「蒼―、苗字が『神林』のままだけど?」
高等部の入学式の日。
張り出されていたクラス表の前で、蒼に向かって衛が言った。
衛と並んでクラス表を見ている蒼はスラックスのポケットに両手を突っ込んで、だるそうな目で答える。
「うん。ちょっとあって神林のままにした」
「ふーん? 妹は喜びそうだな」
「だといいけどな。けどなあ……」
「まあなあ……」
クラス表を見て、二人は同じように唸った。
最後に載っているクラス、『Pクラス』は総勢十三人だった。
危惧していた、調や雪の名前もある。やっぱりやりやがっていたか。
「多いか?」
蒼が訊く。
「ギリギリかな。これ以上は天科でも手に負えないんじゃね?」
「だといいんだけどなあ。……取りあえず、体育館行くか。周りが五月蠅くなる前に」
「だな」
Pクラスの復活を知らない一般生徒――内部も外部も――は、クラス表を不思議そうな顔で見ている。
中等部からの内部進学の生徒は、蒼や衛の名前がPクラスに載っているのを見て驚いているのがわかる。
騒がれる前に退散しよう。
「あ、衛。悪いけど一人拾っていく」