――以来、衛の追っかけと化した、元は不良のレッテルだった帝。

はっきり言える。運命を変えられた、と。きっかけは衛がくれて、自分から飛び込んだ運命。

そして今は。

「まもるーん」

「そんな呼び方誰にもされたことねえよ!」

「そんな逃げるなよー」

「追われなきゃ逃げねえよ!」

「追わなきゃ話もしてくんないじゃん」

「話もしたくねえっていう無言の拒絶なんだけど!?」

最早衛、全然無言じゃなかった。有言で拒絶しても全くへこたれない帝。打たれ強かった。

……そんなタフな帝も、蒼と衛が揃って捕まってしまえば抵抗は無駄だった。

「調が――桜学の出身だって、うちの生徒はほとんど知らない」

「だろうな。うちの教師共、調がやったことは隠してやがる」

蒼はため息半分に続けた。

「お前も、知らないんだろう?」

「………」

帝は拳を握る。蒼の瞳は問う様に見てくる。

「知りたいのか?」

「……いや、それは……調が話してくれるまで訊かないでおくつもりだった」

「それはいい心がけだな。んで?」

「……調からの、伝言がある」

「……もう逢わねえつったの調だぞ?」