「あんの陰謀陰険野郎! てめえの企業戦略に中学のガキ巻き込むんじゃねえよ!」
「蒼ちゃん、お願いだから落ち着いて……。翠ちゃんー、助けてー」
ついに紫から助けを求められた。
「蒼―。もういっそ、もうすぐ調と雪に逢えるってことにしておこーぜ。そこで喜んでおこーよ」
「そりゃ嬉しいけどな! 調も雪も――逢えるかわかんなかった奴だし」
「な? だからさ――」
蒼の気が収まりかけたことに安堵した翠だが、代わって蒼の瞳には狼狽の色が浮かぶ。うん?
「けど……天科は俺らを使って、てめえの実験する気なんだよ。桜学に行くのが当たり前だった俺らと違って、調も雪も今は部外者だ。わざわざ陰謀に巻き込みたくない」
「……実験?」
「陰謀?」
翠と紫が揃って首を傾げる。はあ、と蒼は大きく息をついて、やっと力を抜いた。ぐしゃりと前髪を摑む。
「――天科は昨日、俺らを『実験初代』にするって言っていた」