そちらへ視線が集まる。衛はやっぱり感情が読めない顔をしている。
同じく感情の読めない顔でも、衛は蒼とは違った種類の表情をする。
「天科はPクラスを、一つの才に特化した生徒で構成するつもりなんだ」
「……いっさい」
「発掘?」
『一つの才能』って意味な、と衛が付け足した。蒼は変わらずぶすーっとしている。
が、衛を止めることはしなかった。
蒼の瓦解だ。衛は、蒼が喋らないイラつきを表すように、さっきより雑に髪を掻いた。
「桜学は全国的に名の通った学校だ。更に天科は城葉都市の中心にある組織。桜学を――現段階では高等部だけだけど、学校以上のものにしたいらしい」
「学校以上?」
「言うなら、研究機関化。学校そのものを研究機関にするんじゃなくて、一つのクラスだけ。どうしてそういう考えに及んだのかはわからん。ただ、来年度はPクラスを再生し、ある程度の人数はもう揃っている。ここにいる全員Pクラスで確定している。――実験初代として、ってとこまで訊き出せたけど……」
「……衛ちゃん」
「ん?」
呼びかけた紫はぎりっと衛を睨んだ。