「うわ~二人とも規格外すぎだし! カッコよすぎ!」

「紫と並ぶと超お似合いなんだけど!」

「まさか付き合って――

「蒼ちゃん!」

兄を見つける目は飛び抜けている紫が叫んだ。更にざわつく館内。

内部進学組は生徒会長まで務めていた蒼のことは知っているが、進学はふるいにかけられるため、初等部からずっと内部の生徒が占めている、というわけでもない。

蒼と紫が――体面上とはいえ――兄妹とは知らない生徒もいるだろう。

「あおいって――神林?」

「え? まさか紫って会長の彼女っ?」

そこここで憶測が流れ始めていた。どうでもいいけど。どうせすぐに兄妹だと知っている者たちから知れるだろう。

「あ――苗字が同じ『神林』じゃない?」

「ほんとだ! まさか……結婚してるとか!?」

そっち方向への誤解かよ。年齢を気にしてくれ。

「よう、妹」

蒼はわざと紫にそう呼びかけ、軽く手を挙げた。これで収まるだろう。

「会長の妹!?」

「神林の血筋すげえ!」

……まだ誤解はあるか。だが、これを解くのは少し面倒だ。蒼も紫も『神林の血筋』ではないから。

「蒼ちゃーん!」

「紫五月蠅い」

「だって学校で蒼ちゃんに逢えるの久しぶりなんだもの」

「翠は? ……埋まってんのか」