帝は、目の前の二人の様子を見て自分の瞳を疑った。

さっきとは比べものにならない衝撃を受けているのが見ただけでわかる。

……もしかして調が尊ではなく自分に頼んだのは、こうして蒼と衛にも伝わることを想定して、わざとか?

「ま、衛? 蒼? おーい?」

完全に固まってしまった二人の顔の前で手を振るが、全く反応がない。瞬き一つない。

困った帝は、本来聞くべきだった翠に助けを求めた。

翠も困ったように眉根を寄せている。

「悪い、帝。これはあたしが抱えられたモノじゃないよ。調も、最初っから二人にバレること前提でお前に頼んだと思う」

「………え?」

「すすき――森崎雪(もりさき すすき)は、……」