「天科全の目論む、Pクラスのあり方を変えたい。有体に言うなら、天科の言うPクラスにはしない。ただの、二年前のPクラスが出来なかったこと、本来の意味のProfessional Classにしたい」
蒼の宣言に、紫は一度瞼を下ろした。
Pクラスの由来。Professionalの頭文字。
「理由は?」
「天科がなんかむかつくから。あと、今までのPクラスのため」
「……蒼ちゃん」
むかつくからって理由で奇襲しかけたり喧嘩売ったりするな。
紫のこめかみに青筋が浮いたが、紫に言えた台詞ではなかったことも承知している。
何度か蒼を危うい目に遭わせてきたのは自分だ。
「天科がやろうとしてることにむかついてるわけじゃない。多才なんて希だ。一つの才さえあれば生きていける。それは否定しない。ただ――俺らを『実験初代』と言ったことにイラッとしてる。学外の調や雪まで巻き込むのは腹が立つし、何より在兄もいた場所を否定されるのは、すっげえむかつく」
「………」
在お兄ちゃん。衛の兄。
かつて在は、Pクラスの立て直しを任された新入生だった。
その入学の直前に天科がPクラスの全権を奪い、新入生のクラスにPクラスはなかった。
在も一般クラスに入ったのだった――が、蒼はそれを憶えていた。
一瞬でも、在の籍はPクラスにあったと。
「わかった。在お兄ちゃん――たちを否定されるのは、わたしも嫌だ。蒼ちゃんのやることを手伝う。全力で」
紫が言うと、翠が隣に立った。