せめて、紫の強すぎる妹のいないところで、紫を護れるような立場になりたいんだ。

……彼女の光に魅せられすぎてしまったみたいだ。

短いチェーンのついた銀色の球体を、左掌の上で放っては掴まえてを繰り返す。今日も紫のブラコンは炸裂していた。

「………」

紫の――翠も――蒼大すきは重々承知の上なのだが、やっぱり妬けてしまう。

その辺り、自分の紫に対する感情にまだ恋情が混じっているとわからされる。

今日は翠から連絡をもらって外に出たのだが、なんかややこしい話に首を突っ込んでしまったかもしれない。

そもそも『あたる兄ちゃん』って誰? 蒼や紫がやたら気にしていたけど……?

「俺の兄貴」

隣を歩く衛が答えた。自分、口に出していた? 流が借りたアパートは事務所の提携している賃貸会社のところで、方向は榊原の家と同じだった。

自宅の方向は全く違う帝がついて来ようとしたのだけど、さすがに尊が引っ張って帰って行った。

翠に、腹に一発膝蹴りを喰らって軽く意識をトバしている隙に。

「衛の? あ、それで紫も『お兄ちゃん』なんだ」

隣を歩く衛は、「まーそんなとこ」と答えた。

紫も衛と、初等部以前からの友人だと聞いているから、顔馴染みなのだろう。

「……衛」