思わず呼び止めてしまうと、衛はさっと振り返った。蒼は気だるげに帝を見る。

「なんだ?」

「その――」

ええと、何が言いたくて呼び止めた? そうだ、何か言いたかったんだ。

「あのっ!」

「うん、だから何?」

衛が真面目な顔で応じる。ええと、えーと……

「友達っ、になってくれませんか?」

って、ええええ―――――――!? 何言ってんだ自分! なんで友達!? しかも敬語!?

「は?」

案の定、衛は意味がわからないという顔をしている。帝も意味がわかない。

――こうなったら突き進むまで! 猪突猛進は大得意だ!

「お前の強さに惚れた!」

引かれた。

衛と、さっきまで顔色一つ変えなかった蒼まで蒼ざめた顔をしている。衛は視線をうようよさせながら言った。

「そ、そうか……。じゃあ俺より強い――女子紹介してやるよ」

「いや、榊原のがいい」

衛が逃げ場を探すが、帝は一刀両断だった。

「強い奴と友達になりたいんなら俺より強いのが蒼の妹に――」

「衛がいい」

帝は真面目以外の何ものでもない眼差しで言い切った。衛は吐きそうな顔をしていたけど。