる?」
雅が問うと、紫はにっこり笑った。
「はい。お仕事させてもらっています。高等部ではバイトOKなので復学しました。あ、あと、神林ばっかり三人もいるので、私たち兄妹は、どうぞ名前で呼んでください。先生も。わたしも雅ちゃんでいいですか?」
「もちろん。そんで作樹くんも、モデルの作樹流?」
「うん。別に紫と付き合ってるとかはないから、そういう話あっても無視してほしい。ほんと、仕事仲間なだけだから」
おや? 初めて聞く言い方だ。蒼は軽く眉をあげた。
いつも紫大すきを隠さず接しているから――ちらっと、流が蒼を見て来た。これでいいかな? そんな顔をしている。
……ああ、紫に迷惑かけてこれ以上嫌われたくないワケね。今も底辺なくらい嫌われているけど。
蒼からしたら紫の彼氏には十分に及第点な流なのだけど。こればかりは本人の意思が一番大事だ。
「調ちゃん」
紫が変わらぬ声で呼んだ。
「次は調ちゃん、どうぞ?」
「………はい」
調は顔を引きつらせながら立ち上がった。調はまだ小柄な方だった。かわって紫が椅子につく。
「地垣調。初等部はここでした。中学は公立に行きましたけど……入れ替えるほど心をたくさん持っていないので、どうぞよろしくお願いします」
入れ替えろよ。