「……は?」
「同棲なんだろ? そういう意味じゃないの?」
衛の言葉の意味を遅れて理解したらしい白が顔を真赤にさせた。
【れんさん! れんさんがいっしょです!】
慌て過ぎて全部ひらがなだった。
白は泡喰っているが、蒼は衛の言葉した真意がわかっていた。
「お前……本当に帝も同じクラスだったからって俺に嫌がらせすんなよ。俺なんかが相手じゃ白に失礼だろ。可哀想なこと言うんじゃねえよ。白にまで嫌がらせかお前」
「蒼ってほんと自己評価底辺だよな」
衛は糸目でいう、蒼には、自分より低い存在がなかった。
「内部の奴らに訊かれたら、親戚だって言っといて。それくらいなら白も可哀想じゃない」
「お前の妹たちが許したんならそう言うわ」
かつて、ブラコンたちの攻撃の標的になったことのある衛は神妙な様子で答えた。
蒼はほっとした。白の声のことを知っている人がいれば、ある程度の誹謗中傷からは護れる。
それに、あのとき衛には少し悪いことをしたと反省していた。
「知らない名前は?」
「茶山、祀木、咲逆、かな」
「全部男女兼用の名前だなー」
これは顔を見るまでわからないな、とクラスメイトの把握は一旦横に置くことにした。
中等部と高等部は一応敷地内で別れているが、他学部の出入りは自由。蒼も衛も、部活や委員会の関係で高等部にも来たことがあるため勝手は知っている。内部進学の蒼と衛に、外部入学の白はきょろきょろ物珍しそうに目をやりながらついてくる。
「白? でいい? ――はなんで桜学に入ったの?」