「ちなみに断言しとくけど、紫が蒼と付き合うことはねーから。絶対」

「……言い切っていいの?」

「いいよ。だって、蒼は紫に恋愛感情がないからな」

「……妹意識だから?」

「だよ。現状、蒼がサクラ聖堂では最年長だから、紫たちを含めて六人の弟妹がいる。蒼は弟妹全員に平等だ。紫や翠を特別扱いしたとこ、見たことがない。そーゆーワケで」

「……感情がどう変わるかなんて、わかんねーじゃん?」

「そうだなー。んじゃ? 蒼が感情変わって紫に惚れたら身ぃ引くんだ?」

「………うん」

「んー、やっぱピュアだねえ、流」

「なんでそうなる」

「つまりそれって、蒼への敗北? 同じステージに立つ前に諦めてんだ?」

「……諦めるもなんも、

「誰も、お前が紫に惚れてる心なんて護っちゃくれねえよ?」

「――――」

斜めに見上げられて、衛に投げかけられた言葉。流は黙るしかできなかった。自分が誰かに惚れている心。

……口にしなければ、誰にも知られずに消えていくかもしれなかったおもい。

「お前の感情だ。お前が護らなきゃ、だーれも知らん。流がそれでいいならいんだけどな?」

「………」

衛の続いた言葉にも、何も返せなかった。

「それからさ――今回のこと」