「……なに?」
流はやっと口を動かせた。
「天科全に、俺らは敵対するよ。理由は、蒼が言ったそれで。でもほんと、流は外部って言うか、紫に関連して目をつけられたんじゃないかと思う。……わざわざ危ない橋を渡る必要はねーだろ。クラスの決定までは口挟めないけど、流、いつでも外れていいんだからな?」
「え? やだ」
衛の気を遣うような言葉に、流はすぐさま返していた。
「……即答? なんで?」
衛は少し驚いたような間を開けてから首を傾げた。流の答えは簡単だ。
「紫がそこにいるから」
「……は?」
衛は胡乱な顔をする。
「蒼にどんだけ勝てなくても、紫の方にいたいんだよ。それが理由じゃダメかな?」
「……やっぱピュア流だわー」
「頼むからそれやめて」
本気でお願いしたい。衛はニッと悪戯っぽく笑った。
「いーと思うよ。流は賭けるモンじゃなくて、護るモンがあるわけね」
「……そうかもな」
護りたいよ? 自分では力が及ばないとわかっているけど。それでも、紫の同業者として、くらいはね?