「……ん? 恋さんが婚約者に振られて、そのショックで男装に走って女性を傷つけない男を目指し始めた?」
衛が順番を整理するように指折り考えると、白は緩慢に肯いた。
【女の人にはあんまり失礼な話になるから、他の人には言わないであげてほしい】
「あ、それは勿論。恋さんは蒼の保護者なわけだし。失礼な真似はしないよ」
衛がそう答えると、白はほっとしたように息を吐いた。再び入学式の行われる体育館へ向かう。
「複雑だな、蒼んとこは」
「そっちもだろ。お互いサマ」
体育館に着くと、帝と尊はすでにいた。
「まもるんー!」
「げー」
この前と同じこと言ってやがる。かわり映えのない友人を見て、蒼は半眼になる。
「あっ、白ちゃんっ」
蒼と衛の後ろにいる白を見止めて、尊が声をあげた。白は嬉しそうな顔になってぶんぶん手を振る。
「白ちゃんだ~! クラス表見てもしかしてって思ってたんだけど、白ちゃんもPクラス? わたしも!」
白は二人の影を飛び出て、尊に抱き付いた。蒼も見たことないくらい満面の笑顔の白。尊と知り合いだったのか。
「え? なんで白が衛たちと来んの?」
帝も、躊躇いなく白の名を呼ぶ。