「んー?」

「俺、……混ぜてもらっていいのかな?」

「うん? 嫌だった? つーかむしろゴメン? 流は関係ないのに巻き込んじゃったよなー」

「いや、そこは全然いいんだけど。むしろ紫の近くにいられるってキセキだし」

紫には最後まで牙を剥かれていたけど。

そして、翠も流を認めていないわけではないことは知っている。

紫に言った言葉は紫のためだけのもので、流を貶したり阻害しようとしているわけではない、と以前に翠には謝られたことがある。

翠は、『蒼以上の男の子がいてはならない』という、紫が自分にかけてしまった暗示を知っているという。

なまじ蒼がカンペキな上に弟妹の面倒見もいいから、蒼以上の存在が許せなくなってしまっているのだと。

だから、紫の精神衛生上、翠は流より紫を護る発言を許してほしいと。

「……流ってさ、紫と付き合いたいとか思うワケ?」

三秒ほど間を置いて、流が叫んだ。

「―――はあ!? えええっ!?」

「その絶叫はナニ」

「いやいやいや! そんな畏れ多い!」

「おそれ? 紫だって同い年じぇねえか。蒼がいるつたって、蒼は兄貴でしかねーんだから」

「いや、でもその……」

「何だよ。はっきりしろよ」

「その……何て言うか……」

「うん」

「紫って……俺の中で完璧な存在なんだよ」

「…………あの超ド級のブラコンシスコンが? 下手したら軽く変態の域だぞ?」