「………。――はははー。桜学は男女共学だし制服超可愛いし! そこはよし!」

開き直ってみた。進路先でいいところはそのくらいだった。

「………」

思うところがあって、クマのぬいぐるみを元いた布団の上に置いた。手を合わせて拝む。

「どうか、どーか、友達が出来ますように!」

母様、父様。和はまだ結婚なんかより、友達がほしいのです。……いや、もう決まっていることだから結婚はこの際どうでも――嫌々ながら結婚を承諾するので、代わりに和に友達をください!

柏手をもう一度打った。

家柄のこともあって、学校で和に友達だと言える子はいなかった。

下手に出て和に取り入ろうとする連中ばかりで。

そんなクラスメイトには、かなり早い頃に嫌な感覚を覚えてしまったので和の方から踏み込む気にはなれなかった。

だから、桜学では出身を隠す。

仲良くなって、話しても大丈夫と思える子と出逢いたい。

クマを通して、空の上の母と父に願う。

「そう言えば……」

押し入れを閉めて、文机に向かう。

許嫁の爆弾が大きすぎて目を逸らしていたが、桜学から封筒が届いていたっけ。

二通あって、片方は入学案内。

それを見ただけで結婚どうのを思い出し、うげえ、となってしまいもう一つは開封せずに引き出しにしまってあった。

放り込んだままの格好で収まっていたA4サイズの白い封筒を取り出す。

行儀は悪いが、先ほど投げ出した切狭が近くにあったので、それで上部分を切った。

中には一枚の紙だけが入っていた。

「………Pクラス?」

そこには、和がPクラスへの入学が決定していると書かれていた。