「……私、卒業もまだなのにもう教えちゃっていいの? って言うか、どんだけクラス数多いのよ、桜学」
英語順だとすると、一学年で十六クラスはある。どれだけのマンモス校だ。
「そんな話は聞いたことないんだけどなー」
同じ県内であるから全く知らないわけではないが、和は桜宮学園に特別な興味はなかった。私立校の一つ程度の認識。
「……結婚とか、だる」
桜宮学園にいる許嫁。和は誰かをすきになったことはない。
元々、男子との関わりなんてほとんどなかったから。と言っても、恋愛に夢見がちでもなかった。
和の結婚は、和の意思を介在させない。
好きな人がいるってどんな気持ちなんだろう、や、彼氏がいるって幸せなのかな? なんて――考える前に、すきって何よ。というスタンスだった。しょうがないじゃない。決まっているんだもの。
だから和は友達に夢を見る。友達規制まではされないだろうから、一生の友達なんかに出逢えたら、とっても素敵。
学校、新しい場所に踏み入る。
それだけが、楽しみ。