今日で中学生は終わりだ。

高校の入学式の日まで、自分たちは少し空白の時間を歩く。

空手有段者である衛は空手部の部長とともに、桜宮(さくらのみや)学園中等部では運動部――内部では文化部の『文部(ぶんぶ)』に対して運動部は『武部(ぶぶ)』と呼ばれている――の代表を務めていた。

衛が進学するのはその、全国的に名の通った私立の名門校、桜宮学園の高等部だった。

通称を桜学(さくがく)という。

世界的にも高名な研究機関を多く抱える『城葉(きば)研究学園都市』の中にある学校の一つだ。

初等部から大学部まであるが、エスカレーター式ではなく、外部内部問わず志願と受験、その合格が必要となる。

初等部から一緒だった神林蒼(かんばやし あおい)や、中学は他のところへ行った蒼の妹の紫(ゆかり)と翠(みどり)も桜学の高等部へ進学する。

それから――と思い出していて、衛は最悪なことまで思い出してしまった。

(……………………あいつも来るんだっけ………)

ストーカーともいうべき行動をしている奴。

今は衛の熱烈な追っかけと化した、前は粗暴な不良として名の通っている草賀帝(くさか みかど)。男子だ。