「違うよ。雪は日本式の学校に馴染めない奴だったんだ。……二日来ただけで、すぐにアメリカに行ってしまったらしい」

「……それって、お家の事情とか?」

尊はそう口にしたが、引っ越しなんかだったら、入学して二日でいなくなるなんてことはないだろうとも思っているのだろう。

自分の考えに疑念を持ちつつ言っているのがわかる。

「いや、雪を受け容れたいって言う研究機関があったそうだ。親御さんもそちらに応じたって聞いてる。……雪は、サヴァンだったんだ」

「「………?」」

「―――!」

クエスチョンマークを浮かべる帝と流。

エクスクラメーションマークみたいな顔をした尊。

実のところ、翠も混乱していた。

今頃雪の名前を聞くことになるとは――しかも、発信源は調。調の情報なら疑いようがない。

「さばん?」

帝が首を傾げる。医療系に明るい尊の説明は明瞭だった。

「サヴァン症候群って言って、生まれつきのものなの。ある一定の能力が飛び抜けている人が多いんだけど、一般的な生活にどこか馴染めないものがあるっていう。たとえば、ランダムに言われた年数の日付の曜日がすぐに答えられるんだけど、紙の上での計算になると一桁でも出来ないとか」

帝と流は、「へー」とわかったのかわかっていないのか、曖昧な肯きをした。

森崎雪はサヴァンだった。